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ねがうこと、ゆだねること

樺美智子さんの命日に開かれたシンポジウム

2010-06-15 | 映画
以前紹介したシンポジウム「60年安保闘争の
記録と記憶」
が東大の安田講堂で開かれた。

大講堂は間近で見たのも初めてなら、中に入ったのも。
大正15年(1925年)竣工。後の総長になる内田祥三、
ならびに弟子の岸田日出刀の設計。

講堂も高さもあり1200名を収容できる
堂々たるもの。地上7階建てもあるとは
思ってはいなく、昔は総長室もあったほど。
講堂の天井の照明が雰囲気を壊していた。



ドキュメンタリー映画『ANPO』の宣伝も
兼ねながら、映画が問いかけている日米安保の
意味を考えようという会だった。

今日は国会へのデモの最中に亡くなった
樺美智子さん死後50年目の命日だそうで、
この日に開きたいという監督リンダさんの
希望だったらしい。



パネリストは上野千鶴子さんの司会のもと
ジャーナリスト保阪正康さん、社会学者小熊英二さん
それに監督のリンダさん。

それぞれの立場から安保の話をされるのが
面白かったが、共通しているのが、第二次大戦から
沖縄基地問題、そして現在いたる流れの中で
安保を位置づけようとしている点だった。

『ANPO』もそういう文脈から作られた
映画らしいが、ダイジェストだけだったので
観てみないとわからない、という仕掛けか。

小熊英二さんが記憶よりも記録を
重視している点は学ぶことが多かった。
人は都合のいいように記憶を変えていくからと。



ゲストの歌手・加藤登紀子さん(映画にも登場)が
「安保闘争は失敗とは言わないで下さい、樺美智子さんは
死んでも私たちの魂のなかにその存在や言葉が
生き続けているではないですか?」と呼びかけ
黙祷をささげられたのが印象的。

沖縄基地普天間問題という「パンドラの箱を空けた
前首相の功績」(上野千鶴子)と注目も集まった映画に
なりそう。こうして映画ってその周辺もまきこんで
いろいろ考える機会になるのはおもしろいなぁ。

今秋公開予定が夏公開に早まってみたい。
配給はUPLIN。最近は配給会社まで確認するようになる。