日本と世界

世界の中の日本

安倍晋三総理大臣が月刊誌『文藝春秋12月号』のインタビューに応じているそうです

2019-11-11 19:09:37 | 日記

安倍総理、あまり韓国を追い込まないで下さいよ(笑)

安倍晋三総理大臣が月刊誌『文藝春秋12月号』のインタビューに応じているそうです。

 

これについては是非読んでみたいと思うのですが、紙媒体だと書店に買いに行かなければならないので、買い求めるのに少し時間がかかります。機会があれば入手して読み、面白い情報があれば当ウェブサイトにてフィードバックしたいと思いますので、どうかお楽しみに。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、その『文藝春秋』に、安倍総理が何を話したのかについては、個人的には「読んでみるまでのお楽しみ」にしたいところですが、そうもいきません。

なぜなら、本日までに、複数の韓国メディアが大々的に記事にしているからです。

ここでは、「保守系メディア」(?)と見られている中央日報と東亜日報のそれぞれ日本語版ウェブサイトに掲載した記事を眺めてみましょう。

安倍首相「韓国が日本企業の資産売却を実行することはないだろう」(2019.11.11 11:22付 中央日報日本語版より)
安倍氏、「元徴用工問題、基本は譲歩しない」(2019/11/09 8:35付 東亜日報日本語版より)

といっても、どちらの記事も非常に短い内容で、だいたい次のようなことが書かれています(※ただし、日本語表現を整えているほか、「強制徴用問題」を「自称元徴用工問題」に、「安倍首相」を「安倍総理」に修正するなど、用語は当ウェブサイトのものにあわせています)。

  • 安倍総理が『文藝春秋』12月号のインタビュー記事で、自称元徴用工判決を巡り、「外交当局間の意思疎通はするが、政権として守らなければならない基本は絶対に譲歩するつもりはない」と述べた
  • 安倍総理はまた、韓国国内の日本企業の資産売却を巡って、「売却を実行するようなことはないと思う」と述べた

これは「フラグ」ですかね?(笑)

「売却するなよ、するなよ、絶対にするなよ~!」

これらの記事を読んで、『【速報】「破棄するなよ、絶対に破棄するなよ!」』を思い出した方は、鋭いと思います。

これは、日本が韓国向けの輸出管理適正化措置を発表した直後から、韓国国内で日韓包括軍事情報保護協定(日韓GSOMIA)の破棄が話題になりだしたという話題です。

具体的には、韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※外相に相当)が当時、「状況の展開によっては(協定破棄を)検討する可能性もある」と述べました。

 

あくまでも当時の記事等によれば、康京和氏は、当初は「何が何でも破棄する」という強硬な姿勢ではありませんでしたし、日本政府も当時から「韓国には賢明な対応を求めたい」と述べ続けており、いわば、

日韓GSOMIAは大事だから、破棄するなよ、破棄するなよ、絶対に破棄するなよ~!

と言い続けていたようなものでしょう。

ところが、読者の皆さま方もご存じのとおり、現実には8月22日夕方になって、韓国政府は日韓GSOMIAの破棄を決定したと発表。

この決定は、いまや日韓関係だけでなく、米韓同盟をも揺るがせている状態にあります。

まさか、あれほどまでに「破棄するなよ、破棄するなよ、絶対に破棄するなよ~!」という雰囲気を醸し出していたにも関わらず、韓国政府があっさりと破棄してしまったことに、個人的には正直、驚いてしまったという事情もあります。

本当に売却するのかな?

ただし、個人的には現在の状況で韓国側が日本企業の資産の換金に踏み切るとは考えられません。

なぜなら、現在までの報道によれば、韓国側で差し押さえられている資産はいずれも換金が困難な資産ばかりだからです(日本製鉄と不二越が合弁会社の非上場株式、三菱重工業が特許権や商標権といった知的財産権)。

私自身は知的財産権の売却の専門家ではありませんが、一般に知的財産権の競売は非常に困難であると聞きます。

なぜなら、知的財産権は個別性が非常に強く、特許権や商標権によっては競売自体が成立しない可能性もあるためだそうです。

また、非上場株式については一般に譲渡制限が付いており、その競売は極めて困難です。

というのも、株式の売却が実現したとしても、譲渡制限株式の場合、取締役会の承認なしに行われた株式譲渡は「会社に対して主張できない」からです。

※なお、非上場株式の競売については『時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由』にまとめていますので、興味があれば是非、ご参照ください。

 

つまり、韓国側で「被告企業」の非上場株式や知的財産権の差し押さえが行われていたとしても、これを売却することは非常に困難ですし、時間もコストもかかります。

信頼できないのは「韓国の裁判所」ではなく…

もっとも、韓国の場合は裁判所が法律を守らないということでも有名ですので、何らかの「謎のスーパー理論」を使って、差し押さえられている日本企業の資産の換金処分を強行する可能性はあります(※ちなみにそうなった場合は、当ウェブサイトで議論した内容が吹き飛んでしまいます)。

それと関連するのかはわかりませんが、昨日、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に、「韓国国民が司法機関を信頼していない」とする話題が掲載されています。

司法機関への信頼度OECD最下位、韓国大法院で大騒動に(2019/11/10 06:08付 朝鮮日報日本語版より)

朝鮮日報によると、OECDが加盟37ヵ国を対象に実施している、その国の国民1000人に「裁判所を信頼するか」を尋ねるという調査で、韓国が最下位だった、とするものです。

しかし、これに韓国の最高裁に相当する「大法院」が大騒ぎし、9月中旬、OECD本部に異議を申し立て、この結果、OECD側は「近く発行予定の最終報告書の司法機関信頼度ランキングから韓国を除外する」方針なのだとしています。

なかなか凄い記事ですね。

「ランキングで下位になったのが気に入らない」からといって、ランキング自体から自国を除外させようとするという発想は、なかなか斬新です。

朝鮮日報の記事からは、なぜ韓国国民が自国の裁判所を信頼していないのかについての詳しい情報は掲載されていませんが、

法よりも国民情緒を重視する恣意的な判決を見ると、確かに私たち外国人の目から見ても、韓国の裁判システムは信頼できません。

いや、厳密に言えば、「信頼できない」のは「韓国の裁判システム」だけではないのかもしれませんが…。


政府、韓国に冷静な対応求める GSOMIAめぐる高官発言に

2019-11-11 18:50:48 | 日記

政府、韓国に冷静な対応求める GSOMIAめぐる高官発言に

  
2019/11/11 17:41
 
 政府は、韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が、失効が迫る日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、
 
「韓日関係が正常化されれば延長を検討する」と述べたことをめぐり、引き続き韓国側に冷静な対応を求めていく方針だ。

菅義偉(すが・よしひで)官房長官は11日の記者会見で、韓国によるGSOMIAの破棄決定について

「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応」と重ねて指摘し、「引き続き韓国側に賢明な対応を強く求めていく」と述べた。

鄭氏はGSOMIAの破棄撤回と引き換えに日本側に対韓輸出管理厳格化の見直しを求めた形だが、菅氏は「全く次元の異なる問題だ」と強調した。

GSOMIA失効を間近にした韓国政府高官の発言に、外務省幹部は「韓国の方が何とかしないといけないと思っているということだ」と突き放した。


GSOMIA破棄「原因は日本側に」 韓国高官が言及

2019-11-11 18:21:25 | 日記

GSOMIA破棄「原因は日本側に」 韓国高官が言及

日韓対立
            
朝鮮半島
                    

2019/11/10 18:52

 
 
韓国大統領府の主要3幹部が記者会見した(左が鄭安保室長)=大統領府提供

韓国大統領府の主要3幹部が記者会見した(左が鄭安保室長)=大統領府提供

【ソウル=細川幸太郎】

韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は10日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄について「根本的な原因は日本側にある」と話し、日本に輸出管理の厳格化を撤回するように求めた。

鄭氏は「韓日関係が正常化すればGSOMIA延長を再検討する用意がある」と従来の主張を繰り返した。

【関連記事】 迫るGSOMIA失効、日韓対話も見えぬ接点

 

文在寅(ムン・ジェイン)政権が5年間の任期の折り返しを迎えたことで大統領府(青瓦台)の秘書室長、安保室長、政策室長の主要3幹部が記者会見した。

鄭氏は記者団の質問に答え、11月22日にGSOMIAが失効したとしても「軍事情報が完全に遮断されるわけではなく、安保に与える影響も限定的だ」との見解を示した。

また「延長できなくても国民は理解してくれると思う」とも話した。

GSOMIA破棄を巡っては、日本政府が見直しを再三要請しているほか、6日にはスティルウェル米国務次官補が来韓し康京和(カン・ギョンファ)外相らに翻意を促した。

さらに15日にはエスパー国防長官が鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと会談して韓国側に再考を催促する見通しだ。

掲載者コメント

苦しまぎれの言い訳


文在寅のせいで米国に見捨てられる 核武装しかないと言い始めた韓国の保守派

2019-11-11 17:59:46 | 日記

文在寅のせいで米国に見捨てられる 核武装しかないと言い始めた韓国の保守派

11/11(月) 16:31配信    

    

デイリー新潮

韓国の保守系紙が核武装を唱え始めた。

「米国から見捨てられる」ことにようやく気づいたからだ。

その背景を韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。

日本と同じ潜在的核保有国に

鈴置: 「韓国保守を代表するメディア」と自他ともに認める朝鮮日報が社説で核武装を訴えました。

11月8日の「核のない韓国からカネをむしり取るトランプ、核がなくとも安保ポピュリズムの文」(韓国語版)です。

最後の段落を訳します。


・過去70年間、我々は韓米同盟を基軸に北朝鮮・中国・ロシアの脅威を防ぎ、平和と発展を享受してきた。

だが、「一度も経験することのなかった」米大統領と、「一度も経験することのなかった」国を作る韓国大統領のポピュリズムが重なって、あたかも津波が安全保障の防波堤を乗り越えてくる状況だ。

・今、米国ではほんの一部ではあるが、韓国と日本の自衛的な核武装、(米国との)核シェアリング、(米国による)戦術核再配置などが公開的に議論されている。危機の中に光を探さなくてはならぬ。
 

朝鮮日報は翌11月9日の社説「在韓米軍分担金の増額、不可避なら安保の足かせも全て外すべきだ」(韓国語版)で、さらに踏み込みました。
 

米韓原子力協定を改定し、日本のようにウラン濃縮とプルトニウム再処理の権利を獲得する――つまり、いつでも核兵器を開発できる体制を整えるべきだ、と具体的な核武装への道のりを示したのです。

一気に5倍の分担金を要求

――なぜ突然、核武装を訴え始めたのですか? 


 鈴置: 「米国に見捨てられる恐怖」に襲われたからです。

米韓は在韓米軍の駐留経費の分担金の交渉に入りました。そこで米国が韓国に分担金を一挙に5倍に引き上げるよう求めていることが明らかになりました。
 

2019年の分担金は1年間で1兆389億ウォン(現在のレートで8・97億ドル=980億円)。

米国の来年以降分の要求額は年間47億ドルとも、50億ドルとも報じられていますから、5倍以上です。
 

これを韓国政府が呑むとはとても考えられません。

2019年の分担金は前年比8・2%増でしたが、それでも国民からかなりの反発の声があがりました。
 

今年の分担金が最終決着する少し前の1月25日に「仮に、増額に応じないと在韓米軍を撤収する、と米国が言ってきたらどうするか」と、ある世論調査が聞きました。
 

52・0%の韓国人が「在韓米軍が削減・撤収しようとも増額には反対」と答えています。

一方、「増額を受け入れる」が30・7%、「分からない・無応答」が17・3%でした(「文在寅で進む韓国の『ベネズエラ化』、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”」参照)。


 しかし今回、米国は強気で、本当に「呑まないと、在韓米軍を削減する」と脅しています。

先に引用した朝鮮日報の社説「核のない韓国からカネをむしり取るトランプ、核がなくとも安保ポピュリズムの文」(韓国語版)は

「米国の交渉代表は、米軍撤収・削減に関し『トランプ(Donald Trump)ならやりかねないぞ』と言ってくる。完全に脅迫だ」と書きました。

「米軍追い出し」を狙う文在寅

――露骨ですね。
 

鈴置: 単なる脅しで終わりそうにないところがミソです。

トランプ大統領なら在韓米軍の撤収に動いても不思議はない。2018年6月の第1回米朝首脳会談の後に「すぐにではないが、在韓米軍の兵士を故郷に戻す」と語っています(『米韓同盟消滅』第1章第1節)。


――米軍が撤収したからと言って、米韓同盟が消滅するとは限らないのでは? 


 鈴置: 在韓米軍の撤収は事実上、米韓同盟の消滅につながります。この同盟には自動介入条項がない。米国の軍人が韓国に存在することが、韓国が攻撃を受けた時に米軍が助けに来る担保となっているのです。
 

在韓米軍の削減・撤収は文在寅(ムン・ジェイン)大統領も後押ししています。

現在、韓国軍の戦時作戦統制権は米軍の大将が司令官を務める米韓連合司令部が握っています。
 

文在寅政権は「国軍の独立」を名分に、統制権の早期返還を求めました。米国も韓国の要求を基本的には受け入れ「韓国軍が十分な能力を保有することが確認された段階で移管する」ことになりました。
 

統制権の返還に伴い、連合司令部の司令官も韓国側が出すことになりますが、そうなると在韓米軍は大きく削減される可能性が大きい。

米国は「一定以上の規模の部隊の指揮は他国の軍人に任せない」との原則を持つからです。
 

文在寅政権は任期が終わる2022年5月までに統制権を返還するよう強く求めています。でも、韓国軍には北朝鮮軍の動向を偵察する能力もないなど、「独り立ち」は当分無理との見方が一般的です。
 

保守派にすれば、文在寅大統領は北朝鮮が核を持ったというのに米軍を追い出す、とんでもない指導者です。朝鮮日報の社説の見出しに「核がなくとも安保ポピュリズムの文」とあるのはそれを指します。

クルド人も見捨てた米国だから…

――「米国が韓国を見捨てる」ことに話を戻すと……。

鈴置: 韓国人にもっともショックを与えたのが、米軍がシリアから撤収するとの今年10月の発表でした。トランプ大統領は同盟関係にあったシリアのクルド人勢力を見捨てたからです。韓国人は「次は我々だ」と考えたのです。
 

朝鮮日報は10月11日、「トランプの『血盟のクルド人』への背信、他人の話と言っていられるのか」(韓国語版)という見出しの

社説を載せています。
 

裏切りを非難されたトランプ大統領は「第2次世界大戦でクルド人は米国を助けなかったからだ」と説明しました。滅茶苦茶な言い訳ですが、その理屈から言えば、韓国は真っ先に米国から見捨てられるべきです。


  韓国は「米国を助けない」どころか「米国を裏切り、中国の言いなり」になっています。

朝鮮日報の「中国側に立つな、米国務次官が露骨に圧迫」(11月8日、韓国語版)で、以下のように報じました。

クラック(Keith Krach)国務次官は11月7日(韓米外交当局がソウルで共催した韓米・官民経済フォーラムで)「中国は米国の価値に敵対的であり、米国に否定的な影響を持っている。

米韓関係はインド太平洋地域の安全保障追求に重要な柱の役割だ」と述べた。

 ・中国を露骨に批判しつつ、対中牽制策である「インド太平洋戦略」に韓国が積極的に参加するよう要求したのだ。
 

韓国はインド太平洋戦略への参加を拒み、逃げ回っています。この記事の見出し通り、韓国は米国から中国側に鞍替えし始めているのです。

分担金交渉が決別を呼ぶ

――日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄もその一環ですね。


 鈴置: その通りです。韓国は中国と北朝鮮から「米国との同盟をやめよ」と圧迫されてきた。そこで日本の輸出管理強化への対抗を名分に、これ幸いと日韓GSOMIAを破棄すると宣言したのです。


――分担金交渉が米韓の決別のきっかけになるかもしれない……。
鈴置: その通りです。トランプ大統領はカネのかかる在韓米軍を削減・撤収したい。一方、文在寅大統領は北朝鮮や中国との融和の邪魔になる在韓米軍には出て行って欲しい。
 

2人の大統領は嫌い合っていますが、この点では意見がぴたりと一致するのです。これから本格的に始まる交渉の場で「分担金を現在の5倍出さねば米軍を撤収するぞ」と米国が脅し、反発した韓国が「じゃあ、出て行け」と言い出す可能性がかなりあります。

政府の意向受け、米大使公邸に乱入

韓国の反米左派は伏線を敷いています。

10月18日、分担金引き上げに反対し「ハリス(Harry Harris)大使は出て行け」と叫ぶ学生19人が、米大使公邸に乱入しました。
 

大使は不在でけが人も出ませんでした。

が、塀をよじ登る学生らを警察が止めないなど実にいい加減な警備だったので、米政府は韓国政府に強力に抗議しています。
 

実は、大統領の本音を代弁すると見なされる文正仁(ムン・ジョンイン)大統領・統一外交安保特別補佐官が9月9日に「米大使館前のデモだけが米国の姿勢を変える」と、反米行動を呼びかけていたのです

(「韓国は元々中国の属国――米国で公然と語られ始めた米韓同盟の本質的な弱点」参照)
 

乱入事件を起こした学生らは警察への連行を不当と抗議し、期末試験が受けられるよう要求しましたが、それも当然でしょう。

彼らにすれば「青瓦台(大統領府)の呼びかけに応えた愛国の行動」だったからです。

――米国が怒るのも無理はない。

鈴置: 米国を怒らすのが文在寅政権の狙いだったかもしれません。

米国民が「反米国家の韓国から軍を引こう」と言い出せばしめたものだからです。
 

いずれにせよ、左派にとって分担金問題は願ってもない機会になりました。

本人と家族の不正疑惑により結局、辞任に追い込まれた曺国(チョ・グッ)法務部長官の問題で、保守は普通の人も味方につけて左派政権を脅かしています(「曺国法務長官が突然の辞任 それでも残るクーデター、戒厳令の可能性」参照)。
 

長官の辞任後も、「曺国逮捕」「文在寅退陣」を叫ぶ大型の反政府集会・デモが続いています。これだけ盛り上がる背景には、米国との同盟を揺らす左派政権への危機感と憎悪があります。
 

そこに米国が「分担金を一気に5倍」の要求。これには韓国人ならだれもが不快感を抱きます。今度は自分たちが普通の人を取り込んで親米保守を叩くチャンスだ、と左派は考えているでしょう。

苦し紛れの核武装論

――韓国の保守はどうするのでしょうか? 

鈴置: 冷静な保守は「5倍」は呑まざるをえない、と考えます。米国はもう、「甘やかしてくれる米国」ではない。「5倍」を呑まない限り、米軍を引き上げる可能性が高いからです。
 

でも、世論はまず「5倍」を認めない。そこで「5倍」払うが、核武装の権利を認めよと米国に迫れば、国民の支持も集まると考えているのでしょう。

それがまさに朝鮮日報の社説です。
 

もちろん、米国が核武装を認めてくれること自体も目的です。「今」でなくとも、米国に見捨てられる可能性が高まっているのですから。
 

ただ今の段階で、米国が核武装を認める可能性は低い。

それにこうした取引案は左派政権が潰すでしょう。米韓同盟を存続させるための案なのですから。

――この先はどうなる? 

鈴置: 11月15日にはエスパー(Mark Esper)米国防長官がソウルで鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防長官らと会談します。

分担金や、11月22日に最終日を迎える日韓GSOMIAに関し話し合う予定です。米韓同盟の転換点を迎えます。
 

展開はまったく読めません。韓国という国は感情で動くからです。

不愉快でも米韓同盟を維持するために、分担金の大幅引き上げを受け入れるか。それとも怒りに身を任せて「米国は出て行け」と叫ぶか――。
 

日本人は極度に悪化した日韓関係に注目しがちです。でも、その底では、もっと大きな地殻変動――米韓同盟消滅――が始まっているのです。これを見落としてはなりません。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集
2019年11月11日 掲載

    

新潮社


韓国国会議長の「元徴用工解決案」が非現実的な理由

2019-11-11 17:45:14 | 日記

韓国国会議長の「元徴用工解決案」が非現実的な理由

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日本企業に賠償を求める元徴用工と遺族ら(写真:ロイター/アフロ)

 

 20カ国・地域(G20)国会議長会議に出席するため来日していた韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が私案と断りながらも独自の徴用工問題解決案を提示した。

内容は、日韓の企業に加えて両国の国民も参加する案となっている。

即ち、両国の国民からも寄付を募り、元徴用工らを金銭的に支援するというものだ。

韓国政府のこれまでの「1プラス1」(日韓の企業が自発的に基金をつくり慰謝料を支払う)案ではなく、「両国民(民間)からの寄付」を加味した「1+1プラスα」案である。

さらに、元徴用工への支援金には旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意に基づき設立された「和解・癒し財団」の残りの財源60億ウォン(約5億6千万円)を含めることもアイデアとして提示されている。

文議長は日本企業の負担については最高裁の判決に従っての賠償ではなく、何らかの名目による「自発的な寄付」と位置付けている。

日本企業からの自発的な寄付を日本企業の賠償責任に代わるものとみなすとの解釈だ。

仮に文議長の「私案」が韓国政府の意向を反映しているならば、韓国はこれまでの「日韓企業が折半する案」を修正したことになるが、この修正案でも日本は呑めないだろう。

理由は簡単だ。

裁判所の判決に基づく支払いでも、寄付という形にせよ、日本の企業は支払う必要がないとの立場に立っているからだ。

何よりも、日本の企業に支払いを命じた韓国の最高裁の判決を「国際法違反」とみなしていることに尽きる。

日本は54年前に交わした日韓請求権協定に基づき元徴用工らへの補償金を含んだ3億ドルの無償援助をしているので当時、支払い義務を怠った韓国政府に責務があるとの立場を一貫して貫いている。

従って、どのような形にせよ、日本の企業が金銭を出せば、韓国の国際法違反を認めてしまうことになるだけでなく、日本自らが国際法に反する行為を行うことになってしまう。

 

また、文議長の「私案」は日本国民にも自発的な寄付を要請しているが、これにも無理がある。

 一つは、どうして国民が敗訴した日本企業の金銭負担を負わなくてはならないのかとの単純な理由と、村山政権下で民間から寄付を募って「アジア基金」を設け、元慰安婦への支援金に充てたのにその後も元慰安婦問題が解決しなかった苦い経験がある。

従って、日本国民の賛同を得ることはできないだろう。

韓国国民もまた、この「私案」には賛同しないだろう。

 一つは、韓国の最高裁が支払いを命じたのは日本企業であって、法に則って日本の企業が応じるのは筋と捉えているからだ。

加害者である日本企業の責任を韓国政府であれ、国民であれ分担するのは道理に合わないとの考えだ。

また、最高裁の判決を反故にする形の手打ちは法治国家としての存立に関わる問題と捉えている。

次に、元徴用工や支援団体が日本企業を相手に裁判を起こした目的は「適切な補償」と同時に日本政府の「責任認定」と「誠意のある謝罪」を得ることにある。

文国会議長の「私案」は補償金の支払い方法に焦点を当てているが、

2015年12月の元慰安婦問題を巡る「日韓合意」に基づき、日本政府が新たに設立された「和解・癒し財団」に10億円を拠出し、元慰安婦へのお見舞金として充てたにも関わらず、

今また、蒸し返された理由こそが、元慰安婦及び支援団体が「日韓合意」に納得せず、「責任認定」と「誠意のある謝罪」を日本政府に要求したことにある。

従って、文政権としても、被害者らの同意を得ず「慰安婦合意」を交わしたことで世論の反発を買った朴槿恵前政権の二の舞になりかねないだけに下手には妥協はできないだろう。

 

辺真一 ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動開始。98年 ラジオ「アジアニュース」パーソナリティー 。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。著書に「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人、残念な日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など25冊