北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

巨大災害,次の有事への備え 10:南海トラフ地震、大規模災害と鉄道救援輸送基盤の維持

2016-11-22 21:55:12 | 防災・災害派遣
■福島沖マグニチュード7.4地震
 今朝夜明け前のマグニチュード7.4、太平洋沿岸の津波警報、改めて災害の蓋然性を突き付けられました。南海トラフ地震、大規模災害と鉄道救援輸送基盤、という視点から。今回から少し鉄道と災害輸送について考える事としましょう。

 災害復旧と国の関与について、今後想定される南海トラフ地震では鉄道関連設備が大きな損害を被ることが予想されます。この復旧について予め法整備を行い、現在は全ての鉄道が官営ではなく民有ですが、その上で鉄道優遇政策と批判される覚悟を以て、復旧関連の資材や財政支援、人的動員や復旧要員の輸送体制というものを考えなければなりません。

 鉄道ですが、災害時においても極めて重要な運送手段です。東日本大震災では仙台製油施設の損傷を受け、京浜地区製油施設より、常磐線や東北本線被災地域を避け、日本海縦貫線を経由し燃料輸送を実施、これにより東北地域の燃料不足は漸く解消されました。一方、台風9号台風10号の北海道鉄道被害は本土への物流へ影響が生じた事も記憶に新しい。

 現在、北海道の鉄道網は台風被害により大被害を受けており、漸く旭川と新得町を迂回する事で札幌から帯広まで行く事が出来るようになりました、しかし、これでは東京から横浜へ八王子経由で行くようなもの、京都から名古屋へ金沢と高山経由で行くようなもの、指定公共機関である鉄道を国がどのように考えるか、重要な視点を突き付けられました。

 北海道の鉄道の現状ですが、防衛上も大きな問題を抱える事となりました、北海道へ協同転地演習を実施する場合、JR北海道の台風9号台風10号災害による橋梁流失被害などの復旧に時間を要するため、本州から北海道道東地区が不通、鉄道輸送を度外視しなければ釧路や矢臼別演習場へ部隊を派遣する事が出来ない、という厳しい実情を示しています。

 1944年に陸軍省は決戦輸送体制を確立するべく民有鉄道の官主導統合を実施していますが、これほど強権的なものは法制度の転換と現行憲法の財産権の視点から今日的に難しいものの、大規模災害という有事の際には鉄道の民間資産に対し、政府が指定協力企業として協力を求める措置等、法整備を行い、公共交通の掲げる公共性を強化すべきでしょう。

 大規模災害対応輸送調整機構、というようなものを創設し、災害時迂回運転を相互乗り入れに関する企業間協力等を含め実施するべき、でしょう。具体的施策として最初に考えられるものは、全ての鉄道線を利用した輸送体制を災害時に実施すべくJR各社や民鉄各社と第三セクター各社に特定目的鉄道間の災害時における緊急相互乗り入れ体制の確立です。

 第三セクター各社への相互乗り入れ体制を確立するという事は、整備新幹線計画に伴う九州新幹線開通や北陸新幹線金沢開業と北海道新幹線整備に伴う在来線のJR各社からの営業切り離しにより、近年特にその必要性が高まっており、新幹線は旅客輸送に特化し貨物輸送を想定していない分、輸送力として第三セクターへの在来線移行は災害時に厳しい。

 大規模災害対応輸送調整、として簡単に記しましたが、勿論これは簡単ではありません。線路があればそのままポイントを維持し乗り入れるだけ、と問われれば、詳細は後述しますが簡単に記した場合でも、信号機や列車制御から運転要員や信号要員の大量輸送への確保に、重量車両の通行には保線基盤に問題があり、政治が求める以上は負担も求められる。

 第三セクターへの移管という施策も、第三セクターへ移管しなければ整備新幹線計画を遂行できない経済性の問題がありますし、第三セクター経営分離は、併せて従来の在来線の廃線か移管かの厳しい経済的選択を選んだ結果でもありますので、安易に政治が災害に備えるという視点から要求する事は簡単ではない事も確かで、この部分の検証は必要です。

北大路機関:はるな くらま
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福島県沖マグニチュード7.3/震度5弱の地震 福島県沿岸に津波警報【北大路機関防災情報】

2016-11-22 07:32:44 | 北大路機関 広報
震度5弱の地震
福島県沿岸に津波警報

本日0559時、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました
本州太平洋岸に広く津波警報と津波注意報が発令されています
沿岸部から高台へ避難してください

情報は第二北大路機関にて随時更新します…http://harunakurama.blog10.fc2.com/
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