生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

なぜ、ヒトだけの脳細胞や脳神経が異常発達したのか

2023年07月31日 07時32分11秒 | その場考学のすすめ
その場考学のすすめ(22)  KME904          
 定年退職後の10年間は、どっぷりとメタエンジニアリングに嵌まってしまった。その結果、最近のその場考学では、「その場でメタエンジニアリング思考」が習慣となってしまった。そのいくつかを紹介してゆこうと思う。

題名;なぜ、ヒトだけの脳細胞や脳神経が異常発達したのか

 
 ダーウインの進化論は、一般の生物には当てはなるようだが、人類の進化についてはミッシングリングを含めて、うまく説明がつかない。また、宗教上の理由などから、全く否定する人も多数存在する。 そこで、いくつかの文献を調べた結果、思わぬ結論に達してしまったので、その経過と結果を示す。

 前回(21)では、以下のように結論づけた。
 『・人類(ヒト)は、10~20万年前に生物として二つの独特な進化(脳の拡大、10本の手の指を独立して動かす)をとげ、以降は身体の進化を次々に外部化することに成功した。
 それは、文化(狩猟、農耕以降のあらゆる技術などを含む)であり、すべての文化はイノベーションによって維持・発展され続けている。
・しかし、すべての機能の外部化は、生物としての身体の諸機能を低下する傾向にある。
・ヒトによる創造は、エンジニアリングにより発現した人類の生物としての生存能力の進化形態のひとつであり、霊長類の中でも特異なものである。
・人類はエンジニアリングという能力を身につけたために、その創造物によって、疑似進化をすることが可能になった。
・創造物による疑似進化の例;眼の進化、声の進化、消化器官の進化、足の進化など。
・疑似進化は、ダーウインの進化論に比べて、進化のスピードが驚異的に早い。』

 しかし、これだけでは、「なぜ、ヒトだけの脳細胞や脳神経が異常発達したのか」という根本的な原因の説明にならない。そこで登場したのは、「古代ゲノム学」だ。
 ゲノム解析は、例えばヒトゲノムは30億個の配列で決められており、21世紀初頭には4000万ドルかかったが、現在のコストは、その約4万分の1になっているといわれている。さらに、ネアンデルタール人のDNAまで解読が可能になった。

それらと他の霊長類のDNA解析結果から、面白いことが分かってきたという。(日経新聞2023.7.2)
それは「脱字」と呼ばれている。通常の動物にあるDNAのうち、約1万個がなくなっていることが分かった。それらのDNAの役割を解析してゆくと、そのうちの800個は、ある働きに対して、ブレーキを弱めるもの、アクセルを強めるもので、しかも神経細胞の遺伝に関するものだった。

 この結果、霊長類の中で、ヒトだけが神経細胞を異常発達させてしてしまった。つまり、ヒトの遺伝子は脳と身体がアンバランスになってしまったことによって、世にも不思議な生物として進化し続けている、という結論になる。                その場考学半老人 妄言


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