「無能外交」「未熟な対応」=GSOMIA破棄撤回で批判―韓国紙
【ソウル時事】
23日付の韓国各紙は、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が維持されたことを「破局は食い止めた」(東亜日報)と大きく報じた。
協定破棄を持ち出しながら事実上撤回した文在寅政権に対しては、「無能外交」(朝鮮日報)「強硬一辺倒の未熟な対応」(中央サンデー)と批判する論調も目立った。
朝鮮日報は社説で「日本には何の打撃も与えることができなかった。
文政権が反日カードで国内の政治の視線をそらすために破棄を持ち出しながら、名分も失い立ち往生する状況を自ら招いた」と文政権の対応を非難。
東亜日報は「GSOMIA終了カードが効果があったのか疑問だが、カード自体が不必要な論議を呼び起こした」と米国の不信を買ったことに疑問を呈した。
韓国からいよいよ資金が流出…急激な「ウォン安」のウラで起きたこと
10月初旬以降、韓国ウォンの下落が目立つ。
10月末から11月中旬まで、ウォンはドルに対して約1.2%売られた。
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中国経済の先行き懸念などから東南アジア新興国を中心に、アジア通貨は不安定に推移しているが、その中でもウォンの下落率は大きい。
ウォンの下落は、海外投資家などが韓国経済を見切り、ウォンを売って韓国から海外に資金が移り始めているとの見方もある。
ウォン下落の背景には、まず韓国の景気が減速していることがある。
また、経済の先行きも見通しづらい。
特に大手企業の業績悪化は深刻であり、先行きは「大丈夫か」と思ってしまう。
その上、安全保障や経済運営など、文政権の政策にも不安な部分がある。
そうした要素がウォンの為替レートに影響していることは間違いないだろう。
年初来、アジアの主要通貨の中でウォン安が鮮明となっている。
最大の要因は、韓国経済が減速していることだ。
韓国にとって最大の輸出先である中国経済は、成長の限界を迎えた。
それを受け、外需関連を中心に韓国企業の業績は急速かつ大幅に悪化している。
一部の大手格付け業者は、韓国企業の財務内容悪化にも警鐘を鳴らし始めた。
秋口以降、米中の通商協議が進展し、“休戦協定”が締結されるとの見方からウォンがドルに対して反発する局面も見られた。
ただ、11月に入り、再度、ウォン売りが増えている。
その背景の一つとして、韓国の輸出が減少トレンドとなっていることは見逃せない。
昨年12月から11カ月続けて輸出は前年同月の実績を下回っている。
更に、11月1~20日までの間も、輸出は減少している。
特に、半導体の輸出は前年の同期間に比べ24%程度減少している。
韓国にとって、半導体は最大の輸出品目であり、経済へのマグニチュードは非常に大きい。
中国の固定資産投資や生産活動が鈍化し続けていることを踏まえると、短期間で韓国の輸出が反転する展開は期待しづらい。
そうした中、世界的な5G通信の普及期待に支えられ、サムスン電子の半導体事業には底打ちの兆しが出つつあるようだ。
しかし、それ以外の企業を見ると、更に業績が低迷するリスクがある。
SKハイニックスではメモリ在庫解消に時間がかかっている。
LGディスプレイ経営陣からは、危機的状況を迎えつつあるとの見解が表明されている。
また、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政策運営も、韓国ウォンの売りを呼ぶ一因だろう。
経済や安全保障を中心に、文政権の政策スタンスには不安な部分があると考える市場参加者は少なくないようだ。
11月に入ってからのウォン安には、韓国の安全保障体制への懸念の高まりが影響した部分があると考えられる。
文大統領は一貫して、北朝鮮との融和・統一と反日姿勢をとってきた。
にもかかわらず、北朝鮮は南北関係が緊張していると主張し、韓国との対話を拒絶している。
同時に、文大統領は北朝鮮との関係改善などを重視するあまり、米国との安全保障同盟を強化するのではなく、後退させてしまっているように見える。
それは韓国の国力安定にマイナスだろう。
文政権の経済政策を懸念する市場参加者も多い。
文氏は景気が落ち着いている間に構造改革を進め、成長期待の高い分野にヒト・モノ・カネが再配分されやすい状況を目指すべきだった。
それは、多くの主要国が重視してきた経済政策の基本的かつ重要な発想だ。
経済成長を目指すにあたって、企業の新しい取り組みを支援することは欠かせない。
しかし、文大統領は労働組合党の支持を重視し、最低賃金を大幅に引き上げてしまった。
引き上げ率は2018年に16.4%、2019年は10.9%に達した。
企業経営への負担が増えると同時に、外部環境の悪化が内需の低迷にも波及している。
文政権の政策運営姿勢が抜本的に改められない間、ウォンの為替レートは不安定に推移する可能性がある。
真壁 昭夫