B級会社員のOFF日記(現在無職です)

尻毛助左衛門と尻毛又丸の珍道中の日記を公開しています。

定年サラリーマンのOFF日記もあります。

浜には下駄が残る・・・うつろ舟(其の四)

2019-03-04 22:45:53 | うつろ舟

仙吉は下駄を突っかけて

こっそりと 裏口を出た

辺りの闇には

蛙の声が かまびすかった。

 

うつろ舟の回りの海には

無数の夜光虫が 発生していた。

仙吉は 素足になり

うつろ舟まで 近づいた。

 

仙吉は うつろ舟に 乗り込んだ。

女は仙吉の姿に驚いた。

目が合うと 言葉の違いは

苦にならなくなった。

 

 お互い言葉がわからないので

空しく 時が過ぎた

居たたまれなく なる

若者は 立ち上がる

 

其の時 少し大きな浪が起こる

男は 立ち上がること かなわず

倒れるが 女と 触れ合うことに

 

若い二人に 言葉の違いなど・・・

 

時が経つ 互いに気づかなかった

朝には虚ろ舟は消えていた

千吉の下駄が 浜に残っていた

 

 

 

 


網元に十六の息子有り・・・うつろ舟(其の三)

2019-03-03 22:42:48 | うつろ舟

其の夜 網元の家の土間に

面した上がりかまちに

四,五人が集まっていた。

彼らはその扱い方に困っていた。

 

「あの女の筥の中身は何だろう。」

意見は百出していた。

「人間の首ではないか」

「きっと そうであろう。」

 

「あの女は蛮国の王の娘。

それが 他国に嫁いだものの

夫の目を盗んで 密通したんだ。

露見したが 王の娘では処刑できない。」

 

「それで うつろ舟に乗せられたわけか。

すると 筥の中身は 情夫の首か。」

「それで あの女は愛おしいように

大事に筥を 抱えていたのじゃな。」

 

「長老は あのように言うが

俺は 姦婦とは思わない。

ぞっとする程 色っぽい。

一目見て 岡惚れしたよ。」

 

「あの女には 大事なところに

白い歯が 生えている。

一夜にして 男のお道具が切られて

あえなく 男は死んでしまう。」

 

「それでは 俺が どぶろく

ぶら下げて 浜に行ってみよう。

女に飲ませて 見るべえ。」

一同は 屈託なく 大笑いする。

 

仙吉は網元の一番下の息子。

まだ16さい。この話を

ずーと 聞いていた。

「いかん。いかん。早く寝よ」

 

仙吉はなかなか 眠れないれなかった。

仙吉はこの話が 耳に付いて眠られず。

「仙吉は女を想像して眠れない。」

朝 仙吉の姿はどこにも いなかった。

 

(続く)


筥(はこ)を大事に抱えている・・・うつろ舟(其の二)

2019-03-01 22:30:06 | うつろ舟

拙者はこの話に関心を寄せ

図書館で調べた。

澁澤龍彦氏は「うつろ舟」という

小説を書いていました。

 

澁澤龍彦氏は

1928年生まれ 1987年死去

東大文学部卒 小説家 仏文学者 評論家

三島由紀夫と長く深い親交があった。

 

うつろ舟 短編集

1986年 福武書店

以下は 同書を

参考に記しています。

 

常陸の国の はらどまり村の

沖の彼方には 舟のようなものが

漂っていました。

漁師達はこれを 引き寄せました。

 

舟は見たこともない 舟でした。

舟のなかには 若い女がおりました。

年頃は二十ほどに 見えました。

色白き事 雪のごとし

 

よく見ると 女は

左の脇の下に 一個の筥を抱えていました。

船中には 厚い絨毯が敷き詰められ

血のような赤い酒の瓶も ありました。

 

(続く)

 


享和三年 常陸の国・・・うつろ舟(其の一)

2019-03-01 21:45:42 | うつろ舟

享和三年(1803年)常陸の国に

円盤型の舟が漂着したという。

舟には美しい一人の

女性が乗っていた。

 

この伝説を伝える古文書は12編。

好奇心を揺さぶる伝説は

滝沢馬琴や柳田国男両氏も

言及している。

 

岐阜大学サテライトキャンパスは

岐阜駅前にあります。

今年4月8日(月)より

田中嘉津夫岐阜大学名誉教授が

 

5月20日(月)まで 江戸「うつろ舟」ミステリーを

5回講義をされます。

拙者も好奇心を揺さぶられ

受講することに なりました。

 

  (続く)

 

(助左衛門より)

 これは 立派に(?)岐阜県情報になりますね。

 料金は無料です。

 

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