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【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(17)訓練展示状況開始!偵察隊とヘリコプター展開(2011-10-09)

2022-09-18 20:12:33 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■偵察隊!前進せよ!
 観閲行進が完了し音楽演奏を待つことなく師団祭はそのまま訓練展示へと展開しススキ野の奥に次々と機械化部隊が準備へ展開します。

 第7師団祭は訓練展示へと進みました、何しろここ東千歳駐屯地は広い駐屯地ですので訓練展示の会場も富士総合火力演習かと、云えば言い過ぎなのですけれども広大だ。これ程広い場所といえば木更津駐屯地に霞目駐屯地や旭川駐屯地くらいしか思い浮かびません。

 OH-1観測ヘリコプターが状況開始とともに展開、250機という量産計画を31機で打ち切ってしまった為に機体の改修予算を捻出しにくくなり、データリンクでAH-64Dとの連携が組めなくなっています。しかし危ない、良く観たら87式自走高射機関砲が、目だたない。

 自衛隊の装備調達を考えますと、これは非常に払拭を検討しなければならない悪弊と考えられるもので、量産計画を中長期的に示し計画を中断するならばエアバスやボーイングに対して各国が行うように機体価格の四割から半額程度は違約金として支払うべきと思う。

 OH-6D観測ヘリコプターの進出、航空偵察で敵情を探る。こちらも2020年に後継機が決まらないうちに用途廃止となりました、有人の偵察ヘリコプターはアメリカでさえ開発を進めていますので、無人機に置換えるには限度がありますし、なにより自衛隊には無人機からして異様にすくない。

 90式戦車とOH-6観測ヘリコプター、だいたいこれで高度30mというところでしょうか。2022年のロシアウクライナ戦争では90m程度の高度で飛行する攻撃ヘリコプターが携帯地対空ミサイルで次々と撃墜されています、自衛隊の様に30mで飛行せねばなりません。

 AH-1S対戦車ヘリコプターの展開、敵戦車を攻撃する。これも2011年の写真なのですがこの頃にはまだAH-64D戦闘ヘリコプターの調達が継続されていました、しかし13機で中断し今に至る。空中打撃力は特に長大な海岸線を持つ日本には必須の装備と思う故、調達再開が必要だ。

 北欧から北アフリカまで、日本列島地図をそのまま欧州大陸に世界地図でスライドさせますと、北海道の稚内は北欧のコペンハーゲンあたりなのに沖縄の与那国島は北アフリカのアルジェあたりに来ますので、冷戦時代の鉄のカーテンに地中海を加えたより距離が長い。

 鉄のカーテンに地中海を加えた以上の長さである日本列島を防衛する為には、ヘリコプターによる空中機動部隊と機械化部隊を連携させる必要がある、故に観測ヘリコプターや戦闘ヘリコプターの減勢は、もう少し深刻に考えるべきだと、憂慮してしまうのですよね。

 将来における陸上自衛隊の機械化部隊を考える場合、戦車連隊というものを切り替えて考える必要があるのかもしれません、それは戦車部隊を機甲師団単位で一点集中する事よりも陸上戦闘、特に日本防衛に関する限りでは戦車部隊へ求める環境が大きく変容している。

 戦車部隊は不要、という発想はしかし全般を考えていない視野狭窄の論理ではあると考えますが、同時に戦車は集中して配備するという発想もまた過去のものになるでしょう。すると即応機動連隊のような、独立して運用可能な戦闘団編成の部隊が必要ではないか、と。

 もしくはこの発想を継続する事は自衛隊全般を送れた装備体系に留めてしまうのではないか、とも。これは返す返すも諸兵科連合、日本の場合は諸職種連合といいますか普特機協同とも表現されますが、垣根を越えた編成、こうしたものを進めなければならない。

 集中して投入する必要はあるが集中して配備する必要もない、そして集中して配備する事は戦車を知る部隊と戦車に接しない部隊との間での陸上戦闘への認識の齟齬を生みますし、兵力集中運用の原則は地理的集中よりも機動力によってのみ達成せねば意味がありません。

 UH-1J多用途ヘリコプターにて空路進入するレンジャーが展開して参りました、この部分は戦車連隊の多い機甲師団であっても軽装備の旅団であっても同じ、というところでしょう。UH-2多用途ヘリコプターが今後投入され、UH-1Jを置換えてゆく事となります。

 UH-2も含めて陸上自衛隊のヘリコプター調達は右往左往しているところがあるのですが、そもそもUH-60JA多用途ヘリコプターに統合する構想が破綻したもののUH-2はUH-1の系譜にあり、先祖帰りという印象で、なぜ時間を掛けてもUH-60を揃えなかったかと。

 事項要求という方式が防衛予算について、来年度から認められるようになりますと多少変わってくるのでしょうか、年度ごとの予算では毎年調達できる数に左右され、そして全体でどの程度の数を調達できるかは、宣言できても確約できず、現状の様なこととなる。

 戦闘ヘリコプター部隊の再整備、こうした事項要求で通す事が出来るならば、例えばAH-64Dの際に当初示された調達数は62機でしたので、62機の調達と運用開始から24年間、2023年からならば2047年までの長期運用支援、という契約を結ぶことができます。

 分散投入、戦車は集中して運用する必要があり、逐次導入は戦術上の禁忌とされているのですが、例えば地域安定化作戦や国際平和維持活動などに師団単位で機甲部隊を投入する状況というものは考えられません、それは同時に派米等の訓練体系に対しても当て嵌まる。

 即応機動連隊、この編成は非常に示唆に富んだものとなりました。実は善通寺において第15即応機動連隊の新編式、これを見る機会に恵まれまして、前日には北熊本で第42即応機動連隊が新編されているのですが、数が揃った機械化部隊の編成には驚かされたものです。

 装甲機動連隊、部隊を分散投入するには即応機動連隊の編成を発展させた戦車部隊の新しい在り方というものを考えるべきなのかもしれません。即応機動連隊の機動戦闘車隊をそのまま戦車隊に置換えた様な、普通科中隊の装甲車にもう少し堅い車両、そんな編成です。

 偵察隊、第7偵察隊はオートバイとともに展開します。後方には87式偵察警戒車が控えている、第7偵察隊の斥候小隊です。第7偵察隊は敵の前衛を突破して威力偵察を行う部隊ですが、そもそも敵が居るのかいないのかを探るのが斥候、戦力を探るのが偵察、という。

 斥候小隊は87式偵察警戒車と偵察オートバイを装備している、この部隊が敵を見つけたならば、3個ある戦闘偵察小隊が偵察を行う。小隊本部隷下に戦車分隊と小銃分隊に迫撃砲分隊から成る戦闘偵察小隊、戦車2両と装甲車2両及び迫撃砲を装備し、相応に手ごわい。

 偵察オートバイによる偵察は時代遅れ、という指摘はありました、全く防御力がありませんので見つかったら最後、といい偵察は装甲戦闘車等により行うというのが最近の潮流ともいわれた、のですがオーストラリア軍は最近、偵察用に電動モペットを採用しました。

 電動モペットは要するに電動自転車なのですが、日本の様な道路交通法の縛りが無い為に105km/hという高速と100km以上の航続距離が有り、そしてエンジンが無く電動なので無音に近い。航続距離が100kmというとバイクより短いですが、彼らは通常装甲車に乗る。

第7偵察隊は威力偵察を行う事が可能という部隊ですが、オーストラリア軍は機関砲を搭載したボクサー装輪装甲車に電動モペットを搭載、斥候と威力偵察を使い分けています。自衛隊の編成はある意味正解の路線を維持していますので、今後の近代化を期待しますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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