■防衛フォーラム
今回はホバート級イージス艦の写真と共にオーストラリアの最近の国防強化政策の概要を見てみましょう。
オーストラリア海軍はハンター級フリゲイトの導入計画を半減させ水上戦闘艦計画を再編する構想を発表しました。ハンター級フリゲイトはイギリス海軍が導入する26型フリゲイトのオーストラリア海軍仕様で、2018年にBAE社やナバンティア社とフィンカンティエリ社案を比較し決定、アンザック級フリゲイトの後継として9隻を導入する計画でした。
26型フリゲイトは現在イギリス海軍の主力を構成している23型フリゲイトの後継艦と位置づけられていますが、満載排水量は4200tから長期航海に対応すべく8000tへと大幅に増大するため相応に建造費も大きくなります。オーストラリア海軍は2020年の見積もりで9隻を建造した場合の費用を460隻と見積もっていましたが、問題は9隻という数です。
ハンター級フリゲイトを11隻まで建造数を増強する検討が為されましたが、予算上の問題から断念されています。しかし、増大する中国海軍の海洋進出頻度を前に9隻のハンター級では対応できるかが難しく、この為にハンター級を11隻増強検討から逆に半減させ、6隻を導入し、浮いた費用を別の水上戦闘艦艇建造に振り分ける方針を示したかたちです。■
オーストラリア海軍はハンター級補完用に護衛艦もがみ型などを検討しているという、これはアルバニージー政権が、増大する中国海軍の圧力を背景にアンザック級フリゲイト後継艦をハンター級を加えた20隻程度の水上戦闘艦で置換える海軍再編構想を発表しました。新しい艦艇には汎用フリゲイト、そして有人運用可能である大型無人艦等も整備する。
もがみ型護衛艦、韓国の大邱級フリゲイト、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト、スペインのALFA3000型フリゲイト、オーストラリア海軍汎用フリゲイトにはこうした艦が候補として挙げられています。もがみ型護衛艦は建造費の安さと共に日豪防衛協力の前進と自衛隊での運用実績という利点がありますが、そうりゅう型潜水艦の失敗事例がある。
汎用フリゲイト案のほかに、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト案は今回退役するアンザック級フリゲイトがもともとMEKOシリーズであるために合理的な案といえる。そしてスペインのALFA3000型フリゲイトはオーストラリア海軍がホバート級イージス艦を建造した同じナバンティア社製という利点、大邱級は小型で最も安価という利点があります。■
オーストラリア空軍は2024年に武装無人機配備を開始すると発表しました。オーストラリア政府は武装無人機配備を発表していますが、現時点でその立地については情報管理の対象としており、国内の何処か配備基地や導入機種については非開示としており、また導入や配備が開始された場合でも情報開示を行うかについても明確な情報を示していません。
無人戦闘航空団、ただ概要を大まかに示すものとしてオーストラリア政府は今後4億ドルを投じて無人戦闘航空団を創設するとしていて、ボーイングと共にロイヤルウイングマン無人僚機として開発を進めていたMQ-28 ゴーストバットを配備するとされ、この機体は1 億 1500 万オーストラリアドルで 6 機が製造されるため、部隊規模が有る程度推測可能だ。
MQ-28 ゴーストバットについて、オーストラリア国防省はF-35戦闘機など第五世代戦闘機1機をもととしてMQ-28 ゴーストバットを加える事で飛行中隊に匹敵する部隊運用が可能となるとしています。無人機は長時間滞空型の装備が長らく整備されてきましたが、オーストラリアは高速飛行可能の無人僚機開発に6億オーストラリアドルを投じました。■
オーストラリア政府は日本の反撃能力整備へのミサイル試験場の提供を示唆しました。自衛隊の反撃能力は従来の地対艦ミサイルのような射程を遥かに超え、射程は2000kmを超えるものと想定されています。このため日本国内に試験場を確保する事は出来ず、オーストラリア政府へ発射試験設備の整備や発射試験などの実施可能性を打診してきました。
オーストラリア国内ではこれまでもJAXAが独自開発していた超音速旅客機試験用無人機の試験や、天体採取物の往還型衛星帰還などの用地を借用した実績がありまして、広大な国土と人口希薄な砂漠地域を国土に有するオーストラリアはこうした試験をおこなうさいに重要な環境を有しています。一方で、オーストラリアの安全保障政策も関係し得る。
オーストラリア軍は2010年代に進めていた装甲車両などの増強計画をいったん中断し、中距離ミサイルを増強する構想を進めていますが、オーストラリア自身にはこうした長距離ミサイルの開発計画などはありません。このために、日本の反撃能力整備は、場合によっては日豪防衛協力や防衛装備品開発などにも影響を及ぼす可能性はあるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回はホバート級イージス艦の写真と共にオーストラリアの最近の国防強化政策の概要を見てみましょう。
オーストラリア海軍はハンター級フリゲイトの導入計画を半減させ水上戦闘艦計画を再編する構想を発表しました。ハンター級フリゲイトはイギリス海軍が導入する26型フリゲイトのオーストラリア海軍仕様で、2018年にBAE社やナバンティア社とフィンカンティエリ社案を比較し決定、アンザック級フリゲイトの後継として9隻を導入する計画でした。
26型フリゲイトは現在イギリス海軍の主力を構成している23型フリゲイトの後継艦と位置づけられていますが、満載排水量は4200tから長期航海に対応すべく8000tへと大幅に増大するため相応に建造費も大きくなります。オーストラリア海軍は2020年の見積もりで9隻を建造した場合の費用を460隻と見積もっていましたが、問題は9隻という数です。
ハンター級フリゲイトを11隻まで建造数を増強する検討が為されましたが、予算上の問題から断念されています。しかし、増大する中国海軍の海洋進出頻度を前に9隻のハンター級では対応できるかが難しく、この為にハンター級を11隻増強検討から逆に半減させ、6隻を導入し、浮いた費用を別の水上戦闘艦艇建造に振り分ける方針を示したかたちです。■
オーストラリア海軍はハンター級補完用に護衛艦もがみ型などを検討しているという、これはアルバニージー政権が、増大する中国海軍の圧力を背景にアンザック級フリゲイト後継艦をハンター級を加えた20隻程度の水上戦闘艦で置換える海軍再編構想を発表しました。新しい艦艇には汎用フリゲイト、そして有人運用可能である大型無人艦等も整備する。
もがみ型護衛艦、韓国の大邱級フリゲイト、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト、スペインのALFA3000型フリゲイト、オーストラリア海軍汎用フリゲイトにはこうした艦が候補として挙げられています。もがみ型護衛艦は建造費の安さと共に日豪防衛協力の前進と自衛隊での運用実績という利点がありますが、そうりゅう型潜水艦の失敗事例がある。
汎用フリゲイト案のほかに、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト案は今回退役するアンザック級フリゲイトがもともとMEKOシリーズであるために合理的な案といえる。そしてスペインのALFA3000型フリゲイトはオーストラリア海軍がホバート級イージス艦を建造した同じナバンティア社製という利点、大邱級は小型で最も安価という利点があります。■
オーストラリア空軍は2024年に武装無人機配備を開始すると発表しました。オーストラリア政府は武装無人機配備を発表していますが、現時点でその立地については情報管理の対象としており、国内の何処か配備基地や導入機種については非開示としており、また導入や配備が開始された場合でも情報開示を行うかについても明確な情報を示していません。
無人戦闘航空団、ただ概要を大まかに示すものとしてオーストラリア政府は今後4億ドルを投じて無人戦闘航空団を創設するとしていて、ボーイングと共にロイヤルウイングマン無人僚機として開発を進めていたMQ-28 ゴーストバットを配備するとされ、この機体は1 億 1500 万オーストラリアドルで 6 機が製造されるため、部隊規模が有る程度推測可能だ。
MQ-28 ゴーストバットについて、オーストラリア国防省はF-35戦闘機など第五世代戦闘機1機をもととしてMQ-28 ゴーストバットを加える事で飛行中隊に匹敵する部隊運用が可能となるとしています。無人機は長時間滞空型の装備が長らく整備されてきましたが、オーストラリアは高速飛行可能の無人僚機開発に6億オーストラリアドルを投じました。■
オーストラリア政府は日本の反撃能力整備へのミサイル試験場の提供を示唆しました。自衛隊の反撃能力は従来の地対艦ミサイルのような射程を遥かに超え、射程は2000kmを超えるものと想定されています。このため日本国内に試験場を確保する事は出来ず、オーストラリア政府へ発射試験設備の整備や発射試験などの実施可能性を打診してきました。
オーストラリア国内ではこれまでもJAXAが独自開発していた超音速旅客機試験用無人機の試験や、天体採取物の往還型衛星帰還などの用地を借用した実績がありまして、広大な国土と人口希薄な砂漠地域を国土に有するオーストラリアはこうした試験をおこなうさいに重要な環境を有しています。一方で、オーストラリアの安全保障政策も関係し得る。
オーストラリア軍は2010年代に進めていた装甲車両などの増強計画をいったん中断し、中距離ミサイルを増強する構想を進めていますが、オーストラリア自身にはこうした長距離ミサイルの開発計画などはありません。このために、日本の反撃能力整備は、場合によっては日豪防衛協力や防衛装備品開発などにも影響を及ぼす可能性はあるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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