北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛費GDP2%-岸田総理"震災復興税""建設国債"転用検討,無理な増額よりも当面防衛力建直しに傾注しては?

2022-12-14 07:00:09 | 国際・政治
■GDP2%は持続的施策か
 無理な負担を続ければ必ず反動が来ます、諸外国にはGDP2%を支出している事例はありますが各国は防衛費の歳出における比率を高めた結果であり単に増税したわけではありません。

 防衛費GDP2%問題について、岸田総理は消費税については社会保障目的税である為に流用できないとした上で、東日本大震災復興特別税の流用を検討開始しました、また、建設国債の活用も検討するとのことです。いや、震災復興特別税こそ目的税ではないかと思いますし、なにより次の震災の懸念があるからこそ全国の原発が動かせず今に至るのですが。

 ミサイル防衛、この新任務が付与され毎年数千億規模の費用を防衛費を増額せず捻出する為に、自衛官の大半を非正規雇用として募集を難しくし、防衛装備品調達を生産ライン維持困難か不可能な水準まで後退させ多くの防衛産業が撤退乃至撤退検討を始め、装備維持費を削り過ぎた為に折角調達しても低稼働率の装備が増えている、問題の原点はここです。

 防衛産業維持へ補助金という構想も出ているようですが、例えば戦車の工場を維持出来ない理由は戦車や装甲車両の調達数が少なすぎる為であり、補助金を出して工場を維持出来れば更に調達を削れると早合点するような施策はまさに本末転倒であり、補助金が無くとも1990年代の調達数に戻せば、辛うじて生産ラインは維持できる点を忘れるべきでない。

 任務が増えたのに増えた任務分の予算を確保しなかった、問題の根底は此処にあるのですから、ミサイル防衛の費用を予算に加えれば、GDP2%まで上げずとも対応できる部分は多いのではないかと思う。勿論、20年間にわたりミサイル防衛事業の影響を受け調達できなかった装備を調達する必要がありますので、短期的には相応の反動はあるのですけれども。

 GDP2%,いままでは1%であるから負担感が低く抑えられていたといえるのですがGDP2%というならば、自衛隊反対か賛成かという哲学論争から一歩出た、どういう防衛力が必要なのか、逆の表現ではどういう分野の防衛力を省いても国民は“その時”に忍耐を果たせるのか、という議論が必要となるのかもしれません。そして予算の効率的な運用なども。

 反撃能力として数兆円という多額の予算を投じるが、例えばF-15戦闘機の後継にF/A-18EやF-15EX等打撃力の強い機体を導入すれば反撃能力を整備せずとも航空打撃力で代替できるのではないかとか、高性能無人機を大量に導入する案よりも今迄通り戦闘ヘリコプターを揃えた方がよいのではないか、などなど賛否に留まらない議論が、必要となるように思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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