北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第十二回):航空防衛力、航空団改編案と有事運用

2015-10-04 22:58:19 | 防衛・安全保障
■大型航空団有事に臨む
 前回までに航空団の改編案を提示しました、これは世界的に視て戦闘機数に一定以上の規模を有する自衛隊は運用改編を行う事で能力を大きく発揮できる、と考えたもの。

 航空方面隊と航空団の改編案を、航空団を複数航空隊を基幹とする大型航空団へ改編する案を提示しまして、航空団は3個航空隊と大型の3個飛行隊を基幹、例えば北部航空方面隊は第2航空団司令部と第2航空隊と新編第4航空隊を千歳基地とし三沢基地に第3航空隊、というかたちで提案しています。

 このほか中部航空方面隊は第1航空団(仮称)司令部と第6航空隊と新編第1航空隊を小松基地に置き百里基地に第7航空隊を、西部航空方面隊は第3航空団(仮称)司令部と第8航空隊を築城基地に置き第5航空隊と新編第10航空隊を新田原基地へ、 那覇基地は第4航空団(仮称)と第9航空隊及び新編部隊、という編成を提示しました。

 航空隊ですが、飛行隊の分散運用を前提とします。現在の体制を以て単純に集める事は、実戦的ではありません、例えば那覇基地へ増援すると仮定し、那覇基地に平時展開の部隊として2個飛行隊52機が配置するとしましょう、そこに78機が展開すれば那覇基地だけで130機集まり、勇壮な場面が出来ますが、滑走路に中距離弾道弾一発が命中すれば遊兵化しかねません。

 しかし、航空隊隷下の飛行隊を8機の飛行中隊3個から成る部隊とし、8機毎に分散展開すれば3箇所の飛行場に展開が可能です。勿論、分散するという事は整備負担が倍増以上しますし、基地ごとに防空隊と通信分遣隊を置かなければなりませんので負担は更に増大しますが、この部分は整備部隊と通信部隊に基地防空分遣隊を純増するほかありません。もちろん平時から分散しては補給管理上の不具合が大きすぎる為、有事の際の分散を前提とした、というもの。

 日本の空港、航空機が発着可能な施設は意外と多く、もちろん採算上の問題を民間空港として抱えているものも多いことは事実ですが、有事の際に我が方が運用すれば大きな威力を発揮するだろう施設が多い。拠点空港会社管理空港4箇所、国管理空港19箇所、特定地方管理空港5箇所、地方管理空港54箇所、県営空港12箇所、と。

 更に飛行場施設といますともう少し多く非公共用飛行場4箇所、共用飛行場8箇所、軍用飛行場39箇所、もっとも特定地方管理空港の滑走路は短く、軍用飛行場は隣接したものに代替滑走路や滑走路がヘリコプター用のものも含まれますが、その総数は実に145箇所に上ります。

 加えて場外離着陸場として緊急時に応用可能な施設は更にいくつかありまして、勿論航空管制や後方設備などは想定されていませんので有事に私用するならば移動式管制装置や航空誘導機材などを可搬式装備として準備する必要がありますが、他には広島西飛行場ヘリポートですが1800m滑走路をもつ。

 このほか沖縄県の読谷補助飛行場跡地は米軍から返還された後に県道として滑走路が維持されています、場外離着陸場施設及び運用時の要件は国土交通省により定められていますが、緊急時の展開は新規に応急飛行場を建築するよりは短期に実現できるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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