北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】VBTP-MRグラアニ装輪装甲車とパトリアNEMO搭載AMPV自走迫撃砲,PULSロケットシステム

2024-05-27 20:08:17 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は陸軍関連の話題ですがグラアニ装甲車という96式装輪装甲車と同程度の取得費用d調達できる装備の話題を最初に。

 フィリピン陸軍は新たにVBTP-MRグラアニ装輪装甲車の配備を開始しました。VBTP-MRグラアニ装輪装甲車はブラジル製でイヴェコ社がブラジル国内において製造している装輪装甲車、車体部分はドイツのウニモグトラックが応用され、6輪式装甲車ながら安価にまとまっていることでブラジル軍は2012年より2044両の調達を決定している。

 VBTP-MRグラアニ装輪装甲車はフィリピン陸軍にも安価で高性能として28両の採用が決定、今回最初の5両がフィリピンに到着したとのこと。ただ、この車体にウニモグ社製車体が採用されていたため、ブラジルとドイツの国家間摩擦に際してドイツ政府がウニモグ車体輸出を規制対象としたため納入が大幅に遅れ、昨年末漸く出荷が叶いました。
■スカイレンジャー
 沿空域という高度10mから50mまでの利用されていない空域の軍事利用に対して日本は無防備すぎやしないかと。

 オーストリア軍はパンドゥールEVO装甲車にスカイレンジャーシステムを搭載します。これはラインメタル社との間で現在調整が進められているもので、オーストリア軍が装備するパンドゥールEVO装輪装甲車の一部、少なくとも36両に対してスカイレンジャー機関砲システムを搭載、30mm機関砲による低空防空に充てるというもの。

 スカイレンジャーシステムは2023年12月にハンガリー軍が開発契約を結んでおり、オーストリア軍もこの潮流に乗ったかたち。一時は時代遅れと言われた30mm機関砲による低空防空システムは、国境地域などでの小型自爆用無人機多数による攻撃という新しい脅威を迎える現代に在って、安価だが確実な防空システムとして注目を集めています。
■レオパルト2A8
 あれだけチェンタウロ装甲偵察車を保有し120mm砲搭載のチェンタウロ2を量産開始するイタリアでも、機動砲は戦車の代りにはならないのだという実情を突き付けていますが本邦は。

 イタリアが導入するレオパルト2A8戦車はイタリア製戦車砲を搭載する方針とのこと。アリエテ戦車の深刻な稼働率低下を前にイタリア軍はロシアウクライナ戦争を受け従来型の大規模戦争への対応能力を再構築するべく主力戦車部隊の稼働率強化を模索、この結果アリエテ主力戦車の稼働率強化は費用対効果に乏しいと判断しました。

 レオパルト2A8をドイツより導入しつつ独仏将来戦車計画に参加する、こうした方針を示したものですが、レオパルト2A8について、ドイツから完成車体を導入するのではなく、イタリアのレオナルド社がラスペツィアに有している装甲車両組み立て施設においてレオパルト戦車を組み立てる方針で調整を進めています。この際に仕様も変える。

 イタリア仕様レオパルト2A8戦車の開発については既に2023年12月にレオパルト2に関する改良などを担うKNDS社との間で契約に盛り込まれているとのことで、レオナルド社は火器管制装置や指揮統制システムと無線機のイタリア軍仕様搭載を進めていますが、ここにイタリア製120mm戦車砲の搭載が加わる。イタリアは130両を導入する。
■アージュンMk-1
 日本の10式戦車はT-72戦車と同じ重量に90式戦車以上の性能を注ぎ込む事に成功した訳ですがこの困難さをインドが示している感じ。

 インド軍が導入するアージュンMk-1戦車の製造が遅延の見込み。これはエンジンとして1400hpのドイツMTU社製4ストロークV型10気筒多燃料液冷ターボチャージドディーゼルエンジンを採用したものの、肝心のエンジンがMTU社からの納入遅延があったため。このエンジンはターボチャージャー部分をインドが生産しています。

 アージュン戦車は1974年からセンチュリオン戦車の後継戦車として開発を開始したものの技術不足から遅々そして進まずT-72戦車やT-90戦車などを繋ぎとして導入し、2010年に漸く試作車が完成、T-90S戦車との競合試験に勝利し採用が決定しました。なおこのアージュンとは神話マハーバーラタに登場する戦士アルジュナにちなんだもの。
■レオパルト1A5
 戦車は数が必要なのだという厳しい現実を欧州が冷戦後の判断のツケを支払う最中に本邦では74式戦車が退役しました。

 ギリシャ陸軍はレオパルト1A5戦車の近代化改修を検討しているとのこと。ギリシャ陸軍は既にレオパルト2戦車を導入しているものの第二線級となっているレオパルト1についても能力向上は必要な選択肢として重視しています。レオパルト2の組み立てやリンクス装甲戦闘車計画などに参加しているギリシャのEODH社案が示されました。

 EODH社によれば、LEP改修として特に砲塔の対戦車火器や自爆用無人機などからの防御力強化型を提案しており、砲塔部分の全周にわたる追加式中空装甲と上部には金属製の屋根を追加、また車体側面と車体正面装甲についても追加装甲を装着し、またデータリンク能力についても大幅に強化し、主砲は105mmだがミサイルを運用するというもの。

 戦闘重量はこれらの改修により46tにまで増大する為、エンジンを現在の860hp水準から1000hpまで強化するとともに懸架装置も強化し、機動性を確保する案です。ギリシャ軍は1983年より104両のレオパルト1を採用、冷戦後はオランダから中古車両170両を取得するなど中古レオパルト1を集め続け、現在も500両以上が現役となっています。
■パトリアAMV
 日本の選択は正しかったのかとパトリアAMVについてドイツのボクサー装甲車の話題と共によくかんがえるところなのです。

 スロバキアはパトリアAMV装輪装甲車のライセンス生産を開始します。これはフィンランドのパトリア社とともに進める技術移転の一環であり、スロバキアの防衛企業CSMインダストリー社が受け皿となりスロバキア軍向けパトリアAMV装輪装甲車の国内生産体制を確立するためのもの。技術移転契約そのものは2022年に結ばれました。

 BOV装甲車計画としてスロバキア軍は次期装輪装甲車にパトリアAMVを選定、スロバキア軍は76両のパトリアAMV装輪装甲車を導入します。またその際に独自の装備として30mm機関砲を備えたスロバキアのトゥーラ社製砲塔GTS-30/A機関砲塔を搭載することとなり、この為にスロバキア国内での生産でパトリア社と合意しました。
■PULSロケット
 MLRSもHIMARSも生産が手一杯ということでイスラエルからロケット砲を導入するのですが一方で日本ではMLRSを廃棄して解体しているのですよね。

 オランダ陸軍はPULSロケットシステムの第一陣の2両を受領しました。PULSロケットシステムはイスラエルのエルビットシステムズ社製でアメリカのM-142HIMARS高機動ロケットシステムと同様にコンテナ式ロケット弾薬を運用する装甲トラック式の機動砲兵システムで、オランダはロシアウクライナ戦争を受け導入を決定しました。

 PULSロケットシステムが採用された背景には、HIMARSを製造するロッキードマーティン社がフルレート生産を行うものの納入時期が相当先となり、喫緊の歩兵火力不足を補うべくイスラエル製が採用されたもの。計画では20両を導入し、第13軽歩兵旅団と第43機械化旅団に2個小隊編成8両から成るロケット歩兵中隊を置く構想です。

 ロシアウクライナ戦争を受けての緊急調達であるため、車体部分はチェコのタトラ社製タトラ815-7軍用六輪型トラックに搭載されていますが、この装備は非装甲でありオランダ軍の整備補給体系には無い装備であり、先ず車体と共に導入した後、発射装置だけを概ね2026年以降、スカニア社製グリファス装甲トラックに載せ替える計画があります。
■最新ハリマウ中戦車
 首都防衛には戦車というのは日本と同じ。

 インドネシア陸軍は遷都を前に最新ハリマウ中戦車をボルネオ島に配備しました。インドネシア陸軍は長らくフランス製AMX-13軽戦車を運用していましたが、ドイツ軍余剰のレオパルト2主力戦車導入により主力戦車の重要性を認識し、トルコとの防衛協力を受けトルコのカプラン中戦車をもとにハリマウ中戦車を開発することとなりました。

 ハリマウ中戦車、今回ボルネオ島に配備されたのは陸軍第13騎兵大隊で、ハリマウ中戦車9両が配備されたとのこと。この背景には2024年8月17日に首都を現在のジャカルタからボルネオ島の新都市ヌサンタラに遷都することが間近となった為、ボルネオ島の防衛力を国産戦車により強化したいという国威発揚も背景にあるのかもしれません。
■パトリアNEMO
 自衛隊がパトリアAMVを採用した際にこちらも採用するのではないかと期待していましたが先に米軍が試験を開始したという。

 アメリカ陸軍はパトリアNEMO搭載AMPV自走迫撃砲型試作車を受領しました。1960年代から多数が納入された軽装甲だが使いやすいM-113装甲車の後継装備としてアメリカ陸軍はブラッドレイ装甲戦闘車の車体部分を利用した重装甲のAMPV多目的装甲車両を受領していますが、自走迫撃砲は従来型の戦闘室に迫撃砲を置いたものでした。

 今回イギリスのBAEシステムズ社は改良型の自走迫撃砲型をアメリカ軍へ納入したとされ、発表されたものはExMEP外部ミッションパッケージ方式によりパトリアNEMO自動迫撃砲システムを搭載したもの。パトリアNEMOはパトリアAMV装甲車などに搭載し、自動装てん方式で、且つ行進間射撃能力を持つ世界初の間接照準可能な砲兵装備です。
■国産開発のバッテリー
 国産技術を育てる世界の潮流の一つ。

 タイ陸軍は国産開発のバッテリーの海外製戦車搭載試験を開始しました。タイ陸軍には中国より導入したVT-4主力戦車と、1990年代にアメリカより導入したスティングレイ軽戦車が配備されています。タイの工業力では残念ながら主力戦車は勿論軽戦車さえ国産化する能力はありませんが、先ずは関連技術、バッテリーを国産開発したとのこと。

 ARDO国防研究開発局とコンケン大学は共同し独自のリチウムイオン電池仕様バッテリーを開発し戦車用に改良、これは2022年のOPS-MHESI科学技術研究イノベーション振興事業の一環として行われています。従来の車体には鉛式蓄電池が採用されていましたが、今回の搭載により同じバッテリー区画でもより大容量の電力供給が期待されています。
■新型NASAMS
 AMRAAMに一本化するという施策は日本では考えられないような一見リスクが有りそうには見えるのですが量産効果と備蓄を考えると選択肢なのでしょうか。

 ノルウェー国防省は新型NASAMS地対空ミサイル試験を成功させたとのこと。これはアメリカのレイセオン社が新しく開発した射程延伸型のAMRAAM-ER空対空ミサイルをNASAMSの地上発射システムに適合させる試験で、NASAMSを開発したノルウェーのコングスベルクディフェンスアンドエアロスペース社が主導しています。

 NASAMS、もともとAMRAAM空対空ミサイルを地上発射型とするものですが、これにはそのまま発射器に詰め込んだだけでは発射できず、コングスベルクディフェンスアンドエアロスペース社がが開発した10インチコントロールアクチュエーターシステムと統合する必要がありました。発射試験では正常にプログラム飛行を行ったとのこと。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-新しい焦点"ヴォフチャンスク"とチャシブヤール周辺最新情勢,ノヴィミクライオン防衛戦

2024-05-27 07:00:19 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 130機のF-16があればロシア空軍に対抗出来るという言葉は局地的な校区優勢確保に関する一つの視点を示しているのでしょうか。

 ハリコフ州でのロシア軍攻撃の概況について、ISWアメリカ戦争研究所は5月18日発表の戦況報告において、ヴォフチャンスク占領が第一目標であると分析していますが、同時にロシア軍侵攻がヴォフチャンスク占領だけで一段落するのか、ヴォフチャンスクを攻撃起点として更なるハリコフ州侵攻を目指すのかは判断が分かれる、と。

 緩衝地帯確保が目的とISWはロシア軍ハリコフ州侵攻の目的を分析していますが、一方でISWはヴォフチャンスクがロシア国境に近いことからウクライナ第二の都市であるハリコフ市など、ハリコフ州深部への更なる攻撃の起点として最適な位置にあるため、ハリコフ市を砲撃可能という距離まで侵攻が続く可能性もあると分析しました。

 防空システム不足がハリコフ州での苦戦の背景にある、これはISWがゼレンスキー大統領の発言を紹介しており、ハリコフ防衛に必要な防空システムは25%しか無い状況で、大至急ペトリオットミサイルシステム2セットが必要であり、またウクライナ空軍がロシア空軍に対抗するには130機程度のF-16戦闘機が必要であるともしています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 東部戦線全般の情報を纏めてみましたが戦車の重要性を痛感するところでして本邦の戦車に関連する施策についてももう少しその強化を考えて欲しい。

 チャシブヤール周辺の最新情勢について、ISWアメリカ戦争研究所は5月18日付戦況報告で最新の情報をまとめています。全般状況としてロシア軍はアイディイフカ近郊のヤスノブロディフカとロボティネ北部において前進しているとのことですが、ウクライナ軍はチャシブヤール東部のノヴィミクライオン方面でロシア軍を阻止しました。

 ノヴィミクライオンでの防衛戦は17日に大規模な戦闘が発生しており、ロシア軍は戦車2両を先頭とした装甲車21両による攻撃を実施しウクライナ軍防衛線に阻まれており、続く18日にも小隊規模の機械化部隊攻撃がおこなわれたもののこれも阻止に成功したとのこと。チャシブヤールでは最近、部隊の移動がおこなわれたばかり。

 チャシブヤールは最近、ハリコフ州ヴォフチャンスク防衛強化のためにウクライナ軍部隊の一部が抽出され転用されていて、ロシア軍はチャシブヤール地域の空隙が埋められる前に攻撃を加えたとISWは分析していまして、現在ロシア軍はチャシブヤール攻撃にまだ攻撃衝力が残っているとしてさらなる前進の可能性を指摘しています。

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【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【23】自衛隊とアメリカ軍マルチドメイン戦略(2)(2012-10-08)

2024-05-26 20:23:00 | 海上自衛隊 催事
■海軍記念日
 明日は海軍記念日です。自衛隊とアメリカ軍マルチドメイン戦略、という本来は独立した防衛備忘録などで哨戒する話題を観艦式の写真解説に代えて掲載する第二回です。

 日本の海上防衛戦略について。いま振り返ると海上自衛隊創設60周年という2012年は確かに前年に東日本大震災とこれに連動した福島第一原発事故は発生していましたが、それでも総じて考えるならば平和であったなあ、と実感するのです。

 台湾海峡の緊張と南シナ海の緊張、そしてなにより2022年より継続しているロシアウクライナ戦争のような、軍事力による現状変更はその端緒となるクリミア併合さえ2014年の出来事でしたので、景気不景気の波はあっても総じて平和は続くのだろうと。

 ロシアウクライナ戦争を端緒とした国際情勢の緊迫は、逆に欧州をみていいますと戦争準備といいますか、日本以上にもう何も起きないだろうという楽観論が、なにしろ2014年のクリミア併合を経てさえも、もう漠然と共有知として受け止められていた。

 欧州の突発的な緊張の認識にくらべますと、一応2011年の尖閣諸島国有化や、2007年の北朝鮮核実験、いや繰り返すミサイル実験か、緊張というものはある程度となりにありましたのが日本ですから、全く備えはない、とはならなかったことは僥倖ですが。

 観艦式ひとつとって、これだけの艦艇を動かせる状況にあるのですから相応に脅威が増大しても対応できているという背景なのですが、それにしても、ここまで米中の緊張と台湾海峡問題の切迫度というものはこの日護衛艦ゆうだち艦上では、現実味がない。

 自衛隊観艦式はこのつぎの2015年観艦式を最後に巨大台風や記録的悪天候と新型コロナウィルス感染症などをうけ2014年、じゃあない2024年までいまなお実施できていません。ただ、悪天候では仕方ない、という言葉だけでは説明できないものもありまして。

 予備日を十分とれない、一発本番というわけではないのですけれども、この観艦式は前の一週間の土曜日日曜日の予行と本番前一週間の予行と数日間行われていましたが、2018年観艦式は土日で本番と前日予行の二回のみしか設定されていませんでした。

 2021年観艦式は、CO0VID-19新型コロナウィルス感染症、の影響というよりも2021年に東京五輪をおこなう関係上、中央観閲式を行えない関係から年度単位で陸海空自衛隊行事を動かす必要が生じていて2022年の開催となりましたが、これも悪天候が響く。

 予備日を十分かくほしないというのは別に準備の手配をわすれていたウッカリさんというわけでもなく単に実任務の増大、警戒監視とミサイル防衛に海賊対処任務、艦艇を二週間近く延々と観艦式支援に当てられない、という状況の裏返しにほかなりません。

 地方隊展示訓練も艦艇の実任務が多く、いや2016年熊本地震によりすべての展示訓練が中止されて以降、2022年に舞鶴展示訓練が一回行われたのみでほかはすべて中止となっています。2023年に佐世保が護衛艦いせ一隻のみの展示訓練を計画していましたが。

 こうしたなかで日本の防衛戦略を根本的に見直しが迫られているのではないかという視座です。とまあこう書きますと、今まさに見直しているさなかではないか、と反論といいますか指摘といいますか注釈といいますが、一言あるのかもしれません、しかし。

 反撃能力整備というようないまの防衛戦略の転換にとどまらない、何か根本的な戦略の見直しが必要になっているのではないかということです。憲法改正とか核武装とか原潜保有とか徴兵制とか残業代導入とかそういうことも些細なようにしかおもえない。

 日米同盟、しかしアメリカの増援まで日本が耐え抜くという前提での防衛戦略というものが今後中国の軍事力さらなる強化をまえに成り立つのかということです。いいかえれば、アメリカの増援というものを念頭に日本の防衛戦略が練られてきた土台そのもの。

 安保ハンタイ、と口角泡とばして叫ぶものではありません、いやむしろ視点とはその真逆で日米の対等な防衛協力がなければ、アメリカだけの戦力では今後日本を守るというよりも国際公序を維持できないようになるのではないかという危惧という。

 独自防衛という甘い考えでもなく、です。独自防衛というものは不可能でないにしても効率が悪く、具体的にはその必要なリソースの確保に日本経済が耐えられないことと、独自防衛は国際協調から一歩引くことも意味し、その説明の努力も必要だ。

 防衛へのリソースというものは、基本平和が続きますと防衛への関心が薄れてしまうもので、そのために、それはテレビで何かやっていれば自衛隊モノをみるというような水準を超えるものではなかなかありません、何か動くことを期待できないのですね。

 防衛戦略の視点に戻しますと、やはり課題となるのは隣国の接近拒否領域阻止の戦略です、これこそ専守防衛の在り方か、とおもわれる名前ですが、実体は日本列島を含めたマリアナ諸島までをミサイルと爆撃機や潜水艦により聖域化するという様式で。

 絶対国防圏としてアメリカ軍をマリアナ諸島より遠くで防ぐという帝国陸海軍の太平洋戦争における戦略と似たものなのかもしれませんが、マリアナ沖海戦で瓦解した絶対国防圏とことなり、中国の戦略はミサイルや爆撃機と潜水艦でかなり現実性がある。

 接近拒否領域阻止の概念と日米同盟の問題で難しいのは、これを中国が本気で整備している現状、まずこの具現化のための中国本土のミサイル網を日本本土から破壊しなければ第七艦隊の空母部隊は日本本土へ到達が難しい、という日米同盟の根幹の揺らぎ。

 マルチドメインタスクフォースという、アメリカの対抗策では大陸に対して同盟国へ射程の長いミサイルを持ち込んで、これはフィリピンと日本本土、あとは韓国を含めるのだろうかという点に加えてアメリカ領グアムとサイパン、ここから撃ち合うもの。

 中国本土との撃ち合いの場合は、なにしろ中国本土には核ミサイル部隊が展開していますから場合によっては戦術核が使われかねない点を、アメリカはどのように段階的アプローチを試みるのかは未知数ですが、核兵器国同士のミサイル戦は過去に例がない。

 ロシアウクライナ戦争では度々プーチン大統領が核兵器に言及していますが、これもウクライナが核兵器を持っていないためにロシアとのミサイル戦をおこなっても核戦争に発展しないわけで、NATOが仮に地対地ミサイルを整備した場合はその限りなのか、と。

 接近拒否領域阻止とマルチドメインドクトリンの衝突は、もう少し核戦争の懸念というものに想像力を膨らませてみるべきではないかという懸念をもつとともに、しかしするとシーパワーというものの土台さえ揺らぐような戦略の転換だと認識が必要でしょう。

 海上防衛、日本の場合はシーレーン防衛と着上陸阻止に2010年代からミサイル防衛が任務に加わりましたが、この部分の変容をどのように受け止めかつ変革を行うのかという厳しい判断がそろそろ考えなければならないようにもおもうのですね。

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【京都幕間旅情】特急ひだ号HC85系気動車,大阪-高山間296km!京都駅から岐阜の飛騨高山は高山駅に直通

2024-05-26 20:00:08 | コラム
■大阪高山直通特急
 HC85系気動車の駆動音があさの京都駅に響くとともに0番ホームには路線図を見るならば驚くほど遠方に向かう特急が到着します。

 ひだ号、京都駅到着。ひだ25号は0831時に京都を出ますと米原と大垣を経て岐阜、そして美濃太田と下呂に停車し1214時、高山駅に到着します。運賃は特急料金を含めて7260円で所要時間3時間43分、時間はかかりますがここから高山まで296km、乗り換えは不要だ。

 新幹線を使うと、もう少し後に京都駅を出発する、のぞみ80号名古屋ひだ5号乗り換えで所要時間3時間13分、ただし新幹線ホームから在来線まで5分で乗り換える必要があるので余裕を持った乗り換えだと一本前の新幹線が望ましい、運賃は10450円とのこと。

 乗り換え、いまでは北陸新幹線の敦賀開業にともなうサンダーバード号の鶴賀での新幹線かがやき号乗り換えという煩雑さを思い出すのですけれども、そう、京都駅で特急ひだ号需要が、そちらのほうが所要時間が長いにも関わらず、一定程度ある現実が。

 クルーズトレイン、というわけではないのですが飛騨高山といえばビジネス旅客需要も十分あるのでしょうがやはり観光輸送という側面が大きいはずでして、これを考えると駅弁と飲み物片手に、コンセントもあるというのでスマホと旅という需要は大きい。

 特急と新幹線のりかえというのは、なれている人にはとんとんと階段を下りて通路とおり階段を上るだけ、なのかもしれませんがやはりそこで、降りる準備と乗る準備と落ち着くまでの時間と旅情というものが寸断するのはどうしてもいなめません。

 所要時間がすべて、という新幹線ですが、この特急ひだ号のように、せめて北陸新幹線が大阪開業までは、サンダーバードを一日二往復だけでも金沢に乗り入れることはできないものかなあ、と思うのですね。京都駅にはこうして高山方面乗り場があるのだ。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-近鉄京都駅,包み焼きのかたちで百年ハンバーグの愉しみ

2024-05-26 18:11:41 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌というからには総監部のある街のある都道府県繋がりで舞鶴地方総監部の舞鶴市の府庁所在地である京都市の話題です。

 百年ハンバーグ、ちょっと疲れたときはおいしいものを食べたいよね、とおもったときに降りた駅が近鉄京都駅ならば、真下にエスカレータで降りてゆきますと東洋亭という京都ならではの洋食やさんがあります。ここは遅い時間帯もランチセットが楽しめて。

 トマトも丸ごとトマトのサラダ、じつはこれほかのお店でも有名なものがあリマして、トマトの食べ方の定番の一つなのかもしれないのですが、家庭でトマトサラダとするよりは一つ凝っていて、しかも野趣あふれるようでちょっと美味しいとともに楽しいのだ。

 ライスと合うのも、洋食という、これは日本食の一部が日本に最適化されたかたちでの欧風食文化なのだ、という世界の視点があるようなのですがなんといわれようとここの百年ハンバーグはソースがごはんとよくあうようになっているので、これもたのしみ。

 包み焼きのかたちで百年ハンバーグはおおきなジャガイモとともに好きレット上で運ばれてきて、そのハンバーグはビーフシチューのような濃厚な、しかしビーフも浮かぶ、ソースとともに、ご飯に載せても、もちろん単体でも、肉汁もソースも全て最高だ。

 アイスティーをつけて、ちょっとあつあつを急ぎ足おおちがう急ぎ口でいただいたのでホテルというよりも口の中ヤケドするてきな状況からほっと一息つきます。冷たさの中にしっかりとアイスティーがベルガモットの香りとともにからだにしみわたる。

 東洋亭、本店は北山駅前という、地下鉄烏丸線では北大路駅のとなりの駅前にあるこれぞ老舗という感じの建物にあるのですが混雑している印象が、京都駅の、近鉄京都駅真下にあります東洋亭は、逆に混雑していないちょっとした穴場のひとつなのですね。

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ウクライナ情勢-ハリコフ州攻撃は部隊交代時機狙い,ロシア軍電子妨害と反撃のベルベク飛行場攻撃

2024-05-26 07:00:21 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナでの電子戦にかんする情報です。自衛隊が今後想定する無人航空機や野外通信と電子戦の影響というものは戦訓として非常に重要な意味を持つものです。

 ロシア軍の電子妨害によりドローンが飛行不能となった、ISWアメリカ戦争研究所は5月17日付ウクライナ戦況報告においてその状況を説明しています。これは17日にワシントンポストが報じたもので、具体的には5月10日のハリコフ再侵攻に際して電子妨害が広範にかけており、ドローンが飛行不能になっていたとのこと。

 ドローン飛行不能とともに、ウクライナ軍が通信を依存するスターリンク衛星通信についても使用不能になっていたと前線部隊指揮官の発言をワシントンポストが報じています。他方、ウクライナ軍は16日から17日にかけクラスノダールへの無人機攻撃を実施、クリミア半島のエネルギー施設や海軍基地へ攻撃を行い成功しました。
■ハリコフ州攻撃
 自衛隊が部隊行動秘匿をかなり重視している事はこういう戦訓一つとって非常にわかりやすいことなのですが。

 ロシア軍のハリコフ州攻撃は部隊交代の時機を狙ったものだ、ISWアメリカ戦争研究所5月17日付ウクライナ戦況報告では今回のハリコフ攻撃についてウクライナ陸軍のシルスキー司令官の見解を紹介しています。この攻撃はレニングラード軍管区の第11軍団、第44軍団が主導したもので、ウクライナ軍は虚をつかれた構図といえます。

 ウクライナ軍はこのロシア軍侵攻の時点でハリコフ州北部を防衛する部隊の交代を準備しておりその瞬間が狙われたとのこと。また今年失陥したアウディイフカについてもウクライナ軍部隊交代の瞬間に攻撃を受けウクライナ軍が後退を強いられており、部隊交代の情報秘匿に関する難しさなどを端的に示しているといえるでしょう。
■ベルベク飛行場攻撃
 ATACMSの威力だ。

 ウクライナ軍が実施したベルベク飛行場攻撃の戦果についてイギリス国防省は5月18日付の戦況報告で詳細をしめしています。クリミア半島のベルベク飛行場攻撃はその第一報でS-400防空ミサイルシステムのレーダーシステムとミサイル発射装置が破壊され、MiG-31BM戦闘機2機が地上で破壊されたという付帯情報も続報されました。

 クリミア半島でのウクライナ軍攻撃はこの一ヶ月で4回にわたり成功しており、5月12日にはレーダーサイトが破壊、4月16日と4月29日にはジャンコイ飛行場攻撃に成功したとしています。ロシア軍は相次ぐ攻撃から戦闘機分散を進めていますが、分散するほど防空システムの数が必要となり、その確保ができなければ戦闘機損失が増す。

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【M-5撮影特報】岐阜基地日常風景,C-1輸送機初号機/C-1FTB飛行訓練(2024-04-27)

2024-05-25 20:24:39 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■C-1FTB飛行訓練
 C-1は撮影出来る時に撮影しておこう。

 岐阜基地に隣接する三井山の三井城跡に少しだけ時間がありましたので上って参りました。こういいますのも、そろそろC-1輸送機の完全退役という時代が見えてきましたので、COVID-19新型コロナウィルス禍下でのファントム撮影を少し思い出した構図で。

 T-4練習機、岐阜基地では定番のように飛行しています。考えれば岐阜の飛行開発実験団でも運用されていますがそもそもT-4を開発したのは川崎重工であり、そして川崎重工岐阜工場においてT-4は製造さえているのだから本場といえばT-4の本場なのです。

 C-1FTBが動き始めた。この写真だけをみますと雪山を背景にT-4練習機が力強く浮き上がっている様子しかみえないのですが、よくよく注目しますと誘導路を進んでいますC-1FTBがみえています、つまりこれから離陸するという状況でもあるのですね。

 T-4練習機の旋回、タッチアンドゴーを繰り返しているのですが三井山からはその滑走路にタッチしてゴーの為に離陸した直後の旋回をよく、眼下とはいわないまでも、地上で撮影するよりも若干近い位置から撮影できてしまう、だから山に登りました。

 C-1FTB,離陸準備のために滑走路エンドに進入しました。岐阜基地を眼下に納めることのできる撮影位置としてはここ三井山のほかに東海自然歩道という山の稜線に沿った遊歩道がありまして、実はその道をたどると比叡山まで続いているのですけれども。

 とんだ、飛び上がったC-1FTB,川崎重工岐阜工場と岐阜工場で定期整備としてはいっていますP-1哨戒機とともに構図に収めました。C-1は短い滑走距離でふわりと舞い上がるように離陸しますから、動き始めたC-1はファインダーからはずさないように。

 三井山から撮影できる構図というのは、各務原市街地の一部を順光の構図で航空機写真とできるところでして、基地から離陸する航空機を眼下に納められる構図、岐阜基地以外だと、小牧山と小牧基地は遠く小松基地と白山は遠すぎるため、貴重な立地、か。

 東海自然歩道から撮影する場合は、実はかなりこの三井山よりも標高が高いために名古屋市のビル群を背景に構図に収められるというのですが、逆光なんですよねえ、というのは建前の言い訳、標高が高い分三井山よりも上るのに時間がかかり、そして疲れる。

 EOS-M5で撮影したものなのですが、実はこの日、このほかに一眼レフを持っていませんし2400mm超望遠を誇るG3Xも手元にありません、所用ついででしたので本当にミラーレスだけをもって、しかし身軽でしたので三井山頂上まで10分で上ってしまえた。

 ミラーレスには十年近く放置していた55-250mmISという、EOS-KissX7を2014年に購入した際のダブルズームキットのキットレンズにEF-Mレンズコンバータを取り付けて無理矢理M-5で使っているものなのですが、250mmレンズは無いよりマシ以上の性能が。

 雪山とC-1FTB,ちょっと雪山にしては雪が少ないですけれども上々といえるところか。EOS-7Dほどの性能はないものの軽量なので行ける機会と身動きが身軽というものは撮影機会を増やせることにつながるのか、実際短時間でこうした構図を撮れたのだし。

 C-1輸送機、日常風景に溶け込んだといいますか基地間輸送から空挺部隊や実任務まで便利に使われていました航空機なのですけれどC-2輸送機の数がそろってきましたので、そろそろ、という時代がきてしまいました。悔いのないよう、写真に収めよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-北大路大橋,葵祭撮影位置探しと陽の高い蕎麦屋呑み

2024-05-25 14:11:45 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 蕎麦屋で一杯やりました蕎麦屋呑みの話題をこの昼下がりの今からでもできそうな時間帯に紹介してみます、場所は北大路通り。

 祭事というのはそのお祭りそのものよりも準備の方が愉しいという話機を聞くのですが、わたしの場合はこんなに急に身動き取れなくなるとは思わなかったものですから今年も葵祭を撮影しようと考えていて撮影位置を散策していた頃が愉しかったといえばそういう。

 ここだなここしか撮影場所はないよなあ、という定番の撮影位置を下見した際に、三千盛という日本酒をひやで一杯やったお話。ここはどこかというと北大路橋、有名なのかは先学にして知りませんが、ちょっといいかな、と勧めたくなるところのひとつ。

 なめこおろしを肴に。気軽に昼さけ嗜むここは、葵祭の歴史行列を撮影する下見という名前のお散歩を、あれだけ重装備でも巡幸できるのだからカメラバックだけのお散歩でも余裕だろうと歩き始めて、しかしカメラバック意外と重いと気付いた最寄りの。

 蕎麦屋さん、北大路橋をわたったすぐのところにありまして、一見して蕎麦うどん的な看板ながら肴といいますか蕎麦屋呑みにはこれでもかといろいろ充実している品ぞろえのお店、雲ヶ畑から出町柳へ鴨川堤防の散策に立ち寄るのもすてきかもしれない。

 三千盛のほかにも日本酒の品ぞろいはなかなかのもので、蕎麦を手繰りにという方も、すこししっぽりしようというかたも、要するに理想的な街角のお蕎麦やさんという印象で雰囲気を楽しめるお店なのですが、日はたかいもののもうすこしなにか頂こう。

 牛ヒレ肉のタタキ。一気に蕎麦屋の領域を飛び越えて割烹のほうへ向かうような。まず薬味からして旨いものなのですから、さっとまぶされている白ポン酢とおろしに葱の薬味でちょっとだけのこった清酒をさらりと呑んでしまおう、そして次は。

 炙った牛肉を一つ口に含みそしてじわり染み出る旨味と肉汁と満足感、そして清酒を口に運び、そして。蕎麦屋の一品というと板わさとかの定番もあるのですが、ここは一人鍋で湯豆腐から牡蠣まで頂ける、すると長居してもよさそうなというか許されそうな雰囲気だ。

 シードル、蕎麦屋でシードルというのは、お好み焼き屋でベルギービールみたいな感じ、いや実際あるけれども。いぶし銀のようなカウンターと奥にこあがりがありますが、昼下がりの葵祭三週間前では店内はわたしひとり、昼さけをたのしもうじゃないか。

 ビーフとシードル、シードルというのはリンゴの発泡酒で、弘前産の国産シードルは口当たりも軽く果実酒というよりも酒気をたくわえた清涼飲料水のような口触りでリンゴの甘酸っぱいしゅわしゅわがほのかに酒精を感じさせるもの、暑い日にはうれしい。

 蕎麦の〆はこんなかんじで和風洋風が続いたものだから、最初はざるそばをさっと手繰ろうとおもっていましたが、そろそろ暖かいではなく暑くなった、が熱くなったほどではないものですからいましか無いと熱いにしん蕎麦を熱々のまま手繰ることとしよう。

 にしん蕎麦、熱い蕎麦よりも実は歯ごたえのしっかりしている冷たい蕎麦のほうがすきではあるんですよ、熱くしますとぼそぼそ感がでてしまって噛みしめたときのぶちぶち感が弱まってしまう、けれども旨い蕎麦やは茹でたてのときにこれを乗り越えられる。

 棒煮のにしんを添えた蕎麦、うむそれだけ、薬味もなにもよぶんなものはなく、出汁に染み出るにしんの旨味で味の変容をしかし素早く手繰って啜る蕎麦のそのもの本来の風味とともに次第な味変を楽しみながら頂く、これが蕎麦屋のみの〆なのだなあ。

 みなもとさん、奥に見えるのは北大路橋、その向こうが北大路駅だ。このあたりは割烹もビストロも洋食もワインBARもイオンさえある一角なのですけれども、けっこう夜遅くまで橋を見守るようにお蕎麦やさんが暖簾を掲げてまっていてくれるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-伏見,喫茶店はアールグレイとときおりシュークリーム

2024-05-25 07:00:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 日常にゆったりとした時間を過ごす時に選びますこの喫茶店は喫茶店といいますけれども珈琲を主に扱う店が多い中でたまには紅茶もいいものです。

 仕事をしている時は時間を忘れるといいますか、所用を済ませたところで漸く朝食をといっても終わっている時間であるし早めの昼食というにはまだどこもランチタイムの無い時間帯、というような合間の時間帯になってしまうと、もう喫茶店にでも行くほかない。

 Papacuさん、伏見区深草直違橋片町という、ここは京阪線沿線といいますか藤森神社の直ぐおとなりなのだけれど墨染駅と藤森駅の間ぐらいにある、京都教育大学の近く、昔の方には陸軍第16師団施設のあたりというと判りやすい方はどのくらいお元気なのだろうか。

 喫茶店という割には紅茶の話題を扱わないよね、とは大学時代からの友人の珈琲が苦手な方のお話しなのですが、ここは珈琲もあるけれども紅茶もありまして、紅茶はティーポットで供されるところですので、一杯目と二杯目、抽出の度合いの香りと味わいの移ろい。

 アールグレイのティーパック、アールグレイはミルクティーで頂く事が多い。このアールグレイというのはベルガモットの香りづけしたフレーバーティー、という話をちょっと前に、私の百合はお仕事です、という深夜教養アニメで知りました、すごいねアニメって。

 シュークリームがやってきた。やってくるのか、と思われるかもしれませんが此処、お店は1000時から営業しているのですが、1100時からシュークリームタイムというものがはじまりまして出来立てシュークリームが店頭に並ぶ、お値段は183円、いずも艦番号だ。

 シュークリーム、出来立てはそとのカリカリ度合いが弾力と歯応えの先に少し薄皮の柔らかい部分を挟んで甘いカスタードクリームがなみなみと収められています。甘いものの中でも主張しすぎないスイーツ、紅茶をゆったり頂く合間に齧り頂くにはちょうど良い。

 Papacuさん、砂時計で紅茶の抽出を慎重に仕上げて嗜んだ先に幾度かティーポットからティーカップに注ぎ、ゆったりと時間の過ぎゆくところを愉しむ。珈琲も良いけれども、こんな紅茶とともにシュークリームを相方に迎え過ごす日常の一時もよいものなのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和六年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2024.05.25-2024.05.26)

2024-05-24 20:15:40 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末は戦車と輸送機と師団祭という自衛隊行事が並びます。

 第7師団創設69周年記念東千歳駐屯地祭、自衛隊唯一の機甲師団である第7師団の創設記念行事は今週末最大の自衛隊行事と云って過言ではないでしょう。東千歳駐屯地は創設70周年、節目の年です。師団祭の迫力は第71戦車連隊に順次配備される10式戦車とともに兎に角数が多い戦車、自衛隊の機械化部隊と云えば第7師団、という一大行事です。

 第4師団創設62周年記念福岡駐屯地祭、こちらも日曜日に挙行されます。九州北部と壱岐対馬を防衛警備管区とする第4師団祭、雑餉隈駅という難しい駅名の駅が最寄駅です。全国の師団ではいちはやく戦車大隊を廃止し偵察戦闘大隊を編成した師団となっていまして、かつての10式戦車に代わり16式機動戦闘車がマンションに囲まれた駐屯地で頑張ります。

 美保基地航空祭2024、巨人機時代到来というべき鳥取県境港市の航空祭です。山陰地方の航空祭は第3輸送航空隊がC-2輸送機とKC-46A空中給油輸送機を配備している基地で、陸上自衛隊中部方面航空隊第3飛行隊のCH-47が配備される美保分屯地なども隣接、C-2とKC-46Aのオープニングフライトは0900時から、これは是非おみのがしなく。

 第4施設団創設63周年記念大久保駐屯地祭、日曜日に執り行われます。宇治市の近鉄大久保駅ホームからも見える駐屯地には方面施設部隊である第4施設団と第3師団隷下の第3施設大隊が駐屯しています。もともと陸軍飛行場として整備された式典会場では毎年様々な工夫の展示が行われまして爆発に度肝抜かれるなどここは京都が誇る駐屯地祭のひとつ。

 青野原駐屯地創設48周年記念行事、兵庫県小野市の駐屯地祭です。03式中距離地対空誘導弾システムを運用する第8高射特科群が駐屯していまして、また駐屯地には03式中距離地対空誘導弾試作機なども置かれている。訓練展示には16式機動戦闘車も参加するとのことで、これ大津に千僧に大久保とお座敷が多いなあと一個中隊の多忙ぶりを考えてしまう。

 高田駐屯地創設74周年記念行事、日曜日に執り行われます新潟県の駐屯地祭です。第12旅団隷下の第2普通科連隊が駐屯していまして、冷戦時代に日本海の対岸にソ連軍を睨んだ自衛隊は二が他県に二つの普通科連隊を置き沿岸防備を強化しました。観閲行進と普通科部隊戦闘訓練展示が行われるといいまして、16式機動戦闘車は来年のお楽しみ、かな。

 えびの駐屯地創設43周年記念行事、宮崎県の第43普通科連隊が駐屯しています駐屯地で、土曜日に市街パレードを実施し日曜日に駐屯地祭を行います。装備品展示にはAAV-7水陸両用車や19式装輪自走榴弾砲などが参加するということで、近年南西防衛強化を受け続々と揃う新装備を土曜日日曜日めいっぱいに見学する事が出来る行事といえるでしょう。

 艦艇広報について、土曜日と日曜日に高松サンポート掃海母艦うらが掃海艇みやじま掃海艇あおしま一般公開が行われ掃海母艦は土曜日のみですが午前と午後に艦内が公開される。門司港掃海艇とよしま一般公開も土曜日と日曜日に予定されてまして、こちらは門司港一号岸壁にて土曜日は午後のみで日曜日は午前の部と午後の部に分かれて公開されるという。

 鹿児島港潜水艦一般公開、日曜日に予定されていまして潜水艦運用秘匿の観点からその艦名までは当日まで内緒のようですけれども潜水艦上甲板を事前予約などなしで見学する事が出来ます、場所は鹿児島港本港地区北埠頭一号岸壁にて午前と午後に分かれて実施されるとのこと。艦艇広報全般に言える事ですが滑り難い靴を準備の上お出かけ下さい。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・5月26日:第7師団創設69周年記念東千歳駐屯地祭
・5月26日:高田駐屯地創設74周年記念行事
・5月26日:第4施設団創設63周年記念大久保駐屯地祭
・5月26日:青野原駐屯地創設48周年記念行事
・5月26日:美保基地航空祭2024
・5月25日26日:高松サンポート掃海母艦うらが掃海艇みやじま掃海艇あおしま一般公開
・5月25日26日:門司港掃海艇とよしま一般公開
・5月26日:第4師団創設62周年記念福岡駐屯地祭
・5月25日26日:えびの駐屯地創設43周年記念行事
・5月26日:鹿児島港潜水艦一般公開


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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