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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

講義終了後,ゼミ初参加

2006-12-08 | 研究ノート
・9時から12時までの3時間の講義.前半は,遺伝マーカーと繁殖と更新プロセスについての講義を行う.2名の欠席があったものの,飛び入りも含めて受講者9名と盛況であった.全体的に詰め込みすぎて,飛ばしすぎた感があるような気もするが,果たしてどうだろうか・・・・.練習をしたわけでもないのに,ほぼ時間通りに完了.こちらもちょうど,しゃべり疲れてきたところで,やっぱり1時間半~2時間弱がせいぜいだと認識.

・後半,初心者のための“Rことはじめ”のミニ講義と演習.あらかじめ,Rをダウンロードしたノートパソコンを持参してもらい,エクセルのサンプルファイルも既に送っているという状態から始めたのだが,大きなトラブルもなく,予想よりはうまくいく(本当は手に負えないトラブルが発生したらどうしようかとドキドキしていた).受講者もほとんど触るのが始めてだったということもあり,ヒストグラムが出るだけで大喜びである(当方には,その気持ちがとっても良く分かる).

・今回,初心者向けのテキストを用意したのだけれど,自分自身のためにも役立ちそうであるし,何かあったらこれを読んで勉強しなさいとか言ってしまえばいいので,今後はきっと楽になると思われる.再来年はこれをたたき台にして,少し改良すればいいだろうから,後半の講義準備は格段に楽になるはずである.ただし,こうしたミニ講義と演習が本当に有益だったかどうかは,受講者の査定を待つ必要がある.うまくいけばRユーザーが9名は増えることになるはずなのだが・・・.

・とにもかくにも,無事に今回の講義が終了したわけだが,実を言うとあまりほっとしてもいられない.なんと22日には午前中講義,午後ゼミ発表,夜忘年会という超過酷なスケジュールが待っている.実はこのスケジュールは,ここ4年くらいは毎年恒例だったのだが,今回の講義準備が間にはいったせいで,22日分はまるで進んでいない.今回の受講者の意識に比べると,22日講義の意識レベルは非常に低いので,しゃかりきになって準備するとがっかりしてしまうわけなんだが,それでも多少の改良は必要だろうな.

・午後,学生たちのゼミがあるというので,初の出席.どちらも4年生なんだが,Iくんはイヌブナの実生定着と死亡要因を解明しようというお話,もう一人のNくんは,ロボットカメラで撮影した長期間の森林の画像データの中から欲しいデータ(ちゃんと森林が見えているとか)をうまく抜き出すための手法開発,というちょっと変わったテーマである.こういう変な(失礼!)テーマも好きだ.

・Iくんのイヌブナは,50×50mに25個のシードトラップを設置して,その周りに実生プロットを設定し,発生した実生を個体識別して追跡し,死亡要因を特定した,という極めてオーソドックスなものだ(小川学術研究林の仕事そのもの).ただし,対象とした秩父ではシカによる被食による死亡も相当数あるということで,シカの防護柵を設定した中でも同様に実生調査をやって,死亡要因をやはり特定している.

・というわけで,やっていることは本来シンプルなはずなのだが,不思議なまとめ方をしていて,なかなか頭に入らない.ううむ,主題が本人には見えていないようで・・・.それにしても,今回の発表ではせっかくの個々のプロットのデータを一まとめにしているせいで,バラツキが分からないのがもったいないな.むしろ,プロットごとのバラツキをいかに説明できるか,という点に力を注げばいいんだと思うんだが・・・.とにかく,「自分の研究の中で一体何が新しいのか」,ということがはっきりすれば,イントロの設定から結果の見せ方までびしっと決まりそうな印象だったのだが,それは今度のゼミ発表でのお楽しみということですか・・・.

・Nくんの発表では,写真の見え方を定量的に評価するために,いくつの稜線が見えるか(つまり,遠くの景色がガスでもやっていたりすると,7本あるはずの稜線が1本しか見えなかったりするわけだ)という独自の指標を考案している.撮影したのはデジタルなのに,稜線の数は“目で見て決める”ってあたりが,なかなか楽しい.稜線が2本以下しか見えていない画像は“駄目”であろうということで,2本以下のものをうまく排除し,2本以上のものは排除しないで採用できるような基準を設定し,その基準をもとに自動的に判別するような方法を開発したい,とのことである.

・稜線の数はデジタルロガーで計測した気象条件(湿度だったっけ,忘れた)の一つが関係がありそうということで,とりあえずはこの気象の値を用いて,75%を基準にばっさりと分けてやったとのことである.結構上手くいったようだが,ここまで来るとデジタル画像は関係なくて,単に統計の問題のような気がしてくる.glm関連でとりあえずは解けるんじゃないか・・・.とりあえず,一度データを見せてもらうことに・・・.まだ,何かが引っかかっているのだが,稜線の数を推定することぐらいはできるだろう.しかし,選別手法を一般化できるかどうかの評価というところに,これから力を注ぐべきだろうな,やっぱり.こちらも,もう一度聞いてみると,何か上手い解決案が見えてきそうな気がする.