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チャールズ三世イギリス国王陛下戴冠式-イギリスロンドンのウェストミンスター寺院にて挙行

2023-05-07 07:00:27 | 国際・政治
■君主制と二〇二〇年代
 イギリスは正式に新時代を迎えました。

 チャールズ三世イギリス国王の戴冠式がイギリスロンドンのウェストミンスター寺院において挙行されました。エリザベス二世女王の崩御を受けての国王即位、即位式に続いてカンタベリー大司教からの戴冠式をもって、イギリスは新時代を迎える事となりました。さて、2020年代における君主制の意味とは、果たしてどういうものが考えられるのでしょう。

 最大多数の最大幸福、ジェレミーベンサムは功利主義に基づく道徳原理としてこう提唱しており、民主主義はこの具現化した政治参加の在り方と理解されています。しかし、これは同時に少数者擁護の理念では課題を残すものであり、価値観の多様性を深く踏み込んだ理念ではありません、しかし政治参加の在り方として最も正統性を得やすいものである。

 君主制は、この制度に相容れないもの、と理解する方々から指摘や糾弾を受けている事は事実です。しかし一方で、古典的な王権神授説ではありませんが、正統性を受けないからこそ権限を行使しないという視座に立ち、独自の倫理観を、これは多くの場合に公序に依拠する視座として、君主に民主主義時代の良心と良識を求めるならば、どうでしょうか。

 公序というものは時とともに変わるものであり、いや逆に公序の基盤となる宗教観などが中世から近代国家に世界が転換する中で、政教分離と価値観の関係を難しくさせた時代がありました。他方で、これはハンナアレントの視座としてドイツワイマール体制の崩壊過程の研究が参考となるのですが、時として民意は暴走し公序を逸脱する事がありました。

 公序、こうした価値観そのものが変容するものである故に一人の価値観にゆだねる事は逆の懸念を生むのではないか、という指摘もあり得るのかもしれませんが、君臨すれども統治せず、という原則に立つ限り、それは理念であり社会に強制し得るものではありません、しかし、権限を持たないからこその立場は、公序の調停者としての意味を持ち得るのです。

 共和制の諸国に君主制を強要する意図はなく、民主国家でなければ君主の象徴的な位置づけに意味はないとも考えるのですが、現代だからこその君主制には一定以上の意味が画く或ると考えるのです。無論その為に良識と教養と知見が幅広く求められ、その姿勢が選挙ではない形で主権者の評価を受けるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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