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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

将来艦隊戦闘と巡航ミサイル【11】 日本の防衛、顕在化した巡航ミサイル脅威を前にした選択肢

2016-11-05 21:05:39 | 先端軍事テクノロジー
■巡航ミサイル脅威顕在化を前に
 巡航ミサイル脅威に何が出来るか、将来艦隊戦闘と巡航ミサイル特集、最終回です。

 対処法は迎撃で、超低空を侵攻する巡航ミサイルに対しては既存の警戒監視手段と迎撃用の各種ミサイルが大きな能力を発揮します、が、飽和攻撃として一度に大量の巡航ミサイルによる攻撃を受けた場合、飽和状態になり侵攻を許してしまう可能性が否定できません。十年前、2006年の時点であれば、日本が巡航ミサイルの脅威をそれほど大きく受けてはおらず、脅威となっていましたのは大陸からは弾道ミサイルでした。

 十年前の弾道ミサイル脅威と云えば、対日戦用の東風15型ミサイルが150発程度、朝鮮半島からのノドンミサイルが100発程度の脅威でしかありませんでしたが、この十年間で長剣07型巡航ミサイル1500発という非常に大きな脅威が日本本土へ覆いかぶさるようになりました。しかもこの1500発という長剣07型は現在も量産中であり、H-6戦略爆撃機、商型攻撃型原潜、元型通常動力潜水艦、052型ミサイル駆逐艦、地上発射装置から同時に投射される極めて日本本土への脅威度が高いものとなっています。

 この脅威に対して、防衛予算が無尽蔵に確保出来るならば、例えばイージス艦をアメリカ海軍の三分の一程度、30隻を建造し日本周辺に常時20隻程度を遊弋させるならば、その射程が非常に大きなスタンダードSM-6迎撃ミサイルにより、飽和攻撃を撃破出来るかもしれません、しかし、この種の事態では攻撃側よりも防御側の方が負担について増大し、且つ防御に徹する限り、相手にはミサイルを射耗する事以外のリスクがありません。

 云わば、十年間で1500発の巡航ミサイルが増大した訳ですから、個の度合いで脅威が更に十年後に十年後と増大した場合、我が国は毎年3隻のイージス艦を建造知る必要に迫られる訳で、これでは国が持ちません。そこで、耐用年数を厳格すぎる定義の上で実質的に早期に除籍される潜水艦、搭載能力に余裕を持つ一部護衛艦、世界最大規模の装備数と世界最大の保有密度を誇る哨戒航空部隊、これらに巡航ミサイルの運搬手段を付与する事により、巡航ミサイルの運用を提示した、ということ。

 いままで活用していなかった防衛資材を最大限活用することにより、潜水艦に160発から240発、護衛艦に128発の巡航ミサイル同時運用能力を付与出来るわけです。RGM-109E/RGM-109HとRGM-109E/RGM-109Hに可能ならばAGM-129 ACMのアメリカへの有償供与要請、重整備など国内運用基盤の支援要請、これまでにない装備体系ですが、真剣に供与に関する交渉を行う価値はあるでしょう。

 更に日米安全保障条約の枠組はありますが、有事の際、日本本土への攻撃に対し、策源地攻撃を喩え同盟国だれ、全て委任し日本側が一切関与しない、という姿勢は不可能で、この点からも脅威に対応するには相応の対処能力が構築されなければなりません。もちろん、1500発の巡航ミサイル脅威に対し、一億国民シェルター計画等反撃に頼らない手段での軍事恫喝に屈しない国家体制構築は可能です、予算支出へ国民が賛同すれば防空手段を増勢するという選択肢がある。

 イージス艦の大量建造の経済負担へも国民の支持がこちらの方が大きければ選択肢に含むべきでしょう、これらを踏まえたうえで、巡航ミサイルという新しい装備体系を提案しました。脅威を視ないように無視する事は不可能ではありません、が、敢えて見ない事で脅威が顕在化した際、想定外、としてその過酷な代償を国民へ叩きつける政治は、あまりに無責任です。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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