◆第41掃海隊の掃海艇三隻が揃って寄港
佐世保基地に空母ジョン・ステニスが寄港しているとのことだが、名古屋港にも昨夜、横須賀基地の第41掃海隊三隻の掃海艇が揃って入港したということで、昨日、“少し”寄り道をして撮影。本日はこの様子を掲載。
夜の名古屋港に停泊する掃海艇。海上自衛隊の掃海艇三隻が2月27日1700時に名古屋港に入港するとの情報が、名古屋港入出港情報に掲載されていたとのお話を聞いた。昨年末に導入した18-200手振れ防止レンズを夜間撮影で試すという意味も兼ねて(撮影だけなら、このレンズは電車を数え切れないほど撮っているが)、地下鉄で名古屋港駅に向かった。
すがしま型掃海艇のシンボルというべき二つの煙突が水銀燈の光を受けて輝いている。夜間の撮影ということで、ISO1600に設定。いつもは400で撮影しているので、画質が荒くなってしまうのだが、いつも三脚を持ち歩いている訳ではないので、ISO値を上げる方法で撮影。マニュアルでISO3200まで上げられるとのことだけれども、今回は800と1600とした。
横須賀地方隊第41掃海隊は、掃海艇すがしま(MSC-681)、掃海艇のとじま(MSC-682)、掃海艇つのしま(MSC-683)の三隻から編成されている。すがしま型掃海艇は、満載排水量590㌧、全長54㍍で、船体は磁気機雷に感応せず、万一の被雷時には衝撃を吸収する木造船体を採用している。ディーゼルエンジン二基を搭載し、速力は14ノット。掃海器具と20㍉多銃身機銃を搭載している。乗員は45名。
本型の最大の特色は、1991年のペルシャ湾掃海任務で、各国の最新掃海器具との国産装備の技術差を見せられ、本型には外国製掃海器具を搭載している点にある。機雷処分具はフランスECA社製のPAP-104、水中速力6ノット、運用深度300㍍までの機雷を処分する装置で、二基搭載されている。このほか、機雷探知機2093型と、対機雷戦情報処理装置NAUTIS-Mを駆使し、機雷を発見、処理してゆく。
海上自衛隊は、終戦後、海上保安庁の実施していた遺棄機雷の処理を引き継ぎ、世界的に見ても掃海実任務の経験が豊富な組織であるのだが、処理しているのは基本的に第二次世界大戦中の機雷であり、その後世界各国が導入した機雷や、対機雷戦への要求の変化からみれば、海上自衛隊の掃海装備よりも上のものがあることがペルシャ湾で判明、このため、より高性能な装備を求め、外国製の掃海器具を導入することとなった。
すがしま型掃海艇は12隻が導入され、その後、世界の掃海器具にひけをとらない国産の最新鋭掃海器具S-10を搭載した、ひらしま型掃海艇が建造されている。現在では、30㍉機関砲を搭載し、暫定的な哨戒任務にも対応できるものとし、船体を経年劣化に強いFRP製とした新型掃海艇に建造を移行している。
名古屋港で、この三隻の掃海艇を撮影したのだが、この日はもちろん電燈艦飾が行われている訳ではなく、水銀燈の光と、掃海艇の常夜灯を頼りに撮影した。意外とカメラにはしっかりと収まるものだなあ、というのが実感。三隻の掃海艇は、明日3月1日0800時に揃って名古屋港を出港予定。最後になりましたが、当日現地でご一緒しました皆様、ありがとうございました。
HARUNA
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現在の海自掃海部隊の姿を見ると、ペルシャ湾掃海任務の「戦訓」をありありと感じさせますね・・・
実任務が軍事組織に与える影響の「好例」を見て取れます・・・・
掃海艇の装備品もその影響を感じさせますが、新しい「掃海母艦」の方が、長期長距離海外派遣の戦訓を感じさせますね。あのユースリティーの高い設計は、その後の海外派遣任務に動員される姿を見るにつけ、構想の正しさを感じさせます。
さて、空中輸送機について質問があるのですが戦闘機に空輸するまでに敵に見つかって攻撃されることはないのでしょうか?ステレス性があるわけでもないですし。自身の機体をレーダー等で防御する手立てを持っているのですか?また、戦闘機の位置を把握していなくても、kc767をレーダーで把握しておけば、必然的にf-2の飛行中の位置をさらしてしまうなんてことはないのでしょうか?
変なはなしですが、自衛隊は防御が主体で考えられた組織なので、攻撃に関する兵器を自ら考え作り出すということをおろそかにしてきた。いや、考えだすことをさせてもらえなかったというのが正しいですね。しかたがないことですが、おのずと未来の敵の兵器に対する対応ができることができない組織、いや日本国政府および国民になっているということでしょう。
戦訓は重要ですけど、それにとらわれすぎる場合もあるので、客観的な情報収集とそのための予算の方が重要なのでは、と思います。
その点、兵器見本市に幕から、最近は視察に行く事例が増えていますので、それらの情報を元に、朝雲新聞社あたりから、“装備最先端”(なにやら、二十年以上昔の読売新聞が出してた本のタイトルみたいだ)というものを出してくれるといいのですが。
掃海母艦ですが、一昔、おおすみ型輸送艦の、エレベータを大型化して、ヘリを内部に搭載できるタイプを開発して、ドック部分にかつて、内海用に配備されていたような50トンクラスの小型掃海艇を搭載できるようにしたら、と思ったりしてました。そういえば、米海軍のLCACに搭載できる掃海システムの計画、どうなったんだろ・・・。
行くぞ、日本! 様
空中給油機ですが、基本的には、航続距離の延伸に用いるものですし、有事の際にも、そもそも戦闘地域にはそこまで接近しませんので、撃墜された事例は、今のところ無いようです。空対空ミサイルの射程は、近年、100kmを超えて、京都からであれば明石市や舞鶴市、大垣市まで届く程なのですが、航空機の戦闘行動半径はさらに長大ですので、後方で待機していれば、空中給油機がマイナスになることはないと思います。
他方、仮に空中給油機がステルス機でしたら、給油を受ける航空機が、給油機を発見できなくなるころが考えられます。
ステニス、いいですね。横須賀に来る空母は、例外を除いて、艦載機を厚木に降ろしてしまっていますからね。
ウルトラマン 様
掃海艇が多いことはマイナスではないのですが、あれだけの哨戒機と掃海艇を揃える余裕があるのならば、もう少し早く、ひゅうが型のようなものを建造してくれると良かったですね。
装備体系は、国内政治やその基本となる国家戦略が影響してきますので、一概には言えないのですが、急に政府がソマリアで海賊退治してくれ、とか、最大野党の党首は、アフガニスタン行って欲しい、とか、想定していなかった任務を急に持ってくるのが、最近多いですので、能力は一定以上、持っておくことが必要かもしれません。
この点、無理な任務を押し付けないように、どこまでの能力があるのか、イギリスの国防評価庁のような文官と武官協同の組織を新設して、事業評価する必要はあると思うのですが。
>50トンクラスの小型掃海艇を搭載できるようにしたら・・・・
現在その種の艇はいなくなり、スウェーデン製のSAMが導入されたわけですが、SAMの関連隊員のインタビュー記事で、本当は「SAMを艦内に収容整備可能な掃海管制母艦」が欲しいと言っていましたが、金がない中、当然そんな計画はありません。
たしかに、現状の掃海管制艇に横づけでSAMを運用、というのは無理がありますね。
SAMを搭載する母艦、といえば、ひうち型多用途訓練支援艦、くらいの大きさでしょうか。あの大きさなら、後部甲板に収容できそうです、クレーンで吊るすのではなく、捕鯨船の後部のように、スロープを使って母艦から海上に降ろす訳です。
深深度機雷対処用の機材とともに、やえやま型の後継掃海艦として、SAMの母艦機能を有するものを建造してみるのもいいやも。
>捕鯨船の後部のように、スロープを使って母艦から海上に降ろす訳です。
ちなみに掲載誌では「ウェルドック式」というマニア受け最高の形式を勧めておりました。
>やえやま型の後継掃海艦として、SAMの母艦機能を有するものを建造してみるのもいいやも・・・
極限の合理化を求められている中では、検討する価値のある提案ですね。
SAMですが、現状では長距離の展開の必要がある場合は掃海母艦にクレーンで搭載しているようです。
>「ウェルドック式」というマニア受け最高の形式
いっそのこと、小型ミサイル艇やDSRV、LCACからSAMまで、何でも搭載できる多目的戦闘母艦、とか。
>SAMですが、現状では長距離の展開の必要がある場合
確かに、そうする必要があるでしょうね。あまり鈍足だと、漂流になってしまいますから。