助左衛門は心配であった。
一泊二日二食付・・・・五〇〇〇円 (組合員以外は七〇〇〇円)
この料金は三流の宿泊施設
しかし、それはうれしい誤算であった。
女性陣四名と幼児には広い部屋が6階に用意されていた。
助左衛門と又丸殿は同室。部屋から熱海の海が臨まれ、初島へ行くへフェリーが小さく見える
さらにうれしいことは眼下に、新幹線、東海道本線、伊東線があり、様々な列車が次次に走っていく
高層ビルから列車を俯瞰するには低くても駄目、高くてもダメであり、5階から8階程度が良い。
(又丸殿) 「年下の又丸は窓の近くに床を用意します。助左衛門殿は中央の良い処へどうぞ」
(助左衛門) 「電車を心行くまで見たいだけ、ではありませんか?」
(又丸殿) 「明日は初島ですか?」
(助左衛門)「話を逸らせるのが、ウマイですね。明日は箱根です」
その時である。館内放送があり、2階で夕食の用意ができたという
尻毛家8名は家族ごとに用意されたテーブルに座り、料理を待つ。
すると料理長が現れた。まさか料理長がご挨拶をされるとは、思わなかった。
(料理長)「本日はありがとうございます。料理長の熱海でございます。海の幸、山の幸のフルコースを用意いたしましたが、
お気づきの点がありましたら、係りの者へ何なりと申しつけください。失礼いたしました。」
幼児2名以外は緊張して、会釈した。
本日は全12品のフルコースとは計算外であった。
食前酒、前菜等と料理が進むと、急に又丸殿は泣き出した。
(千手)「又丸殿。どうなされたのですか?」
(又丸殿)「・・・・・・家族がそろい、みんなで美味しい料理を食べることができ、うれしくて、うれしくて、つい・・・・・・」
(次回へ続く) この後どんな展開になるのでしょうか