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霧島山新燃岳噴火、災害派遣要請に備え第8戦車大隊・西部方面特科隊が前進待機

2011-02-14 22:11:11 | 防災・災害派遣

◆えびの駐屯地・国分駐屯地に前進

 霧島の火山活動ですが、小康状態と爆発的噴火が繰り返されており、小規模な火砕流やラハールが観測され、警戒が続いています。こうした中、陸上自衛隊が災害派遣要請に備え部隊の移動を開始しているようです。

Img_0549  雲仙普賢岳災害派遣に74式戦車が派遣された、という話を思い出しました。写真は第3戦車大隊の74式ですが第4戦車大隊の74式戦車が派遣されたようです。火砕流に一発撃ち込んで、という訳ではなく写真の砲身横にある投光機、戦闘では赤外線フィルターを装着して非可視化するのですけれども、普賢岳では監視所から夜間にフィルターを装備せずに探照燈として使用して火口部分の照明を行い、遠距離から火砕流の発生を警戒したとのことです。

Img_28782/10日付 ニュース トップ 新燃岳(九州)噴火で待機 8戦大など・・・ 鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳(標高1421メートル)で1月27日、52年ぶりに爆発的噴火が起き、宮崎県側の都城市や新富町、鹿児島県内など広範囲に火山灰による被害が発生した。 防衛省は火砕流の発生など被害が拡大する恐れがあることから28日夕、自衛隊への災害派遣要請に備え、西方通信群(都城)のヘリ映像電送のための車両2両をえびの駐屯地に派遣。

Img_2410  31日正午には防衛省に災害対策連絡室を設置、陸自8戦車大隊(玖珠)の装輪装甲車7両をえびの、国分両駐屯地に派遣、前進待機させた。 また、同日と2月3、7日には気象庁の依頼で海自22空群72航空隊(鹿屋)のUH60Jヘリ1機が同庁職員と火山予知連絡委員による上空からの新燃岳観測を支援した。

Img_7007  2月1日には西方特科隊(湯布院)の砲側弾薬車4両、8戦車大隊の戦車回収車1両もえびの、国分駐屯地に到着、前進待機した。 新燃岳は1月19日に火山性微動が観測されて以来、小規模爆発を繰り返し、爆発的噴火に伴う空振で民家や学校のガラス窓が割れるなどの被害が続いているhttp://www.asagumo-news.com/news/201102/110210/11021004.html

Img_5262  今回は戦車にまだお呼びが掛からなかったようですが、今回記事横掲載の写真は、一枚目が78式戦車回収車、二枚目が87式砲側弾薬車、三枚目が映像伝送装置を搭載して運用されるUH-1J多用途ヘリコプター、この写真が海上自衛隊のUH-60J救難ヘリコプター。災害派遣要請がいつ出されても良いように自衛隊では準備を進めています。西部方面隊はかつて雲仙普賢岳の火山活動でも火山予知連絡会の情報を元に地元自治体や中央と一体となって準備を行い、被害を最小限度に抑えた経験があります。

Img_2386  写真には203mm自走榴弾砲が写っていますが、その後ろに見えるのが87式砲側弾薬車、一発90kgもある203mm砲弾を搭載するための車両ですが、一応防弾ですから噴石の直撃に対しても防御力があって、砲弾を搭載できる区画に逃げ遅れた被災者を収容することも可能、そしてキャタピラーをもっている装軌式車両ですので火山灰の堆積した地域でも走破が可能という事で準備されているのでしょう。

Img_4324  78式戦車回収車は、74式戦車が故障した際に使用する車両。通常乗用車が故障した時にはレッカー車を呼びますが38㌧もある戦車はレッカー車で移動させることは困難、泥濘地ではレッカー車も動けない可能性が高い事で装備されている車両。車体部分は74式戦車ですし、第一線で使う事を想定した防御力をもっていますので、少々の噴石ではビクともしないだけでなく、クレーンを取り付けているので土木工事車両等の重い車両が動けなくなった場合でも回収が可能となっている車両、砲側弾薬車も戦車回収車も火山活動を見越した準備という訳。

Img_9372  写真は96式装輪装甲車。北部方面隊には履帯を足回りにもつ73式装甲車や機甲師団の一部は89式装甲戦闘車を運用しているのですけれども、東北・東部・中部・西部の方面隊には96式装輪装甲車や四輪駆動という軽装甲機動車のようなタイヤ式の装甲車しかもっていません。火山灰は少しでも水分を含むと粘り気をもって、しかも雪と違って溶けないのでタイヤの溝にこびり付き、動かなってしまいます。それでは駄目ということで、今回の準備となった模様。

Img_4258  こういう話を聞きますと、昨日の記事では無いですけれども装軌式の装甲車を用意していても良かったのではないかな、と思ってしまいます。普賢岳の時には73式や旧式ですが60式装甲車など残っていたのですけれども、北海道に集中してしまったのですよね。もう一つ通信体制の準備などは、災害派遣となった際にすぐに出動できるように通信基盤を構築しておくということで意義があります。

Img_8875  西部方面隊には無人観測ヘリコプター等も装備されていまして、必要とあれば今後待機命令が掛かるかもしれません。今朝の噴火では噴岩が小林市まで到達して民家や自動車に被害が及んだという事ですので、錦江湾に近い国分市等にも距離的には到達する可能性がありますので注意が必要と考えます。

Img_6860  今後の情勢によっては対砲レーダーを展開させて地中マイクロフォンと連動させて大型噴岩の追尾が必要になる、・・・、ところまでは流石にいかないのでしょうけれども、情報伝達や警報は間に合いませんからね、しかし、火山性土石流とも呼ばれるラハールの危険のある地点に対して早期監視の為の監視装置設置や火砕流、報道では熱風と呼ばれているのですが火砕サージ被害の生じる地域への孤立住民が発生した場合などに災害派遣要請が出されていれば対処することになるのでしょう。被害を防ぐため、万一への備えは為されているようです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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9 コメント

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87式砲側弾薬車の弾薬庫は人が乗れる構造なんでし... (SUS)
2011-02-15 18:43:01
87式砲側弾薬車の弾薬庫は人が乗れる構造なんでしょうか?
災害派遣準備が伝えられてから、ネット上で写真を探してみたんですが見当たりませんでした

乗車可能とすると結構乗れそうで、APCとして使うこともできる装備という事になりますね
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場合によっては、災害が少ない地域から、73式装甲... (丸猫)
2011-02-15 23:17:52
場合によっては、災害が少ない地域から、73式装甲車や、89式装甲戦闘車を臨時に派遣できるようにしておくべきかもしれませんね。装軌式も装輪式も一長一短がありますから、装輪式一辺倒になるというのも、考え直していいかもしれませんね。
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SUS 様 こんばんは (はるな)
2011-02-16 21:22:26
SUS 様 こんばんは

ええと、そう言われると確証は無いですね、今度富士駐屯地祭で聞いてみます(半年ほど先ですが・・・)。

APCとして、という部分ですがその昔、重砲を牽引する73式牽引車が砲操作要員全員乗れると知った時、当時は陸自のAPC不足がいろいろ言われていた時ですので、APC代わりになるのでは、と思った頃があるのですが、不整地突破能力や車高、速度の面で装甲車として運用するのは不可能とのことでした。87も派生型ですので、このあたりは事情が同じなのだろうと思います。
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丸猫 様 どうもです (はるな)
2011-02-16 21:24:11
丸猫 様 どうもです

73式装甲車は北部方面隊に集中配備されているようでして、北部方面隊から西部方面隊へ災害派遣、というかたちになってしまうので、とりあえず西部方面隊管区にある装備で、という事なのではないでしょうか。・・・、数が不足するようならば余り人数は乗れませんが、いっそ戦車を派遣、とか考えたりもしました。
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通りすがり(元) 様 どうもです (はるな)
2011-02-16 21:31:05
通りすがり(元) 様 どうもです

いやあ、駒門は戦車の駐屯地、という先入観でしたので、てっきり1戦隊長が、と思っていたので驚きました、そして第一機甲教育隊が思ったよりも大きな編成でしたので、首都防衛の戦略予備はこれで大丈夫!、とか思ってしまいましたよ!!。

しかし、国際教、人数はそこまで大きくない部隊、と聞いていましたので、この点も驚きました。南富士駐屯地、とか分けてはどうなの?とか思ったりはしませんでしたが、吃驚!、という事だけは確かです。

宇都宮もそういう事情がありましたか。そうしますと当方も毎年のように足を運びます春日井も第10後方支援連隊が守山から移駐する前は違っていたのでしょうかね・・・。

上富良野、なるほど、・・・、アレですか。もうすぐですし・・・。
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はるな様 (SUS)
2011-02-19 15:31:27
はるな様
こちらに砲側弾薬車弾薬庫の画像がありました。
http://type61tank.la.coocan.jp/sub-m110a2.htm

弾薬庫も腰掛けや手すり、内張、クッションなど追加すれば人員の収容もできそうです。
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SUS 様 どうもです (はるな)
2011-02-22 18:55:45
SUS 様 どうもです

おもったよりもフラットなのですね。

これならば、避難民の緊急搬送は可能でしょう。
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はるな様 (SUS)
2011-03-02 20:04:37
はるな様
防衛省HPによりますと、11普連の73式装甲車が10両西方へ管理換えになるとのことです。
おそらくコア中隊の分なのでしょうが…
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SUS 様 情報ありがとうございます。 (はるな)
2011-03-09 12:28:02
SUS 様 情報ありがとうございます。

こういうところを見ますと、日本中に火山がある訳ですから、装軌式装甲車を運用する戦車大隊か師団直轄で装甲輸送中隊くらいあってもいいのかもしれませんね・・・。
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