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B級会社員のOFF日記(現在無職です)

尻毛助左衛門と尻毛又丸の珍道中の日記を公開しています。

定年サラリーマンのOFF日記もあります。

紳士・淑女の昔物語・・・蕪(かぶ)の女(その4)

2016-07-08 21:20:20 | 紳士・淑女の昔物語

紳士・淑女の昔物語・・・蕪の女(その4)

 

拙者思う・・・

単なる男の過去の性の衝動を大声で喋る、軽薄な今昔物語はこれだけで十分面白い。

若い時この話を単なる面白い話と思っていた。

 

しかし、中年になり、今昔物語の註釈本を読むと、この話は親子の縁の不思議さを語っている。

 

この男、蕪の女、そして男の子。

 

この男の子・・・この子は大きくなって信じられない異能により、世界を支配する。

どんな世界であるかは、古今物語は、何も教えていない。

 

しかし、世界中のあちらこちらで、似たような話が存在している。

この男の子は神、神仙、宗教者、国王など聖なる存在になる話。

 

聖なる存在になった立場から父と母を物語るのである。

 

解説は時により、話を面白くもするが、面白味を半減させてしまう。

 

拙者の場合、この話に限り、「最近は」解説なしで読んだ方が面白いと思う。

 

下手な解説をして皆さんの面白味は如何なりましたか。

今昔物語も奥が深のです。


紳士・淑女の昔物語・・・蕪(かぶ)の女(その3)

2016-07-07 20:26:22 | 紳士・淑女の昔物語

紳士・淑女の昔物語・・・蕪の女(その3)

 

垣から母は飛び出し、

「なんとおっしゃいました。そこのお方」

男は蕪を盗んだことを咎められると思い、

「冗談ですよ。」

と言い、逃げようとする。母は

「とても大事なことがあります。どうぞ正直におっしゃてください。」

男は観念して

「隠すことではありませんが、こうこうのことがありました。だから、話のついでに自分から言い出したのです。」

母は涙を流して、家のなかに男を連れて行く。

家に着くと母は、

「実はこうこうのことがありまして、その子をあなたと見比べてみたいのです。」

この男に瓜二つである。

男はしみじみと感じるところがあって

「こうした因縁もあるのですね」

と言う。

母は

「どのようにするのもあなた次第です。」

と言ってこの子の母を呼び出す。

身分の高からぬ人とはいえ、なかなか美しい女性であった。

男は思った。

「京へ行ったとしても、父母はいない。これといった親戚もなし。

これほどの宿世もあることゆえ、この人を妻としてここにとどまろう。」

 

おとこはそのままこの家に住みつき、ながくそのまま住みついたという。

 

(完)

 

 

 

 


紳士・淑女の昔物語・・・蕪(かぶ)の女(その2)

2016-07-06 21:59:06 | 紳士・淑女の昔物語

紳士・淑女の昔物語・・・蕪の子(その2)

 

その後は、この少女はなんとなく気分が悪くなり両親は心配した。

月日は経過して、少女は妊娠しているのであった。

両親は仰天して

「おまえは一体何をしたのだ」

と、詰問するが、少女は

「わたしは男の人に寄ることさえしていません」

「ただ不思議に思うことは、あの時蕪を食べてから気分が悪くなりました。」

と言うが、両親はさっぱり訳がわからない。

その家の従者は

「お嬢様が男の傍らに寄るなんてありませんでしたよ。」

と口を揃える。

月日は過ぎて、とても可愛い男の子を無事に生んだ。

両親は娘とその子を養っていた。。

 

数年後、例の男はここを通ることになった。

季節はあの時と同じ10月。

娘の両親はかつての日のように、青葉を引こうと従者たちと畑に出ていた。

あの男、伴の男と声高に話をする。

「数年前、東国へ下った時、ここを通りかかったが、どうしようもなくて、

大きな蕪を引き抜いて穴をあけ、それに思いを遂げたことがありましたよ。よく覚えていますよ。

そして、私は蕪を垣の中に投げ入れましたよ」

垣のなかでは娘の母が男の言葉をはっきり聞き取った。

 

(次回へ続く)


紳士・淑女の昔物語・・・蕪(かぶ)の子(その1)

2016-07-05 22:10:29 | 紳士・淑女の昔物語

紳士・・淑女の昔物語・・・蕪の子(その1)

 

今は昔。東国へ下る若者がいた。

ある村に通りかかった時、急に激しい性欲がおこった。

気を静めるため、どうしたらよいかと悩んでいると、

道のそばの垣根のうちに、青葉と言う植物があった。

その植物の蕪は大きく育っていた。

見るなり男は馬から下り、それに穴をあけ、その穴に交接した。

用を済ますと男は垣の内に蕪を投げ入れ立ち去った。

 

そのあと畑の持ち主は大勢の下女を連れて、幼い女の子を伴い、青葉を引きにやって来た。

なかにまだ14歳くらいの、まだ男に触れたことのない少女がいた。

「穴のあいた蕪があるよ。なんだろうね。」

と言って暫くおもちゃにしていたが、萎びたののを食べてしまった。

 

(次回へ続く)


紳士・淑女の昔物語・・・逃げた女に未練は(その3)

2016-07-02 20:19:35 | 紳士・淑女の昔物語

紳士・淑女の昔物語・・・逃げた女に未練は(その3)

 

七日ほど、治療を続けると、ずいぶん良くなった。

老医師は「暫くこのままにしておこう。どこの誰かと聞いてから返そう。」と思い、

患部を冷やすことをやめ、日に五,六度薬を塗るだけの治療に変更した。

 (女) 「恥ずかしい所をお見せしました。」

        「私が帰る時は、私の名前も、ところもすべて申し上げます。」

    「また今後は、いつもここに、お伺いしとうございます。」

この言葉を聞いて老医師はまだ四、五日はここにいるだろうと思った。

そう思って油断している間に、女は逃げて行ってしまった。

そうとも知らず、

(老医師) 「夕食を差し上げましょう」

と、お膳を自ら持って入ると、誰もいない。

ただ寝巻にしていた薄い綿入れだけがない。

「あの女はいなくなってしまった。綿入れだけを着て逃げてしまった。」

門を閉ざして、屋敷中探しても、どこにもいない。

「最上の女を手に入れたと思ったのに、逃げられた。」

うまく謀られて逃がしてしまったことが、悔しくてたまらない。

世間の人も伝え聞いて、笑ったり、からかったりしていたそうだ。

 

(完)

 

(拙者曰く) 一度でも、少し良い夢を見たことを良しとすべきです。しかし、・・・