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ワクチン接種率

2021-01-30 | 日記

ワクチン接種に関する報道が賑やかだ。いろんな番組で、イスラエルのワクチン接種システムが優れていると紹介されるので調べると、既に400万回(1回目も2回目も合わせた合計)が接種され、国民(約900万人)の約30%以上が摂取済みで接種率世界一ということだ。しかし接種回数では、アメリカが約2400万回でイスラエルの5倍、イギリスが約750万回でイスラエルの倍近い。ドイツは200万回でイスラエルの半分程度だが、自国優先で進められるイスラエルに比べて、ワクチン確保・供給においてもEU各国とのバランスを無視できないドイツでのこの数字は、決してイスラエルより接種システムが劣っていることが原因とは考え難いのではないか。

 つまり、接種率で比べれば確かにイスラエルが世界1位だが、人口約900万人のイスラエルに比べて30倍(約3億人)の人口を持つアメリカや人口7倍(約6600万人)のイギリスで、接種回数の多さに関わらず接種率が少ないのは、何もワクチン接種のシステムが劣ることを示しているとは思えない。開発されたばかりの新しいワクチンで予め蓄えることもできなかったワクチンを短期でどれだけ接種できたかを比較するのなら、全国民に対する接種割合で比較するより、接種回数で比較するのが公正と考える。全体に対する接種済み割合は確かに重要な因子ではあるが、接種システムの優劣とは別の問題として取り上げられるべきだろう。

 要するに、イスラエルの5倍の接種回数を終えたアメリカや2倍のイギリスにおけるワクチン接種システムは、短期間により多くの人々に接種を行うという点においてイスラエルに引けを取るとは思えない。しかしそれを接種率の比較にすり替えてイスラエルの個人健康データ管理システムに結び付けて優劣を論じるマスコミが多いことには、大いに疑問が生じる。もしそのような議論をするのなら、必然的に、接種率第2位のUAEや第4位のバーレーンのやり方が、アメリカ・イギリス・ドイツよりも優れているという指摘もなくてはおかしい。ちなみに、接種率で世界2位のUAEは接種回数では第5位、接種率第4位のバーレーンは接種回数で20位にも入らない。

 ワクチン接種については、できるだけ早期に多くの人々に接種することが肝要なのであって、接種率を競う意味は少ない。国別接種率は、それぞれの国におけるワクチン接種終了の目安となるだけである。人口が少なければ、同じ回数の接種でも終了が近いと言うだけの事。短期間に多くのワクチン接種の実現を目指すシステムを論じるなら、純粋に、一定期間の接種数をどうすれば多くできるかを指標として考えるべきだ。その意味でアメリカやドイツなどのやり方がイスラエルに劣るとは、決して言えない。日本国内での接種が始まった後、人口1万の町と人口30万の都市、あるいは人口10万人の小都市と300万人の大都市を接種率の大小で比較し、そのシステムの優劣を云々するような愚かさは避けて欲しいものである。


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