例の夜深く出でたまふ(その1)
この文章は源氏物語の須磨の巻にある文です。
光源氏は都落ちすることになり、紫の上との別れの時を迎えます。
原文では以下の通りになっています。
「その日は女君に御物語のどかに聞こえ暮らしたまひて、例の夜ふかく出でたまふ 」
下線の訳、解釈が分かりません
拙者は調べる、以下の2通りの解釈に分かれました。
① 夜遅く・・・瀬戸内寂聴、円地文子、谷崎潤一郎
・瀬戸内 「旅立ちの習慣として、夜も深く更けてから」
・円地 「旅立ちの習いで、夜深く」
・谷崎 「例の夜深く」・・・・原文と同じ・・・・解釈を避けている?
② 夜明けまえ・・・与謝野晶子、橋本治
・与謝野 「例のとおりに早暁に」
・橋本 「旅立ちの時は、すべての人がそうするように、夜明け前」
疑問がまた起こりました。
光源氏はどういうルートで京から須磨へ行ったのだろうか?
(光源氏自身フィクションの主人公であるが、モデルは存在するのである。)
(次回へ続く)