北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ロシア外交防衛政策転換の中東シリア問題と北東アジア国際関係変容と我が国諸政策の影響

2015-10-08 22:45:32 | 国際・政治
■日ロ関係と防衛政策
 日ロ関係と防衛政策、シリアを筆頭とした中東と欧州への影響が我が国周辺に与える今後の展開の可能性について、昨日に続き。

 日本はもとより世界に衝撃を与えました、カスピ小艦隊のあの小さなコルベットからシリアへ巡航ミサイル攻撃が行われ、内海の小型艦にも長距離打撃力が保持されていたことに驚かされました、ハープーンスキーと呼ばれた3M24ウランミサイルしか搭載されていないと考えていましたが、3M14クラブが1500kmを飛翔して命中させる精度を保持させ、その能力を誇示しました。

 現在の険悪な米露関係の背景には2000年代初頭のアメリカによる東欧へのミサイル防衛システム配備が軍事上の大きな摩擦の起点であり、カスピ海からシリア領内を狙う精度の巡航ミサイルを誇示する事は、併せて東欧及び中欧へ、またバレンツ海から西欧を充分射程に収めている事を示したともいえるでしょう。

 NATOは東部ウクライナ紛争へのロシア介入以来、事実上のパニック状態に陥っており、戦車を1500両から全廃したオランダ軍が急遽戦車再整備を発表、ドイツ連邦軍も戦車を三割増強する緊急策を発表、ポーランドは次期攻撃ヘリコプター選定を前倒しし、東欧NATO新規加盟国は西欧諸国への部隊駐留と演習強化を繰り返し要請、実施されており冷戦後一貫した重装備削減の姿勢が突如再整備に追われているかたち。

 この中で我が国安全保障上の影響度ですが、まずロシアは隣国であり我が国は領土問題を抱えています、更にシリアへの影響力行使に並行し、今回のカスピ小艦隊からの巡航ミサイル攻撃へはイラクイランの上空通過を調整した事となり、中東地域でのロシアの栄養度を更に高めると共に旧ソ連製装備を有する友好国への影響度の高さを示しており、その旧ソ連製装備を有する旧ソ連友好国は我が国周辺へは北朝鮮が存在します。

 冷戦期と今日の北東アジア情勢における最大の違いは、中ソ関係が険悪な状態が続いていたのに対し、中ロ関係は比較的良好で、冷戦期に北方からの軍事圧力が発生した場合に良好な日中関係を背景に中国が北方へ圧力を掛ける可能性が考えられたのですが、中ロ関係の好転化に伴い、呼号して二国同時に行動を起こす可能性は一概に言えませんが抑制するという冷戦kの行動、今日的にこうした効果は考えられません。

 一方で、短期的には交渉課題としての位置づけに留まりますが、長期的に日ロ間での北方領土交渉が好転した場合、クリミア問題や東部ウクライナ紛争型の課題が日ロ関係に生じる可能性が否定できません。ロシア海軍は太平洋艦隊増強、具体的には再整備を継続しており、この関係上、宗谷海峡等太平洋艦隊のウラジオストク軍港が面する日本海から太平洋への経路強化の必要性は高まる事はあっても低下することは考えられないもの。

 短期的に考えられる我が国安全保障への影響は、ロシアからシリアへの様に、北朝鮮への軍事援助再開がロシアにより実施される場合でしょう。在韓米軍が大きく装備と権限が縮小しており、韓国による北朝鮮への抑止力が維持できない場合、我が国周辺事態へ展開する蓋然性が高まる事は必至で、比較的規模が維持されている在日米軍のポテンシャルが必然的に高まる。

 更に中期的に中東地域へのロシアの影響力が高まり、アメリカがオバマ政権時代とそれに続く次期政権が早い時期に打開策を打たない場合、我が国は戦後最大規模の防衛政策と国際関係の再構築を迫られる可能性もあり、もちろん我が国は中東地域へ影響力を特に防衛面で行使する可能性は非現実的ですが、結果論として中東地域と日本の関係が変化する場合を認識すべきなのでしょうか。

 喫緊の課題については、本年中に実施される可能性が高いロシア大統領訪日と日ロ首脳会談に際し、我が国の姿勢と妥協のできない領土問題があり、その上でロシアと良好な関係を、ロシアが日米はじめ環太平洋諸国と等しい事由と人の尊厳が守られる価値観と国際公序を守る諸国への参画を経て進めるとの原則論を堅持し、世界へ示す事でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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