環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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期待される 「日本の鳩山政権の21世紀ビジョン」 はどのようなものか?

2010-01-21 12:32:09 | 政治/行政/地方分権
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私の基本認識では、日本は「現実主義の国」ではなく、「現状追認主義の国」だと思います。現状認識が十分でないと、21世紀のビジョンをつくるに当たっても、また、それを検討、あるいは、批判/反論する場合にも十分な議論ができず、方向を誤る危険もあります。

私は新政権の「21世紀の新しいビジョン」に期待しつつ、2000年から2010年までの10年間に私が理解している現状認識を明らかにしておきます。スウェーデンという実在する国の「考えと行動」と日本の状況を比較することによって議論がしやすくなると思います。

今日は次の3つの図を提供します。それぞれの方の置かれた立場、判断基準の相違によって、考え方に相違があるのは当然ことです。これらの図に示された情報はあくまで私個人の認識であり、見解であることをご理解下さい。

最初の図は、5年前の2005年に作成したものですが、5年後の今もまったく変わりません。

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次の図も2005年に作成したものですが、この認識も修正する必要はないでしょう。小泉政権に続く、安倍政権、福田政権、そして麻生政権もニュアンスに違いはあるものの、とにかく、GDPの成長をめざしているからです。


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スウェーデンと日本の「持続可能な」という言葉の使い方の相違に注目して下さい。

最後の図で、スウェーデンと日本の21世紀前半のめざす目標(エコロジカルに持続可能な社会の構築vs持続的な経済成長)が決定的に異なっていることがおわかりいただけるでしょう。ポイントは「Sustainable Development」(持続可能な開発)というキーワードです。

スウェーデンが考える「持続可能な開発」とは「社会の開発」であって、日本が考える「経済の開発、発展、あるいは、成長」ではありません。このことは、1996年のスウェーデンの首相の施政方針演説の中の次の表現で明らかです。

Sustainable development in the broad sense is defined as community development that “meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs”. 

ここでは、「広義の持続可能な開発とは、将来世代が彼らの必要を満たす能力を損なうことなく、現世代の必要を満たす社会の開発」と定義されています。繰り返しますが、重要なことは「社会の開発」であって、日本が理解した「経済の開発、経済の発展や経済の成長」ではないことです。資源・エネルギーへの配慮を欠いた経済成長は「社会」や「環境」を破壊する可能性が高いからです。

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さらに、2005年以降になりますと、2006年頃から日本では「低炭素社会」という妙な概念が登場し、ここ数年の間に見事なまでに日本社会に定着してしましました。この変化のきっかけをつくったのは福田首相だと思います。21世紀に日本がめざす社会は「低炭素社会」ではなくて「低エネルギー社会」、さらに言えば「エコロジカルに持続可能な社会」のはずです。誤った概念の普及は日本の社会を誤った方向に導くことになるでしょう。低炭素社会の構築のために、「原子力ルネッサンスだ!」などという発想は誤った考えだと思います。

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