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航空防衛作戦部隊論(第十三回):航空防衛力、南西諸島防空想定と戦闘機分散運用

2015-10-05 21:44:11 | 防衛・安全保障
■防空へ南西諸島21空港を活用
 航空団を大型化する、航空団の改編案として数を減らしてでも規模を大きくする試案を示しました。

 大型化した航空団は現在の航空団が飛行群を隷下に置き飛行隊を配置する編制から航空団の下に複数、具体的には3個航空隊を置く編制に改編する。航空隊は隷下に各1個飛行隊を持ち、飛行隊定数を現在の18~20機から24~26機へと増強する、大型航空団隷下の3個航空隊は2箇所の基地へ展開する、そして常時1個飛行隊を転地可能な機動防衛力とする、改編案は以上の通り。

 そして航空団隷下の航空隊は、航空自衛隊の戦闘機部隊が常駐する基地以外へ、有事の際に展開し、基地数を単純に増加させることが出来る、これを前提とした体制へ置き換えます。現在の基地配置では、第一線近くの飛行場は弾道ミサイル攻撃や巡航ミサイル攻撃に曝され、一定期間、場合によっては非常に需要な基幹全般に渡り機能喪失が続く危惧がありますが、分散する事で多少なりともリスクを分散し払拭できましょう。

 機動防衛力として支援へ展開する飛行隊も一カ所に固まるのではなく、航空隊の整備支援能力を強化する事で飛行隊さえも、飛行中隊ごとに分散し、具体的には緊急発進と航空隊の情報共有と統合指揮により、中隊ごとではなく分散する航空隊単位で持ち回りのかたちにて、戦闘空中哨戒や場合によっては航空打撃戦に参加、場合によっては増援部隊を受ける基盤構築も担います。

 南西諸島有事を考えた場合でも空港や飛行場は多数ありますので、この方式はある程度現実味がある。南西諸島は、空港だけで那覇空港、粟国空港、伊江島空港、久米島空港、慶良間空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港、波照間空港、与那国空港、南西諸島北部にも種子島空港、屋久島空港、奄美空港、喜界空港、徳之島空港、沖永良部空港、与論空港、薩摩硫黄島飛行場、21か所に上る。

 また旧種子島空港のように廃港後も1500m滑走路が維持されている事例があり、2014年の自衛隊統合演習では自衛隊が展開し滑走路を運用した事がありました。石垣空港も新石垣空港開港により廃港となりましたが、滑走路が残る事例があります。勿論、北九州市小倉南の旧北九州空港跡地の様に再開発により滑走路がなくなったところもありますが。

 空港であり基地ではありませんので、戦闘機部隊を収容する施設等はありませんが、展開する航空機数が一箇所あたり非常に少ないことから、可搬式シェルターを滑走路に充分な離隔距離をとって分散配置する事で、航空攻撃や弾道ミサイル攻撃から飛行中隊が一撃で壊滅する事を防ぐことが出来ます、クラスター弾などによる広範囲の制圧に対しても、数百m単位で離隔すれば大丈夫でしょう。

 本土航空団から3個航空隊を緊急展開させるとして、3個飛行隊が各3個飛行中隊で分散運用する場合、単純計算で9箇所の空港に分散することが出来ます。もちろん、戦闘機単体で展開するのではなく、整備要員や弾薬等の空輸支援に当たる輸送機と警備支援に当たる陸上自衛隊空中機動部隊、通信と管制部隊も随伴する。空港は防衛拠点となる為、海上自衛隊哨戒部隊の給油拠点とも成り得るでしょう。

 民間空港へ自衛隊が展開する事で攻撃目標となるので、との危惧はあるやもしれませんが、有事の際には軍用民間用共に滑走路があるだけで攻撃対象となりますので、自衛隊の有無は関係なく、拠点として用い得る飛行場が増加する点はわが方に取り利点です、米軍飛行場と自衛隊基地の3箇所に加え、即座に9箇所に防空拠点を展開する事は、その能力自体を以て強烈な抑止力となります。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (3)
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