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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

東北方面隊創設50周年記念行事詳報④ 創設50周年作曲、“七彩の奥羽国”音楽演奏

2013-12-24 23:53:02 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆東北七県の平和と安定を願う壮大な音楽演奏

 東北方面隊創設50周年記念行事は観閲行進に先立ち音楽演奏が展開されます。

Simg_9977 音楽演奏、と聞いていたのですが前進してきたのは第9戦車大隊の74式戦車、第二世代戦車の極致を示す国産戦車は古くとも堂々の威容を示し、音楽演奏ではあるのですが105mm戦車砲は飾りではないことを示すように空包射撃実施へ赤旗が掲げられています。

Simg_9978 第9戦車大隊の74式戦車は一両や二両ではなく続々と前進してきました、東北地方での音楽演奏は戦車が参加するようです。そして演奏されるのは七彩の奥羽国、東北方面隊創設50周年を記念し作曲された新曲堂々の披露となりました。

Simg_8485 東北方面音楽隊、第6音楽隊、第9音楽隊の合同演奏は、音楽隊だけではなく戦車などの支援を以て実施されます。これは作曲家の田中賢氏により作成された記念曲で、演奏には音楽隊の楽器に太鼓とともに防衛装備品が演奏に参加する、というもの。

Simg_9988 96式装輪装甲車も12.7mm重機関銃に空包を装填し入場してきました。戦車と装甲車、機械化部隊が参加する音楽演奏というのは中々ありません。音楽演奏に105mm砲が参加することは知っており、これがFH-70になったりすることは知っているのですが、此処までは。

Simg_0032 七彩の奥羽国、第1章愛と慈しみの讃歌、空気を切り裂く衝撃音が大気を叩く、第9特科連隊のFH-70榴弾砲が空包射撃を展開します。1個中隊は展開しているもよう。ところで、観閲台から距離があるので音楽演奏はスピーカーを通じて聞こえてくる呑み、その分だけに火砲の空包射撃が迫力と共によく響く。

Simg_9990 重機関銃と共にエンジン音を響かせるのが装甲車や戦車です。12.7mm重機関銃は設計こそ古いですが完成しきった装備で今なお車載装備として不可欠なもの、ですが、これからは音楽演奏にも不可欠なものに、なるのでしょうかね。

Simg_0017 引っ叩かれるような衝撃音が地面を瞬時に這ってこちらへ、L-7型105mm戦車砲、74式戦車から空包の衝撃が解き放たれました。155mm榴弾砲は音が上面へ抜けますが、戦車砲は口径が小さくともその音が地面に沿って文字通り音速でこちらにやってきますので、大きく感じる。

Simg_0043 七彩の奥羽国第2章祭り、太鼓の地均しのように響く様子は火砲と重機関銃が再現し、重機関銃が射撃を行う最中に榴弾砲が装填され次の発砲の瞬間を待つ、それにしても背景が木立で偽装されたFH-70榴弾砲が並ぶこの様子が音楽演奏だとは。

Simg_9996 戦車の発砲焔、音楽演奏で撮影することになったのは新鮮と言いますか、それを通り越すといいますか。戦車小隊が次々と発砲するのですが、どの戦車が射撃するのかがなかなかつかめなかった。東北方面隊というよりも記念行事を行う広大な霞目飛行場故の展開、というべきか。

Simg_0044 
 七彩の奥羽国第3章戦いと平和、音楽演奏にUH-1多用途ヘリコプターが加わりました、東北方面航空隊の所属航空機、半年後の東日本大震災ではここを拠点として飛行した災害派遣第一陣の航空機、宮城県知事も自衛官時代にUH-1にてここから離陸していました。

Simg_00470 編隊で機械化部隊の上空を飛行するヘリコプター、ヘリコプター配置によって聞こえてくるエンジン音が全く違ってきます、他の装備品もそうですがヘリコプターも曲へ飛行経路にドップラー効果も排気口の向きも計算されて作曲されているとのこと。

Simg_8500 74式戦車とともに背景に並ぶのはMLRS,方面特科部隊が投射する全般火力支援書き、従来の面制圧火器からロケット弾の更新で長距離精密打撃力へと転身した装備、もっともさすがにMLRSはこの音楽演奏に参加していません。

Simg_0050 七彩の奥羽国、下手な模擬戦よりも参加部隊が多いのですが、背景には観閲行進へ待機する部隊が並んでいます。音楽演奏でこの迫力、方面隊行事で一番派手なのは市街パレードの西部方面隊か広大な会場の東北方面隊か、と比べられますが、なるほどなるほど。

Simg_0053 こうしてUH-1の飛行と共に演奏は終幕しました。屋内演奏には戦車や火砲とヘリコプターは参加できません、屋外でこそその迫力が活きる、いや、射きるというような内容の演奏でした。さすが50周年記念、前回2006年に足を運んだ時とは違う。

Simg_8530 演奏を終えて74式戦車が後退してゆきます、背景にはUH-1多用途ヘリコプター、音楽演奏に参加した機体とこの後祝賀飛行に参加する機体、それとは別の機体、会場が広いと待機する部隊も多い、戦車とヘリコプターが並ぶと第一線の野戦飛行場のような趣き。

Simg_8487 こののち祝賀飛行に参加する機体は霞目飛行場と飛行場地区が記念式典会場となることから東北方面総監部の置かれている仙台駐屯地から続々と離陸し、仙台市上空で編隊を組みつつ空中待機しています。点々と編隊が並ぶ様子が見えるでしょうか。

Simg_8479 音楽演奏に参加した音楽隊、高機動車にはスピーカーを搭載して音楽隊の演奏が戦車砲や榴弾砲に負ける事と無いよう音楽を増幅して会場に轟かせます。音楽隊の規模はかなりのものなのですが、重装備の迫力と負けないように頑張っているという印象です。

Simg_8535 後退してゆく74式戦車、東北方面隊隷下には二個師団、そのもとに師団戦車大隊があります。第9戦車大隊は冷戦時代に青函地区という戦略上の要衝を守るべく中隊数を北部方面隊と同程度としていたことで知られます。

Simg_8357 射撃態勢を解除したFH-70榴弾砲、背景には88式地対艦誘導弾が並んでいます。観閲行進では広大な霞目飛行場の外縁道路に並んだ車両が全てこの記念式典会場を進んでゆく、勿論観閲行進の他にも行事が多数予定されています、これは単なる始まり。

Simg_8523 音楽演奏の支援車両が撤収を開始しました、大きな箱状のものがスピーカです、高機動車には音楽隊員も乗車している模様、戦車や装甲車の迫力が目立ちましたが、音楽隊と支援車両の車列、演奏だけでもこれだけの部隊が参加していたのですね。

Simg_8540 観閲行進はいよいよ開始されます、音楽演奏の迫力も凄かったのですが東北方面隊の観閲行進は陸上自衛隊行意の中でも有数の車両が参加する大規模なもの、まず砂塵を防ぐべく除染車が散水しつつ前進してゆきます。観閲行進の様子は次回にお伝えしましょう。

北大路機関:はるな

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