北大路機関

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舞鶴地方隊舞鶴展示訓練2011詳報③ 海上自衛隊展示訓練実施部隊、日本海へ出る

2013-02-04 22:26:34 | 海上自衛隊 催事

◆ちょうかい前方に日本海の水平線が広がる

 イージス艦ちょうかい、は舞鶴基地を出港し、展示訓練部隊は西舞鶴からの参加部隊とともに狭水道を日本海へと進みました。

Mimg_6550 狭水道を日本海へ進みますが、操艦技量を高めた海上自衛隊でもどうしても狭水道での前進は時間を要します、漁船やプレジャーボートも航行している海域を抜けるわけです。展示訓練は観閲式に伴う艦隊行動と展示訓練を伴うため広い海、少なくとも若狭湾まで展開しなければ実施することはできません。

Mimg_6953 この若狭湾へ抜けるまでの狭水道は、かつて日ロ共同救難訓練を行った際にロシア艦で座礁事故があった、とその昔地元のIさんから教えてもらいました。かつて韓国練習艦隊の親善訓練に備えての出港でも韓国艦が物凄い長時間をかけて水先案内船と曳船の支援下に出港していったのも思い出すところ。

Mimg_6954 ただ、聞くところではロシアの駆逐艦や巡洋艦はかなり順調に舞鶴へ入港するとも聞きます、韓国海軍はここ15年でようやく外洋航行可能な艦が増えてきましたがまだまだ装備的には沿岸海軍から近海海軍へ脱皮を図っているところ、対してロシア海軍は船に慣れ親しみ帝政時代からの外洋海軍なのだなあ、とその話を聞いたときに思い出しました。

Mimg_6430 いろいろと展示訓練に関係ないことを書いてきていますが、展示訓練実施海域まで四時間近く移動に次ぐ移動です、四時間、各艦艇の艦長さん艇長さんの無線の挨拶や訓示などでも行われれば、と思うのですが、まあ、何もありません、出航と狭水道の航行は一番神経使うところですからね。

Mimg_6567 そんなに時間があるならばトランプでも百人一首でも花札でもやればいいではないか、と思われるかもしれませんが、風が吹いているので無理です。人生ゲームを持ち込んでもお札が飛んでしまいますし、頑張ってビリヤード台を持ち込んでも艦が動揺するので競技はは成り立ちません、いや手荷物検査でビリヤード台は持ち込めないけれども。

Mimg_6575 何の関係もないですが、縁日の出店でお馴染みのスマートボールはかつての北大西洋旅客航路などでビリヤードが航行中の船舶で使うことが出来ないので傾斜付の台でビリヤードを出来るよう工夫して生まれたものだそうです。ビリヤードと違い玉が飛ばされてから動きを止めるまでの時間が限られており、遊戯が成り立つのですね。

Mimg_6959 スマートボールに対して、似ているという印象のパチンコはその昔に紳士淑女の夜会で待合室に時間潰し用として壁に埋め込まれていた遊戯具の発展型だそうで。まあ、ますます展示訓練とは話がずれてゆくけれども、水平線上の艦艇がポツンポツンと集まっていって、これが次第に増えてゆく。

Mimg_6961 多用途支援艦に掃海艇にミサイル艇に輸送艦、気づけばかなりの艦艇が集まってきます。海上自衛隊というと印象としては護衛艦が大きいのかもしれませんが、その他の艦艇を整備しなければ制海権維持という海上自衛隊の任務は達成できない、ということ。

Mimg_6956 ・・・、そして、なんか居た。環礁に据え付けられた竹槍、沈没船のマスト、いえいえ、両方とも違う、これが潜水艦です、潜望鏡で我々を見ています、そして一番長い部分はその先端にレーダーアンテナが取り付けられています。海軍装備体系でもっとも厄介な、それは居場所が分からない脅威で、潜水艦と機雷、その片方のお出まし。

Mimg_6969 水中処分母船、今回の展示訓練参加部隊に水中処分母船はありませんでしたので、こちらは警戒艦艇、展示訓練実施海域へ民間船舶などが闖入しないよう警戒に当たっていますが、本来は機雷処分を行う海上自衛隊のダイバー部隊である水中処分隊員の母船という船です。注意を払っていると、水平線上にこうした縁の下の力持ちを見かけることもある。

Mimg_6968 乗艦しているイージス艦ちょうかい、は満載排水量9500tの大きさで10万馬力エンジンと共に日本海を進んでいます、進んでいるという事は単に移動するだけではなく艦隊行動を組むための行動の一環なのですけれども、機雷を処分する掃海艇に俊足を以て一撃離脱を図るミサイル艇に海岸への仕上げて部隊を輸送する輸送艦、みな航行のテンポや機動特性が違います。

Mimg_6580 遠くの方には海上自衛隊の艦艇に加えて海上保安庁の巡視船も見えてきました、白いのが巡視船です。こうした速力や加速性や舵の利き具合が違う艦艇を統一の艦隊行動下におく、というのも一つの技量でして、艦隊行動は海上自衛隊が旧帝国海軍の時代以来重視しているものの一つ。

Mimg_6988_2 水平線上に我が方の単縦陣とは異なる、それも水上戦闘艦を中心とした一群が薄っすらと、ほんのうっすらと見えてきました、いよいよ観閲式へ、舞鶴地方総監以下の観閲部隊がこちらへと日本海を進んでくるという情景です。はっきりと見えてくるのですが、ちょうかい、の高い上甲板からですので距離は15km以上、というところになるのでしょうか。

Mimg_6976 受閲部隊は洋上において集合したのち、機関出力を前進へと転換します、展示訓練海域は広い若狭湾へ出ましたが、実施海域は漁業などとの兼ね合いで広くはありません、より外海に出れば広いのですがそうするとその日のうちに帰れなくなります、速力を出せないなかですが徐々に陣形を組み、いよいよ舞鶴展示訓練観閲式へ、イージス艦ちょうかい、は進んでゆきます。

北大路機関:はるな

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