平成29年12月10日
又丸は助左衛門とウォーキングに出かけた。
名鉄電車主催である。
名鉄電車津島線の勝幡駅をスタートして、津島神社を過ぎてゴールは津島駅である。
又丸は足の遅い助左衛門を時々確認しながら 前を軽快に進む。
津島神社を二人で参拝。
ゴールはもうすぐである。
又丸は助左衛門を置いて歩みを速める。何かを見つけた模様である。
小間物屋さんである。店頭の品を真剣な目でみつめる。
(店主) 「お客様 何かをお探しですか」
(又丸) 「手ぬぐいを探して、今日も旅を」
(店主) 「手ぬぐいですか。いろいろありますよ。」
(又丸) 「ガーゼ手ぬぐいではなくて 『日本手ぬぐい』ありませんか。」
(店主) 「奥の棚にありますから こちらにお座りください。」
(又丸) 「棚とはおそれ入りました。」
店主は棚の一番上の反物を出してくれました。
又丸は驚いた顔で
(又丸)「一反も要りませんよ」
(店主) 「津島の夏のお祭りに使う 反物の手ぬぐいです。」
(又丸) 「あの三大川まつりの天王祭りですか。」
(店主) 「よくご存知で。いかほど御入用ですか。」
又丸は財布の中を確認する。
(又丸) 「ご主人。三尺一本いくらですか。」
(店主) 「お客様、粋な数え方ですね。」
(又丸) 「手ぬぐい収集家として 当然ですよ。」
(店主) 「気に入りましたよ。三尺一本 150円にしましょう。」
横で聞いていた助左衛門は「これは安い」と思った。
又丸も財布の小銭を真剣に探す。
店主は物差しで三尺を測り 鋏(はさみ)で切る。
良い鋏の音がする。
拙者は手ぬぐいをこのように買ったのは初めてある。
店主に聞くと祭りが近づくと 地区の人が反単位で購入すると言う。
切り売りするのは余り例がないとの亊。又丸の人格が成せる技かもしれない。
最後に店主が言った。
(店主) 「来年の夏にはまた来てください。」
(又丸) 「この手ぬぐいを巻いて又来ます。」
小春日和のこの日 又丸と店主には心地よい笑顔あった。