ニュースで「体験したい昭和の生活」というのを特集していた。
「昭和」の真っただ中の人間としては見逃すわけにはいかない。
一番人気のあったのが「蚊帳」だ。なるほど一見情緒があるし、昭和の優しい雰囲気が出ている。今も屋外キャンプなどのためにあるのだろうが・・・
蚊帳の出入りには要領があって、少し蚊帳を揺らせて近くにいると思われる蚊を遠ざけてから出入りするのだ。
蚊帳の中で、母が団扇をあおいでくれて寝入ったのが昨日のことのようだ。
次に人気があったのが「おくどさん」だ。我が家もおくどさんがあった。典型的な京町屋で玄関からまっすぐにつながった土間におくどさんがあって、そこで母が食事のこしらえをしていた。
ご飯は炊きあがるとおひつに移し替えて食卓に上がって来る。そのニオイを今も思い出す。
ところで、おくどさんにはなぜか煤にまみれた布袋さんが鎮座していた。理由はよくわからない。
「七輪」というのも人気があった。我が家の隣が長屋で昔ながらの下町の生活空間がそこにはあり、さんまなどを長屋の人が屋外で七輪を使って焼いていた。
落語で、さんまを焼いている煙の香りで、ご飯一膳をいただける・・・というのがあったように思うが、ほんとうに長屋全体がおいしそうな香りに包まれていた。
あとは「トイレ」にしろ、「五右衛門風呂」にしろ、今の方がはるかに衛生的で快適だ。
総じて、残せるものは残してほしいと思うのだが・・・とりわけ、下町の人間関係などは・・・
みんなおんなじ 隣近所 醤油 味噌 借りたり貸したり おやじは おやじらしく おふくろは 割烹着で やっぱり 昭和は 人間を健やかに育ててくれた!!