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【京都幕間旅情】伏見稲荷大社,宇迦之御魂神は須佐之男命と伊邪那美命と天照大神との由緒

2021-09-29 20:00:40 | 写真
■伏見稲荷祭神-宇迦之御魂神
 世闇と共に参る千本鳥居は一種幻想的な風情を醸す日常の中の非日常ですが、この情景とともに祭神について思い浮かべます。

 伏見稲荷大社は千本鳥居や御狐様が有名ですが、社殿が祀る祭神、宇迦之御魂神についてみてみましょう。御狐様は実は単なるお使いで、元々は京都洛外に住んでいた狐の老夫婦が人間に親切にしてもらった見返りに神様の下で恩返しをしたいと出仕しているもの。

 宇迦之御魂神、うかのみたまのかみ、との尊称は伏見稲荷大社の祭神です。古事記には、稲荷大明神、三狐神、御食津神など尊称があり、また日本書紀では倉稲魂命こと、うかのみたまのみこと、と記されていまして須佐之男命と伊邪那美命の間に生まれた神様という。

 宇迦は穀物や食物を示し、古称にウケという食物を示す言葉があります。伊勢神宮では創建の頃から御倉神として位置付けられていまして、伊邪那岐と伊邪那美命の日本列島創造に際し、空腹で力が尽きた際に食物を運んだのが宇迦之御魂神、転じ五穀豊穣信仰へ結ぶ。

 五穀豊穣とともに、豊という信仰がそのまま江戸時代には商売繁盛を願う信仰へと繋がりまして、千本鳥居の奉納など栄えてゆくのですが、須佐之男命と伊邪那美命と天照大神との由緒について、日本神話を遡りますと、古事記、日本書紀と興味深い伝承が伝わります。

 須佐之男命と伊邪那美命の娘という宇迦之御魂神、須佐之男命が櫛名田比売の次に伊邪那美命と結ばれた際の子といいまして、八岐大蛇を叩きのめす傍らでやることはやっている須佐之男命でございました。伊邪那岐は伊邪那美命が日本列島を創造する前のはなしです。

 天照大神と須佐之男命の誓約、という日本神話の分岐点が在ります。天照大神は須佐之男命の実姉にあたり、この世界の上に高天原があり天照大神が治め、またこの世界の下には根の国があり、伊邪那岐命が治めていた、という。すると中間の此処は、となりますね。

 天地開闢という神代の昔に混沌だけが世界を支配した時代、高天原より舞い降りた伊邪那岐は伊邪那美命ととも天沼矛という長刀で混沌の海を掻き雑ぜ、その際に誕生したのが大八洲という今の日本列島と海神大綿津見神や大山津見神という神々であったと神話にある。

 伊邪那岐命が自らは根の国に、須佐之男命には海の神たることを命じた際に、流石に海は困るという事で強く念じたところ巨大地震に大津波とカルデラ噴火、映画日本沈没、的な状況となり、天地創世成し遂げたその地での暴挙、須佐之男命は追放される事となります。

 日本沈没の原因が別居騒動での夫婦喧嘩というのは中々日本神話の奥深さを感じるところですが、須佐之男命は追放されるならば海の神も神も諦めて再同居しようと根の国に向かう事とし、その前に最後の挨拶へと天照大神へ会いに高天原へ上洛というか上京へ向かう。

 高天原は、日本全土を蹂躙した須佐之男命が遂に高天原へと進攻したと、ちょっとした騒ぎとなり、実際須佐之男命は神具十拳剣を帯びていた事で天照大神は神々に完全武装で迎え撃つ姿勢を執った為、須佐之男命は誤解を解くために十拳剣を手放し壊す事で同意した。

 天照大神と須佐之男命の誓約、とはこのことを示しまして、砕いた十拳剣から多紀理毘売命と多岐都比売命の市寸島比売命の神々が、また十拳剣を砕いた勾玉からは天之忍穂耳命と天之菩卑能命に天津日子根命と活津日子根命に熊野久須毘命の神々が生まれた、という。

 この子孫が現在の皇室に繋がるといい、日本誕生、とはこの災害と共に復興と和解の過程で生まれた事に他なりません。そしてこうした荒ぶる神様の、一方で八岐大蛇討伐を代表するように、人情というか神情にも厚い神様の子が、宇迦之御魂神、という事なのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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