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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

銘木市レポート

2006-12-14 | フィールドから
・旭川で開催される銘木市に,マイクロバスで出かける.毎年,12月のこの市に出品しているわけだが,ここ何年かは比較的高値で落札されることが多く,収入としても決して少なくない割合を占めている.当方にとっても,現場の市況が肌で感じられる(まあ,ちょっと特殊な用途ではあるのだろうが・・・)貴重な機会である.ここ2年ほど講義やらの関係で欠席していたので,久しぶりの参加である.



・今回の銘木市では,合計でおよそ3000ハイ,8300本,3000m3が取引の対象となる.会場を見渡すと,以前は行われていた室内展示などがなくなっており,全体として規模が小さくなっている.広葉樹資源の枯渇が肌で感じられる瞬間でもある.樹種としては,材積順で言えば,圧倒的にメジロカバ,ついでヤチダモ,ナラ,セン(ハリギリ),ザツカバ(ダケカンバ),マカバといったものが主だ.民間からの出材(民材)が大部分で,官材は7%程度.官材のうち,約半分が当機関からの出材である.

・番号を追いながら,スピーカーから流れる落札価格とものを見比べる.全体的に低調だが,タモはやや持ち直したか・・・.メジロカバはバラツキが大きいが,そもそもパルプ用みたいなものまで出材されているからであろう.ザツカバとの違いがあまりなくなってきたようにも感じる.まれに10万を超えるようなものもあるが,民材ではあまり驚くような価格はつかない.

・昼食後,しばらく入札会場で雰囲気を探る.この市では現場で銘木を見ながらセリを行うのではなく,別会場で赤札・白札による入札を行っている.タバコのけむりで会場には独特の雰囲気が漂っているが,目玉商品の入札までは時間があるせいか,どことなく閑散としている.m3単価が20万円を超えると,拍手が起こる.この臨場感はなかなかだ.

・第二会場へ移動.タモ,ナラの長材,大径材が目をひく.中国からの輸入はほとんどなくなったはずなので,これらはロシアからだろうか・・・.それらしき文字も見える.意外と通直で質も悪くなく,このようなものがまだ出回るようでは,国産のナラ材の価格はなかなか伸び悩みそうである.しかし,タモの価格は若干持ち直しているようにも感じられ,これでもタモの北洋材は量的には減っているのだろうか,などと思いを馳せる.



・再び,官材で当機関から出材された丸太を観察.よく見ると,気になる丸太には彫刻刀のようなもので削りが入れてあり,心材色を確かめているようだ.詳しくは分からないが,マカバに関しては濃い目の赤がまだ人気のようである.また,丸太に降り積もった雪をほうきで払い落とし,幹の傷や節などを調べているものもあった.マカバとセンの落札は,午後3時半過ぎからということなので,あえなくその前に帰還.明日の報告が楽しみである.