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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

弥生月ミモザ 三寒四温

2017年03月09日 | 日記
 早朝、快晴のまだひんやりとした冷え込みの残る大気の中、中庭にある二本の欅の大きく天空に広がった枝枝を眺める。まだ芽吹きはには早いけれど、着々とその準備は進んでいるに違いないだろう。雲の無い碧空のぬける様な高さを感じる日々だ。

 昨日の国際女性デー八日、あちこちの花屋店頭では、その象徴とされるミモザの黄色の綿菓子のような花をしばしば見かけた。この澄んだ早春の空の碧さには、ミモザのたわわに咲いた豊かな花花が映えてよく似合う。街角でよく見かけるのミモザは、正式にはマメ科のギンヨウアカシアで、その風に吹かれて(ボブ・ディランの歌みたいだ)揺れる鮮やかな黄色の花束と、反転してひるがえったときに光る銀色の細かい葉の取り合わせが、乾いた地中海地方か、原産地南半球オーストラリア大陸などの未知の遠い外国を思わせる。


 ギンヨウアカシアの咲はじめ、座間神社の境内にて。
 すぐむこうのフェンスの先にひろがるのは、米軍キャンプZAMA。ここには、A.レーモンド建築の指令本部棟、教会が残る。


 住まい近くの中学校グランドの片隅には、松鶴園と名付けられた緑地が整備されている。このあたりでは珍しく見事な松が十数本残されていて、そのむこうに大山丹沢の山並みがくっきりと望め、かつての相模野原野だったころを彷彿とさせる風景を遺す。松の木の根元には、西洋スイセンが群生していくつものクリーム色のやさしい花を咲かせている。先行して咲くニホンスイセンは色香しい空気を漂わすが、こちらは大ぶりの花がつく。その情景を駅へ向かう道中に眺めては愉しんでいる。

 駅近く、その手前にあるその名も東芝林間病院前は「東林さくら通り」といい、両側がソメイヨシノの並木となっている。かつては、桜のトンネル状態で本当に見事だったのに、誰が望んだのか無残に枝が落とされてしまっているのが哀しい。
 病院運営母体である健康保険組合の企業経営環境が厳しいことの余波なのか、この冬は正面ロータリーの松の植栽の雪つりも行われず、さびしい気がしていた。それに輪をかけるようにその駅寄りの敷地がマンション用地として売却され、戦後に結核療養棟が健在だったころ、昭和30年代の面影を残す豊かだった自然林が伐採されて整地が始まっている。来年には十数階建ての建物がそびえて、駅前の風景も一変するだろう。

 ようやく駅ビルの耐震改修工事の覆いがとれて、テナントの看板が掲出されたのを見たら、そこに長く親しんだドトールコーヒーの名前があって、あっと思った。リニューアルして半年ぶりに復活するのを確認できて、ささやかながら嬉しくなる。これで前のように本屋も入居してくれると、この町もなかなかの暮らしぶりを謳歌することができるのにと思う。カフェと本屋の相性の良さは、昨今のツタヤの盛況をみれば納得だ。くわえて日用雑貨や文房具の揃ったミニ無印良品ショップなんていうのもあるといいね。

 竣工の三月末、広場に一本だけ残されたソメイヨシノの古木が咲くころには、駅前の様子はどのようになっているだろうか。