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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ海兵隊ハリアー活躍とオランダ海軍防空フリゲイト,イギリストライデントⅡD5ミサイル実験失敗

2024-04-29 20:24:44 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は海軍関連の話題を集めましたが懐かしのといわれる海兵隊航空機の活躍の話題から。

 アメリカ海兵隊のハリアーが紅海海上で無人機迎撃に意外な活躍を続けています。ハリアー攻撃機はアメリカ海兵隊でのF-35B戦闘機配備進展により徐々に退役が進んでいますが、イエメンの武装勢力フーシ派による紅海海上での弾道ミサイルや自爆用無人機を用いた商船攻撃が拡大するとともに艦載機として紅海へ進出し防空作戦を展開中です。

 ハリアーは現在、強襲揚陸艦バターンの艦載機が対応しており、ハリアーは7機の無人機を撃墜したとのこと。バターンはワスプ級強襲揚陸艦、この艦はF-35Bの運用にも対応していますが竣工時からハリアーの運用を念頭とした設計を採用している。自爆用無人機はコスト面で10万ドル前後、各国海軍は艦対空ミサイルでの対応を余儀なくされる。

 スタンダードSM-2ミサイルを使用した場合の一発当たりの費用は220万ドルであり、数十発単位で無人機を使用されている現状ではスタンダードミサイルはあまりにそのコストが高くつきますが、ハリアーであれば機関砲や短距離空対空ミサイルによる無人機制圧でも可能、また超音速飛行に対応しない性能が逆に有利に機能するのかもしれません。
■AS-532-ASuW
 ピューマシリーズは固定翼哨戒機なみの武装を搭載できるということで昔から話題です。

 ルーマニア海軍はAS-532-ASuWクーガー対艦戦闘ヘリコプター2機を導入します。エアバス社はヘリコプター部門の前身であるユーロコプター社時代からシュペルピューマヘリコプターシリーズの対艦攻撃型を提案しており、もともと大型のピューマシリーズの機体規模を活かし、強力なエクゾセ空対艦ミサイル2発の搭載を提案してきました。

 AS-532-ASuWクーガー対艦戦闘ヘリコプターについては、ルーマニア自身が1月19日にEU欧州連合へ導入を通知したことで明らかとなりましたが、詳細は示されておらず、ただ、AS-532-ASuWクーガー対艦戦闘ヘリコプター2機の取得費用は1億7907万ドルであると示されています。エアバス社はこの導入について具体的な情報を開示していない。

 エアバスヘリコプターズ社が製造するAS-532-ASuWクーガー対艦戦闘ヘリコプターですが、過去に示されたエクゾセミサイル搭載型であるかは明らかにされていません、ただ、今回の調達はルーマニアの防衛企業IARインダストリアアエロノーティカロマーナ社が対応するとのこと。ルーマニアは黒海沿岸諸国でありロシア黒海艦隊と対峙している。
■ヴィアナドカステロ級
 満載排水量ですと護衛艦いしかり同程度ということか。

 ポルトガル海軍はヴィアナドカステロ級哨戒艦6隻を増強するとのこと。ヴィアナドカステロ級哨戒艦は現在ポルトガル海軍に4隻が装備されている外洋哨戒艦で、NPO2000計画としてポルトガル海軍の大西洋戦略の一環として2011年から2018年にかけて順次、建造されたもの、建造はポルトガルの西海造船所が担当しています。

 ヴィアナドカステロ級哨戒艦は満載排水量1850t、全長は83.1mで全幅12.95m、ディーゼルエレクトリック方式により21ノットで航行可能であり、武装として30mm機関砲と機銃4丁、また中型ヘリコプターの発着用甲板を有しており、乗員は35名で必要に応じ海兵隊員など32名が乗艦可能、必要に応じてパワープロジェクションシップとなる。

 ヴィアナドカステロ級哨戒艦は今回の建造により10隻体制となりますが、ポルトガル海軍によれば今回増強される6隻については後期型という位置づけとなり、前期型の4隻と比較した場合で、ASW対潜戦闘用モジュールシステムの搭載能力やVTOL-UAV垂直離着陸型無人航空機の運用能力を付与しISR情報収集能力等を付与する計画とのことです。
■デゼーヴェンプロヴィンシェン級
 デゼーヴェンプロヴィンシェン級の後継艦にかんするもの。

 オランダ海軍は防空フリゲイト4隻を建造する計画とのこと。これはオランダのクリストフファンデルマート国防相が3月1日に議会に提出した書簡により示されたもので、その費用として4隻で35億ユーロ以上の費用を見込んでいるとのこと。建造はオランダのダーメン社が担当し兵装システムについてはフランスのタレス社を想定し交渉する。

 デゼーヴェンプロヴィンシェン級フリゲイト、オランダ海軍には現在4隻の防空フリゲイトが配備されていますが、デゼーヴェンプロヴィンシェンの就役は2002年で相応に老朽化が進んでおり、4番艦エヴァーツェンも竣工は2005年、このため2030年代半ばには老朽化により退役の時期を迎えることとなります。新型艦はこの4隻を置き換えを期す。

 新型防空フリゲイトは極超音速兵器など新しい脅威に対応する性能を目指すとのこと。デゼーヴェンプロヴィンシェン級フリゲイトは満載排水量6200t、そしてオランダ海軍にフリゲイトは同級4隻のほか、カレルドールマン級フリゲイトの1993年就役であるヴァンアムステルが現役、乗員不足で保管中のファンスパイクを含めても6隻となっています。
■AW-159をガンシップ化
 重要な一歩です。

 フィリピン海軍はAW-159哨戒ヘリコプターをガンシップ化しました。長らく潜水艦を探知する手段がなかったフィリピン海軍はこのところの水上戦闘艦整備と共に対潜能力を高めており、併せて導入したのがAW-159ワイルドキャット哨戒ヘリコプターです。そしてTIAC海軍技術検査受入委員会はその武装化の試験をこのほどおこないました。

 AW-159哨戒ヘリコプターに新しく搭載されたのは航空機搭載用の12.7mm重機関銃でドアガンとして搭載し、巡航飛行時は機外に装着される方式のもの。ホセリサール級フリゲイトの艦載機として2機が配備されるAW-159は哨戒ヘリとしては母艦の捕捉した目標へ魚雷を運搬する航空機ですが、グレーゾーン事態に対応すべく機銃を搭載しました。
■マサチューセッツ
 先日横須賀に来ました攻撃型原潜も戦艦の名前を冠していましたが。

 アメリカ海軍の新しい攻撃型原潜マサチューセッツが進水式を挙行しました。ハンティントンインガルスインダストリー社のニューポートニュース造船所において行われた進水式ではドックから進水ではなく建造ドックから浮きドックに船体を移したうえで浮きドックを進水させタグボートにより潜水艦桟橋に移動させる方式が用いられました。

 マサチューセッツは2004年に竣工したヴァージニア級攻撃型原潜の25番艦であり、ヴァージニア級攻撃型原潜のblockⅣに区分される潜水艦です。そしてマサチューセッツはアメリカではじめてバーチャル起工式を行った潜水艦です。こういうのも起工式は2020年12月19日、COVID-19感染拡大により起工式を開けず、この程無事進水式を迎えた。
■FREMMフリゲイト
 いつか日本でも見たいものだ。

 イタリア議会はフリゲイト2隻と戦車132両などに関する国防省装備取得計画を承認しました。これは議会国防委員会が2月21日に提出した計画案で、ロシアウクライナ戦争を受けての緊急国防計画の一環だ。戦車はドイツ製レオパルト2、建造される2隻のフリゲイトはカルロベルガミーニ級として知られるFREMMフリゲイトの改良型です。

 カルロベルガミーニ級フリゲイトはイタリア海軍が10隻を計画している新型艦で、既に8隻が就役しています。今回の増強により保有数は12隻となり、また、建造期間が延長されるため、エジプトに採用の実績がある輸出型の更なる建造も期待されています。カルロベルガミーニ級2隻の建造費は20億ユーロ、米貨換算で22億ドルにたっします。
■ユーリティ1700
 日本ならば意外とはやく量産してしまいそうな印象がある水準の。

 アメリカ海軍は関連労働者解雇を理由にスウィフトシップ社との契約を停止しました。スウィフトシップ社は海軍のユーリティ1700機動揚陸艇計画における主契約企業となっていますが、同社は2024年1月以降短期間でユーリティ1700機動揚陸艇計画関連工員を少なくとも100名解雇しており、海軍が契約不履行に繋がるとして警告していたもの。

 ユーリティ1700機動揚陸艇計画は新型のLCU建造を目指すもので2018年に競合他社の案を差し置き海軍に選定されたもの。既に設計費用と一番艇建造費として1800万ドルの契約を、続いて2019年に2隻の建造費2670万ドル、2020年には5隻で5010万ドルの契約をむすび、スウィフトシップ社は最大で32隻が建造される計画となっていました。

 スウィフトシップ社は建造能力はあるとして海軍との間で和解プロセスの開始を望んでいますが、元々2023年に竣工予定であった最初の2隻は未だ建造中だ。他方でアメリカ国内のインフレは厳しく、同じく海軍のLCUを建造するオースタルUSA社は2023年にスウィフトシップ社と同規模のLCU建造契約を3隻で9150万ドルにて結んでいます。
■トライデントⅡD5
 アメリカのコロンビア級戦略ミサイル原潜の建造費が二兆円を超えるようですが維持の難しさをイギリスの話題から。

 イギリス海軍はトライデントⅡD5潜水艦発射弾道ミサイル実験に失敗しました。これは1月30日に戦略ミサイル原潜ヴァンガードがアメリカ本土フロリダ州沖において実施したもので、イギリス国防省は詳細を発表していませんがイギリスのサン紙は発射管からは圧縮ガスにより発射されたものの第一段ブースターが不作動であったと報じた。

 ヴァンガードから発射したトライデントⅡはそのまま潜水艦付近に落下、海面付近で破損したとのことですが、ヴァンガード艦内には2016年以来の潜水艦発射弾道弾試験視察に第一海軍卿ベンキー提督やジェームズカートリッジ国防調達担当閣僚が乗艦していたとのことで、ヴァンガードも今回の発射試験へ7年間の調整をしていた後の失敗という。

 トライデントⅡミサイルそのものの不具合化といえばそうではなく、同じミサイルを2023年9月にアメリカ戦略ミサイル原潜ルイジアナがサンディエゴ沖で発射試験を行った際には正常に飛行しています。他方で、ヴァンガード級戦略ミサイル原潜は前回の2016年にもミサイルが正常に飛行しない試験失敗を起こしており、二回連続の失敗です。
■セントオールバーンズ
 海軍力を支えるのは造船業だ。

 イギリス海軍は23型フリゲイトセントオールバーンズの定期整備完了を前倒ししました。これはバブコック社により定期整備を行っていたセントオールバーンズについて、予定を3か月間前倒しし艦隊に再就役できたとのこと。セントオールバーンズは16隻が建造された23型フリゲイトの最終艦として2003年に竣工しています。

 シーウルフミサイルの廃止とより射程の長いシーセプターミサイル搭載、ソナーシステムの後身とディーゼルエンジン4基全てと推進モーターの交換や戦闘システム近代化などが行われました。セントオールバーンズの定期整備は2019年よりデボンポートのハブコック社施設において開始され、作業時間は延べ120万時間ということでした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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