北大路機関

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航空自衛隊電子戦機YS-11E(航空総隊司令部飛行隊電子戦支援隊)

2009-03-01 21:27:53 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆電子戦訓練支援機

 先日岐阜基地で撮影した写真の中で、YS-11EAの写真があったので、本日はこの機体について少し掲載したい。当日の様子は第二北大路機関でも掲載しているので、重ねて見ていただければ幸い。

Img_9349  航空自衛隊では、人員や貨物輸送に用いていたYS-11がC-1輸送機などの導入により、数に余裕が出てきたことから一部の機体を飛行点検機や電子戦訓練支援機、そして電子情報収集を行う電子測定機などに転用され、運用されている。この種の機体は、予算上軽視されやすいのだが、航空自衛隊では、比較的早い時期から導入を開始しており、かなり遠くまで行っているようである。

Img_9359  YS-11EAは、航空総隊司令部飛行隊の電子戦支援隊に所属している機体で、電子妨害装置J/ALQ-7を搭載している。この機体の任務は、実際にレーダーサイトに対して電子妨害などの電子戦状況を作り出し、実戦的な訓練を行うことにある。EAがあれば、EBもあって、こちらは電子情報収集を行うJ/ALR-2を搭載、機体は迷彩で両方とも入間基地に展開している。

Img_9365  YS-11は、機体そのものが老朽化しているため、こちらも後継機について考えなければならない時期。有事の際に電子戦機としても運用できるEF-15、のような装備が必要なのではないか、との話を聞いたことがあるが、 当方は、C-Xが初飛行し、量産化が進めば、C-130Hが余剰となり、一部が電子戦機に改造されるのでは、と思った次第。C-Xと国家財政の状況をみると両方とも難しそうだ。

Img_9375 三菱リージョナルジェット(MRJ)が、自衛隊の運用するYS-11の後継としてあてられるとの話が出ているが、電子戦訓練支援機や、電子測定機のような、胴体部分の改修を行う機体というのは、機体そのものの開発が終了してからでなければ開発に当たることは出来ず、そこまでYS-11は大丈夫なのかな、と考えたりもする。

Img_9383  このYS-11EAは、主翼の右側付け根に、電子機器用の発電機と冷却装置などが収められた膨らみがあるのだけれども、逆光覚悟で、機体を反対側から撮るべきだった、と現地の人たちに教えてもらった。この位置では撮影不可能。逆光を覚悟して走っても間に合わないので、今回は断念するしかないのだが。

HARUNA

[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]

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9 コメント

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失礼します。 (J-CON)
2009-03-01 23:02:50
失礼します。

次期電子情報収集機の候補の中には、C-Xの電子情報収集機型もあるようですが・・・・

もちろん予算や時間の問題もあるでしょうが・・・・個人的な案では、海自がこれから開発するであろうXP-1ベースの電子情報収集機を開発して、海空統合電子情報収集部隊を作った方が良いと思っています(クルーは空自からも出す)。

もちろん海空では、集めている対象データは違うでしょうが・・・機材や人員を統合運用して、計画的に任務を実施すれば、効率は飛躍的に向上するでしょう。

金・人員が限られるこれから自衛隊は可能な限り統合を目指すほうが理想的と愚考します。
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こんばんは。 (ウルトラマン)
2009-03-01 23:43:06
こんばんは。
いつも思うのですが、このような機体は、電子戦訓練支援機なのでしょうか。電子戦機はなぜ作らないのだろうか。F-15を改造して一個飛行隊程度を作ってもいいようなきがするのですがね。やっぱり専守防衛がネックなのかな。向かってくる敵の妨害もできるのにな。
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J-CON 様 ウルトラマン 様 こんばんは (はるな)
2009-03-02 02:15:22
J-CON 様 ウルトラマン 様 こんばんは

もともと、海空の情報が共有できれば、現時点でも海上自衛隊のEP-3に一本化するというのも選択肢なのですが、海上自衛隊と航空自衛隊、その溝は、旧軍の陸海軍ほどではないにしろ、かなり深いという印象があります。ううむ、統合運用・・・。
いっそ、情報収集部門(宇宙空間から海洋観測艦まで)、それに弾道ミサイル防衛と防諜を専門に扱う“戦略自衛隊 Japan Strategy Self Defense Forcs”というのを新編してみるとか。なにやら、SF的な響きですが。

ウルトラマン 様
 F-15の電子戦型に関しては、専守防衛よりも、単に予算上の問題では、と思います。なんとなれ、EC-1のように専用機を保有しているわけですし、電子戦機の数では、日本は世界的に見ても少ない、というわけではありませんから。
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毎度様です。 (軽トラックの稲妻)
2009-03-02 22:10:46
毎度様です。

ゲーム「大戦略シリーズ」で育った身としては統合運用が出来ていない現実の世界の愚かさに嘆いてしまいますね。

組織というものは難しいものです。
陸海空の各自衛隊が米国陸海空各軍との共用性を重要視するあまり、自国同士でも共用性の無い装備(近接防空兵器などがその例)を調達したり、警察・消防・保安庁との連携が取れないといったおかしな面も見受けられます。
彼らの真の目的は何ぞや?と考えることが良くあります。

自衛隊も箱物・縦割り行政という「お役所」ぶりが目立ち、溜息をつきたくなるのは私だけでしょうか?

アメリカでは海兵隊という独立した組織がありますし、ソ連軍では空軍とは別に防空軍が存在したと記憶しております。
国によって組織の分け方は変わるので、確かに「情報&戦略自衛隊」と組織も可能でしょう。
しかし、縦割りの好きな日本人は名前だけで余計な労力を払ってまで差別をする傾向を持つようなので、当方はむしろ昔のように陸海2組織体制にしたほうが良いと考えています。(とはいえ、なんだかんだでしばらく組織はギクシャクするんだろうな。本当に困った民族だ。)

それとYS-11の構造寿命はあとどのくらい持つのやら?
母体がP-1、C-2、MRJの何れであろうと、初期故障を乗り越えて安定してからでなければとても各種派生型を開発する余裕が無く、後継機種の登場はそれなりの時間を要すると思います。
・・・余剰P-3C改造機を繫ぎとするのが現実的かな?


それでは。
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失礼します (J-CON)
2009-03-02 23:40:55
失礼します

>情報収集部門(宇宙空間から海洋観測艦まで)、それに弾道ミサイル防衛と防諜を専門に扱う“戦略自衛隊・・・

う~ん海洋業務群の任務まで含まれていますね・・・・個人的には・・・電波情報に絞った統合などメリハリを付けた方が良いのではと・・・統合運用で気を付けなければならないのは・・・組織が巨大化しすぎると本当に小回りが効かなくなることです・・・やはりある程度の縦割りはしょうがないのです。結局組織は管理しなければならない宿命がありますので、その弊害を少なくするために、運用と編成管理を分ける。フォースユーザーおよびプロバイダーが出来るわけですから・・・・

そこがゲームとの違いではないかと・・・・
返信する
軽トラックの稲妻 様 (はるな)
2009-03-02 23:42:42
軽トラックの稲妻 様

現在では、情報収集の分野で世界でも注目される英国は、19世紀に、インテリジェンスの分野で他国より致命的に遅れており、手探りで培ったものが世界有数の分野になったのだとか。

日本でも、科学技術や産業分野では、手探りで始めたものが、現在では世界最高峰、というものがありますので、多少、問題があっても始めることが重要なのかな、と。

P-3Cの派生型を航空自衛隊に、ですか、いっそ、トレードで仮設敵用に、哨戒機と戦闘機の飛行隊を一つ交換してみるとか。もちろん、部品や教育は、出向させた元の組織が負担するという形で、そうすれば可能かもしれません。
返信する
J-CON 様 (はるな)
2009-03-03 01:48:40
J-CON 様

海自は、一応、海洋観測艦を保持し続ける、という方法も。海洋観測艦は、専守防衛のためのASW情報を集める以外にも仕事はありますし、何よりも日本は海洋観測艦が少ないですからね。

9.11以降の米国議会報告をみると、諜報関係は独立して任務が重複していると無駄であるけれども、情報の共有を行う機関のもとで、機能や分野が重複している場合は、相互検証の機会が生まれて、結果的に良い結果を生む、ということがいえると思います。
返信する
毎度様です。 (軽トラックの稲妻)
2009-03-03 21:56:47
毎度様です。

組織の縦割りや縄張り争い、重複といった難しさは永遠の課題でしょうか。
自然界を見ても分かるとおり、この微妙なバランスを保つのは非常に困難といえます。

良い組織の場合はこの重複部分にて「相互補完」をしている。私はこれをエンジンに例えてバルブオーバーラップと表現しております。(エンジンという「機関」において、このバルブオーバーラップは性能を決める要です。)
これは我々が日常の業務においても痛感していると思います。(私も組織を超えて行動することが多いので、会社内でも顔が通っている。)


さて、私はワザとゲームになぞらえましたが、現実世界でもデータリンクなど情報通信の進歩により部隊内の各機・格車輌の燃料・弾薬残数まで分かるような「情報の共有化」が実現しております。
これにより「重複・過剰」な行動を無くし、より少ない労力で多くの効果を挙げられるようになる。このことは湾岸戦争の戦訓でもあり、後の技術進歩はその戦訓に沿って進み、昨今の様子を見るに「ああ、やはり」と納得している次第。
(用兵者としても過剰な重複は避けたい筈だが、これまでは解決する術が無かった。情報技術の進歩がこれを解決しつつあるというのが我が認識。)

勿論、情報を共有する「道具」がいくら進歩しても、それを使うのはやはり人間。
「船頭を多くして船が山に登る」ことが無いように交通整理する必要があるのはまあ賛同頂けるでしょう。私は、これが「縦割り」との戦いなのではないか?と考えております。
そう、海軍が太平洋戦争を戦い、陸軍が大東亜戦争を戦うといったことが無いように。

意識改革は常に心がけておきたいですね。
私も頭が固くなっていると痛感する今日この頃。
硬直化した物(頭も組織も)に良いことは殆ど無いようなので。


それでは。
返信する
軽トラックの稲妻 様 こんばんは (はるな)
2009-03-03 22:24:10
軽トラックの稲妻 様 こんばんは

二日間続けた深夜の京都駅“富士登山”は、今夜、悪天候にて登頂を断念したHARUNAです。

組織の無駄は、大学の研究科にもありまして、たまに、この分野はウチの研究科に統合しては、どうよ?と思う時がありますけれども、重複は必ずしも無駄ではなく、何故重複して成立しえたのか、ということを考えてみると、重複=無駄、ではない構図が見えてきます。ただ、怠惰の為の重複は省かなければなりませんけどね。

情報の共有による、部隊状況、戦闘態勢の即時把握という現状のRMAですが、あれ、本質的には間違っていないと思うのですけれども、数字上と実態、損耗試算、その他、英軍が効率化に効率化を重ねてイラク戦争で、些細な兵站の錯誤から実弾をほとんど配給されずに最前線に送られて、損害を被った事例や、必要定数に囚われるあまり、例えば、砂漠での一人当たりの飲料水配給量の数値に足を取られて、部隊移動に深刻な問題が生じたりした事例を見ると、過剰といっても、天井を考えずに過剰、というわけにはいけませんが、多少の過剰(どのくらいだろう)というものは、認められるべきなのかな、と。

この点、過剰や重複は、情報分野でも、目的が怠惰やポスト増設が目的でなければ、認められてしかるべきなのかな、と考えます。

他方で、おっしゃる通り、意識改革、つまり、過剰を認めつつも、一方で、こんなに過剰で無駄ではないのか、という意識と、極力合理性を希求するという意識改革の継続は必要と思いますが。
そこに多方面からの事業評価を行えば、自ずから均衡というもののあり方が見えてくるようにも思います。
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