北大路機関

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浜松基地航空祭2012詳報⑧ 日本防空の切り札、E-767AWACSを中心に異機種編隊飛行!

2013-12-26 23:52:32 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆この大編隊は浜松基地だけのもの!

 浜松基地航空祭はやはりこの順光撮影位置、広報館へ移動してよかった、これに尽きる。

Himg_3426 響くはエンジン音、近づく大編隊、異機種大編隊の飛来です。この浜松基地航空祭でも異機種大編隊が行われます。異機種大編隊と言いますと岐阜基地航空祭の輸送機と戦闘機と支援戦闘機に練習機の編隊が有名ですが、浜松基地航空祭でもここ数年間実施されるようになってきました。

Himg_3433 E-767早期警戒管制機、AWACSとU-125救難機、原型を辿れば旅客機とビジネスジェット、共にお客様を載せて飛行する機体ですので、空港などで原型機は並んでいるのかもしれませんが、E-767とU-125Aが航空祭で共に飛行する機会というのは、広い世の中と言えどもこの浜松だけでしょう。

Himg_3435 浜松基地の大編隊は、編隊構成の航空機も所属は浜松基地ですが、警戒航空隊飛行警戒管制隊に浜松救難隊と第1航空団、岐阜基地の大編隊が全て飛行開発実験団の所属機であるのと対称的に、編隊を構成する航空機の所属も多岐に富んでいまして、異なる機種もさることながら異なる部隊間でも編隊を組める練度が素晴らしい。

Himg_3447 E-767、航空自衛隊の防空能力を一挙に引き上げた航空機で、毎年段階近代化改修を実施し、情報処理能力や電子能力と指揮統制能力を強化しており、これは米空軍やNATOとその加盟国のE-3早期警戒管制機と連動し第一線の能力を維持し、今に至る。

Himg_3452 E-767早期警戒管制機、次期中期防衛力整備計画では1970年代より導入を開始したE-2Cの後継機導入が開始されますが、従来空中警戒管制機と呼ばれていた機種を中期防においては早期警戒管制機、正確には早期警戒機になる可能性もあるので早期警戒(管制)機という呼称でしたが、一般的な呼称となっています。

Himg_3453 このE-767ですが、新早期警戒(管制)機、普通にE-767を増備できれば理想的な結果になりました、機種を統合できますからね。しかし、E-767に搭載されている早期警戒管制機の中枢、円形のAPY-2レーダーが90年代に生産終了してしまい、増備が不可能となりました。

Himg_3461 すると、有力な候補機は豪州空軍やトルコ空軍に韓国空軍が採用したB-737AEW&C早期警戒機か、米海軍がE-2C早期警戒機の後継機として導入したE-2D早期警戒機くらいしか現実的な候補機はありません。B-737AEW&Cは先進的なMESAレーダーを採用しているのですが、そもそも737は767の半分以下の航続距離しか有していません。

Himg_3476 元々米空軍が今世紀に入り旧式化したE-3早期警戒管制機の後継機としてE-10を開発開始、E-10は早期警戒管制機から戦場監視に電子情報収集任務にも対応する多機能機だたのですが、それが祟り開発が難航、結果コスト増大を理由に開発計画は中止されてしまいました。E-10が実用化されていれば、これに乗ることが出来たのですが。

Himg_3484 編隊飛行を終えてU-125Aが着陸態勢に入りました、このU-125もそろそろ後継機選定を行わなければならない時期になっています、同時期に採用されたUH-60J救難ヘリコプターは後継機として改良型の調達が開始されますので、後継機の必要性は時期的に見ても非常に高くなっている、と。

Himg_3486 U-125Aの後継機は、U-125Aの改良型でもいいのですが、運用費用が増大する覚悟で空中給油受油ブームを搭載するUH-60Jの増勢に対応し、C-27輸送機やC-130系統の輸送機を空中給油機に改修し、有事、大規模災害のような状況を想定するのですが、場合によっては輸送支援へ、また飛行時間の延伸へ寄与するような機体があってもいいのかな、と。

Himg_3495 もちろん、U-125の後継機にC-27等を採用した場合、維持費が非常に大きくなってしまい航空自衛隊の装備運用体系を再構築しなければならなくなる可能性がありますので、安易にそういった対応を採る事は出来ませんが、これは別としても後継機、考えねばなりません。航空自衛隊だけでなく後継機選定を急ぐ機種は多々ありますが、ね。

Himg_3501 E-767も着陸へ進入してきました。E-767後継機ですが、理想は米空軍のE-3早期警戒管制機後継機に合わせ、近代化改修の軸足を結ぶことですが、これが現状では出来ない。無理にAPY-2を再生産要請しても完成する頃に米空軍でE-3後継機選定が始まっては一挙に新品のAPY-2が陳腐化するため意味が無い。

Himg_35060 すると、B-737AEW&Cを導入し当面は豪州空軍や韓国空軍と段階近代化改修の軸足を併せ、航続距離の不足に関しては那覇基地と三沢基地への前進配備と空中給油機との連携を以て不足を補うのか、三沢基地などの既存の航空掩体に入るE-2D早期警戒機を導入し早期に数を揃えるのか、こういった選択肢が現実的でしょうか。

Himg_3524 E-767は高性能な機体ではあるのですが、4機しか導入されていないため、一機も損耗が無い状態で持続的一空域展開を行うのが限界です。損耗を念頭に置くならば、予備機が必要になりますので、その予備機の地位に立つことが出来る機体を目指すのか、取得性を重視するのか、この決定は難しい。

Himg_3542 異機種編隊飛行が完了したのち、T-4は降りてきません、そして異機種編隊の参加したT-4練習機の機数に対して離陸したT-4練習機とでは機数が合いません、そう、離陸したT-4練習機は大編隊を組み編隊飛行を行うべくこちらへ向かっているところ、その編隊がいよいよ見えてきました。

Himg_3545 T-4練習機の編隊飛行、編隊飛行も順光で撮影です。T-4練習機は低速での飛行性能を展示するべく脚部を展開させ飛行している模様、その編隊飛行の様子は次回の特集にて紹介したいと思います。お楽しみに。

北大路機関:はるな

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コメント (2)
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