夜勤ですか菫見透かす電気屋
スチール弦を張られたクラシック・ギター、その運命は過酷だった。
もちろん過剰なテンションはネックを見事な順反りに仕上げ、
糸巻きあたりには彫刻刀で縦にGibsonの文字が彫られ、
挙句の果ては、倒れた拍子に打ち所が悪くヘッドに皹が入った。
ネックの幅が広く、それでなくても不憫な音になってしまった彼、
そのポジションをフォークギターに明け渡すのに、それほど時間はかからなかった。
そんな彼が再び日の目を見るのは、
サウンドホールに旧いラジオから取ったスピーカーを埋め込まれ
ギター型スピーカーとして復活する数年後のことだ。
野にも芋煮の/A>