◆統合機動防衛力整備を目指し訓練
現在、北海道において二つの大きな演習が実施中です。本日はこの話題について。
北海道において平成26年度北部方面隊実動演習と東北方面隊主幹連隊等協同転地演習が実施されています。現在陸上自衛隊では統合機動防衛力整備として陸上自衛隊の他管区への機動力を増強することで全自衛隊の即応性向上と総合的な抑止力強化を進めており、その能力練成へ端的な事例といえるでしょう。
協同転地演習とは、冷戦時代北方機動演習として本州の陸上自衛隊部隊をソ連軍などの侵攻を想定した北方有事へ緊急展開させ北海道の防衛力を増強させる想定での訓練で、近年では自衛隊の長距離展開能力の整備へ北部方面隊を含め広く実施されるようになってきました。
東北方面隊の協同転地演習は東北方面総監松村五郎陸将を統裁官として連隊等協同転地演習として9月25日から10月14日まで実施され、東北方面隊管区から北部方面隊管区へ実施され、北部方面隊管内の演習において攻撃訓練などが実施されています。
この東北方面隊主幹連隊等協同転地演習においては第9師団を主力とする一個普通科連隊が配属部隊を以て実施され、人員1750名、車両500両、航空機5機を以て矢臼別演習場へ展開、車両には戦車7両が含まれています。展開は5日間で実施、攻撃訓練が今月1日から10日まで実施、14日までに復路を踏破する計画とのこと。
併せて東北方面隊協同転地演習実施中の矢臼別演習場では平成26年度北部方面隊実動演習が実施されています。北部方面隊実動演習参加部隊と東北方面隊協同転地演習参加部隊が同じ矢臼別演習場において行動することで連携要領の演練にも寄与することでしょう。
平成26年度北部方面隊実動演習には、北部方面総監田邉揮司良陸将が統裁官となり、方面総監部、第2師団、第7師団、第5旅団、第11旅団、第1特科団、第1高射特科団より人員6600名が抽出、戦車45両を含む1700両の車両と航空機15機が参加し実施されると発表されました。
訓練は矢臼別演習場他に北海道大演習場、札幌駐屯地で実施され、9月25日から10月15日まで実施、警戒監視訓練、攻撃訓練、防御訓練、沿岸監視訓練、協同耐寒訓練、協同防空訓練、ペトリオット警備訓練、通信訓練を実施、航空自衛隊との連携も視野に含まれているもよう。
なお、北部方面隊は平成26年度北部方面隊実動演習に続き、北部方面隊の連隊等協同転地演習を予定しています。御嶽山噴火災害自衛隊派遣などで災害派遣に注目が集まっていますが、第一の任務である防衛へも万全の訓練が行われているわけですね。
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