日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

さよなら二月、コロナ禍の行き違い

2022年02月25日 | 日記

 この週末は、春の陽気だそうだ。長くて短かったような二月がともかくも過ぎてゆく。誕生月だというのに、年々寒さが苦手になっている。おまけについていないことが重なることが多く、昨年は信じられないことにすぐ近所で!交通違反切符を立て続けに切られてしまったし、一昨年などは人生初の軽い自責車両接触事故も起こしたりで踏んだり蹴ったり、まったくあっけにとられて呆然とさえしていた。

 案の定というべきか、今年の二月ものっけから楽しみにしていた予定が流れてしまい、そのやるせなさは共有時間を喪失した諦めのようなものへと変わっていく。この先気持ちを奮い起こすきっかけがなく、あてどない移り変わりの中、気持ちもからだの有り様もそれなりに変化していってしまうのが自然なのかもしれない。
 その自身の体調がイマイチとはいえ、共通の記憶を日々健康のバロメーター代わりにしているとしたら、哀しいかなあまりにも!矮小化された気がしてしまい落胆した。これまでの懸命な積み重ねがその程度のことと、想像されるのだろうか。もう仕方ないけれどコロナ禍の行き違いがあるようで、それぞれの思いが空回りしていてとても残念なこと。なんだろう、、この消えないわだかまりは。

 新型コロナ禍については、仕事上でも大きな影響があったが、再任用の身には大きな負担となることではないし、四月以降の公演企画に関してもできる範囲で粛々とすすめている、といった感じだ。たぶん、四月からは慌ただしさが増していくだろう。
 家族もウイルス感染に関してはいまのところは動揺もなく、無事なのは幸い。娘は職務上早々と三回目の接種をすませ、帰ってきたらすぐにお風呂に直行している。卒寿の母は、来月初めの訪問診療の際にしてもらうことが決まっていて、一番最後になってしまうのはどうやら私だ。

 ここひと月ほどは、住まいのマンション大規模修繕工事計画に関する大詰めのやりとりに神経をすり減らすことが多く、結構ギリギリのところまで根を詰めている羽目に陥っていた。基本的な認識をそろえるための過程と絡み合った課題をわかり易く整理して、関係者の合意形成に向けて調整する困難さを何度も痛感していた。それでもようやく苦労しながら、目指すところまでなんとかたどり着けそうか。とはいえ、まだ三月末の総会まではひと息つけない日々になりそうだ。やれやれ、頑張っていると思うけれど。
    その上厚木方面への通院付き添いなど、大幅な時間を取られるという意味でのいらだちの重なる日々をへて、ようやくの最終週末を迎えている。動揺してばかりのなんという情けない二月よ!

 それでも、機会を見つけての気分転換と楽しみを兼ねた外出と身体活動につながる“自助努力”は、たゆみなく?惜しみなく?マイペースで途絶えることなく続けていた。ひとりではつまらない気もするけれど、まあこれまでもあったことだから。
 先月末になるが、特別展覧公開にあわせて伊勢原の山中にある日向薬師を拝願してきた。ここの薬師如来本尊と十二神将立像は大小二組あって、それぞれ平安時代後期と鎌倉時代のものだ。宝物館で対面している薬師如来三尊と阿弥陀仏との取り合わせもなかなかの迫力があっていい。茅葺の宝城坊本堂や南北朝時代の鐘堂とともにすばらしい佇まいである。わざわざ久しぶりに山路の参道を歩いて、訪れたかいがあるものだった。鎌倉時代には、ここへはるばる源頼朝や北条政子も参詣していたというのだから、大河ドラマの今後の展開によっては話題になることだろう。

 その「鎌倉殿の十三人」ゆかりの近場旅では、今月初めに三浦半島横須賀芦名の浄楽寺にも足を延ばす。京急で終点の三崎口までゆき、三浦漁港魚市場からスタートして半島の西側134号線を貸し切りバスに乗って、葉山逗子経由で北上して鎌倉までを目指す観光協会のモニターコースに参加した。
 この浄楽寺には、驚いたことに鎌倉時代の仏師運慶の仏像が阿弥陀三尊、毘沙門天、不動明王とあわせて五体もある。実際に対面させていただくと表面の金箔もなまなましく輝いていて、ご住職の計らいで薄暗闇の中をろうそくの灯かりで拝願すればといっそう神秘的に見える。
 ここには明治維新の立役者で一円切手の肖像画、郵便制度の父として知られる前島密翁の別荘跡が隣接していて、ぜひ訪れてみたいと思っていた。境内裏手の高台にあるこの地で没した偉人夫妻のお墓は、正装した翁の小さな銅像がてっぺんにのっかり、全体が富士山をかたどった立派なものだった。越後高田を郷土として同じくするものとしては、じつに感激もの。
 前島密はそのほかの功績も含めて渋沢栄一や大隈重信にもつながり、もっと知られてもいい人物だろう。お寺の前の134号線沿いには、翁洋装姿胸像つき御影石の重厚な郵便ポストが設置されている。その台座には次のように記されていた「郵便は世界を結ぶ」。この立春4日は前島密187回目の誕生日と重なる。

 さて、歴史上の人物誕生日といえば、9日が夏目漱石生誕155年、17日は森鴎外生誕160年である。その間に北京オリンピックは人工雪の環境下で行われ、フィギアはもちろんジャンプもカーリングもさほど面白くないように感じていたら、ようやく20日にはやれやれの閉幕、そして23日の天皇誕生日と続く。

 忘備録的にごく私的な変化を付け加えておきたい。怠慢な我が家リヴィングのテレビ環境ももようやくケーブル契約に変わった。この先、そんなに視聴するための時間がはたして残されているのだろうかと疑問に思っていたけれど、まあいいか。
 すべての通信手段である固定電話・モバイル電話とインターネットプロバイダ契約もこの機会にすべて変えてしまった。遅ればせながら、スマートフォン本体もすこし小ぶりの「iPhone SE」を戸惑いながらの使用開始だ。ようやくの小さな?コペルニクス的大転換のなかで、ひたすら我慢と忍耐の二月が過ぎてゆく。

 気持ちを切り替えようと思い立ち、車を走らせる。国境の三輪里山周辺を歩けば、ニホンスイセンの可憐さ、紅白梅の清浄さ、それぞれに咲き出してあたりに馥郁した芳香を漂わせている。あとすこしで三月か、春の兆しはもうすぐに来ている。どうか運気が向上していきますように、丹沢の夕陽にむかって合掌。

成瀬山吹緑地から町田市街を望む。2014年の12月暮れも眺めた風景。
丹沢大山への日没は17時15分すぎ(2022.02.25)


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