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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集:平成27年度防衛予算概算要求概要⑮・・・空母脅威に備える次期戦闘機と新弾頭Ⅰ

2014-10-04 22:02:00 | 防衛・安全保障

◆平成40年代を見据え次世代機開発

 平成27年度防衛予算概算要求概要では技術研究開発の推進、技術開発ではなく研究も盛り込まれています。

Timg_70820  将来戦闘機関連事業(412億円)、大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究(15億円)、このなかでも上記二つの事業は平成40年代を見据えての技術開発に向けた技術研究ではありますが、我が国周辺での空母脅威への大きな対処手段の構築となるでしょう。

09thimg_1242_1 将来戦闘機関連事業は具体的には“将来戦闘機に関し、国際共同開発の可能性も含め、戦闘機(F-2)の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるよう、国内において戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るための実証研究を実施”、として具体的にFS-Xを見据えたものが示されることとなりました。

Nimg_9356 大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究は、“空母等の大型艦艇の外壁を貫徹し、艦艇内部で起爆し、爆風効果で破壊する大型艦艇対処用弾頭及び島嶼上の地上目標等に対し広範囲に高い貫徹力を有する攻撃が可能な地上目標対処用弾頭の研究を実施”と空母脅威への対処を明示しています。

Nimg_8701  我が国周辺において我が国領土の軍事的侵攻を選択肢の視野に入れ、国際法を無視した強圧的外交政策と軍事行動を進める国が、航空母艦の取得と複数の航空母艦の建造、更には航空母艦を中心とした機動部隊の建設を進めていまして、その矛先が我が国に刺さる瞬間に対応策が必要となります。

Img_1267 その具体的施策として、将来戦闘機関連事業と大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究にかんする技術研究開発の推進が行われることとなり、即座の対応策とはなり得ませんが、恐らく現在のまま隣国の航空母艦による機動部隊が複数整備され脅威が顕在化する頃を見計らった研究が進められてゆきます。

Img_7426 平成40年代を見据え、という部分は平成27年度防衛予算概算要求概要には盛り込まれていませんが、現在のまま開発を推移させた場合、技術実証機開発などの蓄積された部分を元として研究が開発に転換し具体的装備品に反映されるにはその程度の時間を要する、というもの。

Gimg_7252  自衛隊最新戦闘機と言えばF-2,という誤解がありますが正しくはF-2は支援戦闘機でF-15戦闘機と明確に任務が区分されていまして、現在の航空自衛隊は対戦闘機戦闘と航空優勢確保を戦闘機の専管とし支援戦闘機部隊が近接航空支援及び航空阻止に加えて主軸の一つとして対艦攻撃任務を付与しています。

Abimg_3301 F-2支援戦闘機は従来の空対艦ミサイルと比較し射程が非常に長いASM-2や開発中の超音速ASM-3空対艦ミサイルにより高度な打撃力を有しており、特にF-2支援戦闘機は小型ながら同時4発の空対艦ミサイルを比較的大きな戦闘行動半径の下投射し本土防衛に必要な対艦打撃力を発揮できます。

Kimg_4946 現在のF-2支援戦闘機の水準であれば、ASM-2を一個飛行隊18機により72発の斉射が可能であるため、世界で最も強力である米空母機動部隊への打撃力を含めても十分と言え、超音速小型目標という非常に迎撃しにくいASM-3を搭載する将来を見渡しましても十分と言えますが、この優位性は永続的ではありません。

Img_3219  空母脅威へ如何に立ち向かうか、この為には脅威対象である空母に対し防空網を構成する空母艦載機の迎撃を回避するもしくは無力化しつつ接近し、確実な威力を有する弾頭の誘導弾を命中させることで脅威対象の航空母艦そのものの機能を停止させる方式がもとめられるということ。

Img_2222 即ち、接近するまで発見されにくいステルス機により最大限進出し、自衛戦闘能力により航空母艦が発揮する艦載機による攻撃能力を排除、可能な限り接近し空対艦ミサイルによる飽和攻撃を行う、これが次期支援戦闘機に求められる性能として筆頭に挙げられるものでしょう。

Img_3405 加えて空対艦ミサイルは目標に安易に迎撃されないミサイル本体のステルス性と超音速巡航性能を持つと共に一撃、つまり一発でも命中すればその機能を付随に陥れ、航行不能乃至艦載機の発着を不可能とする、艦内及び艦上の航空機を無力化できる性能が求められるわけです。

北大路機関:はるな

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