◆北方の護り、第11旅団
今回が真駒内駐屯地祭の詳報最終回となります。いろいろ見て回りました。
こちらが第11旅団司令部の庁舎、北海道南部の防衛警備及び災害派遣に当たる旅団の司令部で、三周年となった2011年の行事、その以前は第11旅団は第11師団でした。陸上自衛隊のコンパクト化という流れの中で師団は旅団となった訳なのですが、連隊を基幹という編制は替わっていません。
そもそも、師団と旅団は、日本全国ほぼ等しく災害の脅威があり、防衛警備の重要性は変わらないのですから、どうして区分する決定がなされたのか、と考えることがあるのですけれども、冷戦後初の防衛大綱改訂に旅団が盛り込まれただけで、その事業評価がよくわからない。
装備品展示へ、第1特科団の88式地対艦誘導弾が展示されています。実はこの真駒内駐屯地祭の前日に美唄駐屯地祭へ足を運び、88式地対艦誘導弾をじっくりとみることが出来ました。一個連隊の96発を同時発射することで上陸を期する敵両用戦部隊を一掃できる、専守防衛日本の最重要装備です。
90式戦車、複合装甲という従来の防弾鋼板では難しかった戦車砲弾とミサイルに耐える装甲を現実的な重量に抑える技術が確立し、高出力で軽量な戦車用エンジンの技術と共に集約された第三世代戦車において、目標自動追尾装置や自動装填装置という日本独自の技術を盛り込んだ強力な戦車の展示のようす。
75式自走榴弾砲、開発当時には長砲身であった30口径155mm砲と自動装填装置を組み合わせた強力な自走砲で、新型の99式自走榴弾砲へ置き換えが進んでいますが、75式のほうが故障排除に人の技術と技量が入る余地があり、システム化で第一線で人の手が及ばない99式よりも信頼が出来るとのこと。
96式装輪装甲車、旅団全ての普通科連隊に一個中隊が装甲化されている主力装備で、このほか写真は後方支援連隊の車両、施設中隊や戦車大隊にも装備、特科隊にも73式装甲車とともに装備されているのでしょうか、各師団や旅団に200両程度は全国に必要な装備では、と考える。
真駒内駐屯地は他にも一般公開されている見どころがありますので、そこにも足を延ばそうと足を進めてゆきますと、96式装輪装甲車、車体上に70式地雷原処理装置を搭載した、先ほど訓練展示に出た施設の車両が通過してゆきました。ここは本土の師団や旅団と比べると、本当に装甲車が多い。
真駒内駐屯地、脚を進めていたらいつの間にか駐屯地を出てしまって戻ってきていた、訳ではなく、昔の真駒内駐屯地の営門をそのまま移設したもの。真駒内駐屯地、映画のガメラ2ではこの営門だったでしょうか、札幌市内の駐屯地なのですけれども、今回の連載のようにこれだけの大部隊がいます。
資料館、この旧営門の奥は資料館になっていました、屯田兵時代の資料館、旧陸軍時代の資料館、自衛隊時代の資料館、隊舎とともに資料館が並んでいるのですが、北海道、という特殊な地政学上の要件を備えた大地と、共に歩んだ方々の貴重な記録が残されています。
屯田兵時代の兵舎、といいますか、屯田兵は大政奉還とともに武士階級が士族となった際、新しい警備任務に当たると共に北海道開拓に当たる、という武士無き時代の任務として陸軍省が充て、1899年まで維持されると共に、屯田兵制度の廃止を以て陸軍第七師団が旭川に創設されました。
78式雪上車、資料館から移動していて見つけました、本州では東北以外なかなか見られない装備、今津駐屯地の片隅や金沢駐屯地の駐車場にいましたが、積雪地では不可欠の装備、確か600両ほどが装備されているもので最近は11式雪上車への更新が開始されているようです。個人的には積雪期以外にも使えるBV-206のようなものが必要と考えるところ。
真駒内駐屯地に残るサイロ隊舎、米陸軍から1954年に自衛隊へ移管された駐屯地ですが、米軍時代の施設も残っています、教会の建物が残っていますし、このサイロ隊舎のその一つ、中では自衛隊が札幌市内でパレードを行っていた時代の写真など、展示されていました。
90式戦車の体験乗車、90式戦車は重量が50tありますがエンジンは1500馬力で駆動系が変速機などしっかりと設計されているため、加速は思いのほか滑らかで速度は大きい、今津や駒門では希望者殺到ですが、真駒内では希望者に対し戦車の数が多いので並べば乗れそうではありましたが、まあ、いいかな、と。
快走する90式戦車、真駒内駐屯地に駐屯している第11戦車大隊は、第1戦車群の廃止に伴い北恵庭駐屯地へ移ることとなるのですが、この時点では真駒内の戦車です、戦車群、廃止は残念ですが北恵庭には戦車の駐屯地として存続され、移駐は再来月の予定とのこと。
戦車のほか、装甲車のモータープール、冬タイヤへの準備が行われています、96式は車輪が八つ在りますので、交換が大変そう、ともおもいましたが、一両で一個小銃班を輸送するのですから一個小銃班を二両の軽装甲機動車で運んでいてもタイヤの数は同じですね。
むこうに見えるのは地下鉄真駒内自衛隊前駅、駅の構内から自衛隊の装甲車が見える、という稀有な立地です。こんな形で駐屯地の行事を色々と見て回り、行事の撮影を完了しました。旅団ではありますが、重装備と共に想定される任務図べ手に備えている北方の精鋭部隊の一つ、という印象でした。
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