B級会社員のOFF日記(現在無職です)

尻毛助左衛門と尻毛又丸の珍道中の日記を公開しています。

定年サラリーマンのOFF日記もあります。

熱海の保養所(十七、又丸殿の涙の訳は)

2014-09-30 21:07:48 | 熱海の保養所

助左衛門は心配であった。

一泊二日二食付・・・・五〇〇〇円 (組合員以外は七〇〇〇円)

この料金は三流の宿泊施設

 

しかし、それはうれしい誤算であった。

女性陣四名と幼児には広い部屋が6階に用意されていた。

助左衛門と又丸殿は同室。部屋から熱海の海が臨まれ、初島へ行くへフェリーが小さく見える

さらにうれしいことは眼下に、新幹線、東海道本線、伊東線があり、様々な列車が次次に走っていく

高層ビルから列車を俯瞰するには低くても駄目、高くてもダメであり、5階から8階程度が良い。

(又丸殿) 「年下の又丸は窓の近くに床を用意します。助左衛門殿は中央の良い処へどうぞ」

(助左衛門) 「電車を心行くまで見たいだけ、ではありませんか?」

(又丸殿) 「明日は初島ですか?」

(助左衛門)「話を逸らせるのが、ウマイですね。明日は箱根です」

その時である。館内放送があり、2階で夕食の用意ができたという

 

尻毛家8名は家族ごとに用意されたテーブルに座り、料理を待つ。

すると料理長が現れた。まさか料理長がご挨拶をされるとは、思わなかった。

 

(料理長)「本日はありがとうございます。料理長の熱海でございます。海の幸、山の幸のフルコースを用意いたしましたが、

      お気づきの点がありましたら、係りの者へ何なりと申しつけください。失礼いたしました。」

幼児2名以外は緊張して、会釈した。

本日は全12品のフルコースとは計算外であった。

 

食前酒、前菜等と料理が進むと、急に又丸殿は泣き出した。

 

(千手)「又丸殿。どうなされたのですか?」

(又丸殿)「・・・・・・家族がそろい、みんなで美味しい料理を食べることができ、うれしくて、うれしくて、つい・・・・・・」

 

(次回へ続く)  この後どんな展開になるのでしょうか

 

 

 


熱海の保養所(十六、又丸殿の「いいなあ」とは)

2014-09-29 22:14:56 | 熱海の保養所

おなかが満たされれば、温泉で元に戻そう!

湯河原温泉は目と鼻の先

 

助左衛門の入浴のポイントは・・・・・・

①昼下がりの一番湯

②鄙びた旅館 

③立ち寄り入浴可能な湯

 

「源泉 上野屋」は創業300余年、水戸光圀公も湯治にきたという湯河原最古の湯・・・・すべての条件を満たしあまりある。

国の有形文化財指定の建物は風格のある佇まい

森 まゆみは「円朝ざんまい」という著作の取材旅行で宿泊しました。

作中にはこの上野屋が登場する。

 

助左衛門は旅行の前にこの本を図書館で借りてきて、確かめた。

文人墨客ではない尻毛家8人衆の突然の訪問は上野屋さんに少し、迷惑であったかもしれない。

 

・・・・・・・・女性陣6名は離れの女湯に行く

    (松枝)「おばあちゃんの皺は長年苦労された証しですね」

    (お汲)「松枝はまだまだ若いねえ」

    (松枝)「二人の娘にはかないません」

    (千手)「今秋結婚する横笛にはかないません」

    (横笛)「3歳の安寿にはかないません」

    (お汲)「一番歳より若く見えるのは又丸、何も取柄はないが誰よりも健康ですよ」

    一同うなずきながら、笑う・・・・・・・・・・

 

一方男湯では、又丸殿はよそ行き手拭いを薄くなった頭に乗せ、気持ち良さげである。

    (助左衛門)「又丸殿、20年くらい前に千手、横笛と3人でお風呂に入ったことがありました。」

    (又丸)「えー、嘘ー。いいなあ」

    (助左衛門)「大昔のお話ですよ」

    (又丸)「いいなあ」

    (助左衛門)「大変でしたよ」

    (又丸)「いいなあ」

    (助左衛門)「又丸殿はほかのことを考えていませんか?」

    (又丸)「いえいえ決して・・・・・・・・いいなあ」

 

 (次回へ続く)    次回はレンタカーは保養所へ着く

 


熱海の保養所(十五、千手のお話があります)

2014-09-28 22:46:22 | 熱海の保養所

 麦とろ童子という店は相模湾を見下ろしながら食事できる。地場産自然薯を使った創作料理の好評と聞く。

午後2時を少し過ぎていたため、待たされることもなく、8人の席が用意される。

人気の釜揚げしらすとろろ丼(1890円)を注文した。

蟹汁もついている。

普段見ることのない蟹に皆、特に又丸殿は苦戦していた。

 

(又丸殿)「蟹の奴らは殻という城に籠城してる。なかなか攻略は難しい」

(お汲)「汁がまた美味いですね。汁から食べると良いですよ」

(又丸殿)「母上、それは妙案です! 汁から片づけたら、完璧~」

(店 主)「蟹はこうすれば、割と簡単に食べることができますよ」

みんなは店主の技に関心すること頻りであった。

女性陣は自然薯に舌つつみを打っていた。

 

 ・・・・・・・・・安寿は3歳そして厨子王は1歳。

       あちらこちらのお客様に愛嬌をふるまっている。

       その母千手はまだ20代半ば。

       M県の進学校を卒業し、国立K大学に入学し、学生結婚をされた。

       千手という名前のように、あちらこちらに気を配るお母さんになった。

       しかし、忘れ物を時々される。

       以前こんな忘れ物があったことがある。

          ①岐阜から東京へ帰るとき、鍵を忘れ、アパートに入れず、大家さんの鍵で入ることができた。

          ②お土産を買ったのに、家に忘れてしまう。

大変だったのは品川駅で千手が少し目を離した時、長女安寿が、一時行方不明になってしまったことには、助左衛門も驚いた。・・・・・・・

 

(次回へ続く) 

 


熱海の保養所(十四、横笛は機転のよい才媛)

2014-09-27 16:18:06 | 熱海の保養所

助左衛門は心配していた

総勢8名の大旅行である

レンタカーの営業所は熱海駅前にあった。

松枝様に連絡すると5分も経たずに横笛さんが運転する8人乗りのノアがレンタカー会社の配送センターからやってきた。

8人の中では1番運転の得意なのは横笛さんである。

彼女はモダン・バレーの経験があり、細身の女性で、機転の利く御嬢さん。

 

・・・・・・・数年前、このメンバーで回転すしを食べにいきました。助左衛門がみんなに「好きな寿司を食べてください」と促すと、

    数分後又丸殿は他のお客様が個別に注文していた、高い寿司を食べてしまいました。

    (助左衛門) 「又丸殿! それは他のお客様が注文したお寿司!」

       (又丸殿)  「好きなお寿司を食べてくださいと言いましたよね。食べたらいけないのですか?」

    私はどうしようと考えていると

    横笛さんはすぐにレジに連絡し、相手方に詫びをいれ、何もなかったように食事は進みました。

    助左衛門はこの時、横笛さんの機転の良さに感銘を覚えました。・・・・・・・・

 

M県の進学校で勉強され、国立のK大学に姉に続いて入学されました。

同大学の大学院を1年で卒業され、学部長賞を授与されました。

就職され現在は東京在住である。

助左衛門や又丸殿とは桁はずれの才媛である。

近寄りがたい気品を感じる時もあります。

横笛さんの推薦のお店 「自然薯処 麦とろ童子」で昼食をするため、レンタカーは湯河原を目指した。

 

(次回へ続く)   次回は千手さんを紹介します。乞うご期待。

 

 

 

 

 


熱海の保養所(十三、首に巻いていた手拭いを)

2014-09-25 21:14:18 | 熱海の保養所

沼津12時21分発の普通電車熱海行きは130%前後の乗車率

乗客はほとんど途中駅で下車せず、熱海まで乗車する。車内は華やいだ雰囲気である。

又丸殿はトイレを済ませ、すっきり顔である。また車窓の景色をご覧になっている。

すると、ゴーンという大きな音が、丹那トンネルに入ったことを知らせる。

 

・・・・・・・・丹那トンネルは熱海と函南との間のトンネルで、工事着工から16年かかり、昭和9年完成した。

      長さ7841メートル。当時は世界最長である。・・・・・・・・・・・

 

長いトンネルを出ると、明るい海が広がり、車内放送は終点熱海であることを告げる。

時刻通り12時41分熱海へ着いた。

(助左衛門)「お汲おばあちゃんは、少しお疲れである。頼みますよ。最後に降りましょう」

(又丸殿) 「おいらは全然疲れてはいませんよ。ますます元気になりました。しかし、母上は口だけは達者ですが、・・・」

(お 汲)「なになに、口だけは達者と言いましたね。足も達者ですぞ」

(又丸殿)「どうして耳の遠いのに、わかるのですか」

(お 汲)「私は50年又丸を育ててきた。何から何まですべて又丸のことはわかります」

(又丸殿)「母上は怖い怖い」

助左衛門は二人がいつもの二人になっていることに、ホットして駅の改札口へゆっくり向った。

 

熱海は山が海にすぐに近づいているため、坂道が多い街である。

助左衛門は東京から来ている松枝の家族と合流するために、予約してあるレンタカー会社を探した。

振り返ると又丸殿が首に巻いていた手拭いを外して、お汲おばあちゃんに手拭いの端を渡して、牽いている

さすがに、直接手を握るのは恥ずかしいのであろう。お汲おばあちゃんは手拭いの端をしっかり握っている。

又丸殿の優しい光景である。

 

レンタカー会社にはもう東京組みが来ていた。東京組は5名。松枝を筆頭に長女千手、次女横笛。

千手の長女安寿姫、長男厨子王は今回初登場である。

 

(次回へ続く)