◆日本海を往く舞鶴展示訓練観閲式
舞鶴基地を出港し、西舞鶴やその他の港より参加した部隊の陣形が整いました。いよいよ観閲式です。
舞鶴地方総監の乗艦したミサイル護衛艦あたご、を中心に三隻の観閲部隊がこちらへと徐々に近づいてきます。護衛艦三隻、イージス艦を中心に汎用護衛艦が挟みます。前回の舞鶴展示訓練ではヘリコプター搭載護衛艦はるな艦上からの情景が、今回はイージス艦ちょうかい艦上からみることとなりました。
はまゆき、護衛艦はまゆき、が観閲部隊の先頭を往きます。はつゆき型護衛艦5番艦として就役、第二護衛隊群や第三護衛隊群を経て舞鶴地方隊、護衛艦隊を経て南方から日本海と任務の場を駆け抜け、惜しまれながら2012年3月14日に除籍されました一隻です。
三隻の観閲部隊、展示訓練を初めて撮影したのは2005年の伊勢湾展示訓練、北大路機関がWeblog北大路機関へと転換する前の話ですが、もっと多くの観閲部隊、伊勢湾に並んでいました。ただ、東日本大震災の年ながら、こうした観閲式を迎えられたのは日本の底力というか、絆、というか、考えさせられたのですが。
護衛艦はまゆき、1983年就役、基準排水量2950t、満載排水量4200t、全長130m、全幅13.6m、速力30ノットを発揮し乗員は210名、ハープーン艦対艦ミサイル、アスロック対潜ロケット、シースパロー艦対空ミサイルを搭載し、ガスタービン推進方式を採用、哨戒ヘリコプター一機を搭載しています。
対水上対潜対空の各種兵装に均衡を求めヘリコプターを搭載する汎用護衛艦、護衛艦隊の新しい主力としてこの護衛艦はつゆき型は12隻が量産され、量産型外洋艦として護衛艦隊の能力を大きく充実、従来のヘリコプター搭載護衛艦二隻に集中するヘリコプター部隊をヘリコプター搭載護衛艦一隻とミサイル護衛艦二隻に汎用護衛艦五隻を以て編成する護衛隊群へと近代化を果たした功労艦と言えるでしょう。
ミサイル護衛艦あたご、イージスシステムを搭載する艦隊防空艦あたご型の一番艦として2007年に就役しました。イージスシステムとともにヘリコプター運用能力を有し、汎用性を高めたイージス艦です。艦長は大野敏弘1佐、ステルス性を考慮した傾斜マストがスマートな印象を与える。
イージス艦あたご、といいますとハワイ派遣訓練から帰国途上の2008年2月19日に漁船との衝突事案を起こしたことで知られます、ただ、当時のテレビや新聞は海上自衛隊側の非を一方的に報じ、2011年5月の刑事裁判では漁船側に回避義務があるとの地裁判決が下され、過熱報道とともに報道に無責任を感じさせることがあった事例を思い出しました。
舞鶴地方総監佐々木孝宣海将が受閲部隊を観閲しています。近年、運用担当官と訓練担当官に海上自衛隊組織が改編され、運用担当官である地方隊からは多くの部隊が自衛艦隊へ編入されましたが、管区における警備及び災害派遣の重責を担っております。
あたご、は基準排水量7700t、満載排水量は10000tで、海上自衛隊の護衛艦として初めて満載排水量で10000tを越えた護衛艦です。イージス艦として艦隊防空に当たってきましたが、こんごう型に続き、あたご型にも弾道ミサイル防衛任務が付与されることとなり、対応改修が行われるようです。
護衛艦あまぎり、1989年に就役した護衛艦あさぎり型の四番艦で、長く横須賀を母港としていましたが2002年に舞鶴基地へと転籍しました。あさぎり型は、はつゆき型に続く汎用護衛艦で、防御能力強化へ、はつゆき型後期艦が上部構造物をアルミ合金から鋼製としたところ復元性に影響が出たため、大型化し、航空機格納庫の容積を始め余裕をもたせた設計です。
あさぎり型は基準排水量3500t、満載排水量5900t、8隻が建造され、護衛艦隊が必要としていた汎用護衛艦20隻を、はつゆき型12隻あさぎり型8隻を以て充足することが出来ました。こういうことから考えますと、海上自衛隊護衛艦史において本型8隻の整備はかなり重要な意味を持っているといえるでしょう。
観閲式を終えて遠ざかる三隻を撮影します。はつゆき型は12隻を1977年度予算から1982年度予算までの6年間で建造、あさぎり型は8隻を1983年度予算から1986年度予算までの4年間で建造しました、かなりの早い建造度合でしたが、一斉に耐用年数へ近づいていることも確か。
あたご型、あたご、現在就役している海上自衛隊のイージス艦では最新型に当たり、現在の中期防衛力整備計画にミサイル護衛艦はたかぜ型2隻をイージス艦で置き換える計画でしたが、財政難により見送られ、延命改修を受けました、当面はターターシステム搭載艦とイージス艦が共存することとなるのでしょう。
エンジン音と喇叭の響きが聞こえるほどの距離にて、観閲式を終えて艦隊は一斉に転舵します、今に始まったことではないのですが、実任務の増大と共に観閲部隊が三隻、というのは少々さびしい印象を受けるのは当方だけでしょうか、観閲式、その後は一斉回頭とともに訓練展示へと舞鶴展示訓練は進みますが、その様子は次回に紹介することとしましょう、舞鶴展示訓練はいよいよ展示訓練へと進みます。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)