もうひと月ほど経った時期だろうか、東京で仕事をしていた頃に冬まじかの軽井沢によく出かけた。
とりわけこの時期の軽井沢が好きで、よく出かけた。
とはいえ、雪が積もると怖いので、この時期は積雪のまだないぎりぎりの時期になる。
上信越高速道路を走らせて碓井軽井沢ICの直前のあたりで目の前に妙義山の威容が現われる。
とりわけこの時期の妙義山の姿は晩秋の曇りがちな乳白色の空をバックにそれぞれの木々が葉っぱを全て落としてほぼ枝を残すだけの色を無くしたスケルトン状の山肌が・・・
「この世の果て」の姿とは、こういう景色なのではと車を走らせながら思った。
で、ICを降りて10分もすると、今度は軽井沢の派手やかで上品な街並みが現われる。
特にこの晩秋の時期はクリスマスの前で、プレゼントを買う方やクリスマス・ツリーのオーナメントを買いに来る方などで軽井沢は一段と晴れやかだ。
妙義山の姿を引きずりながら、この幸せそうな人たちの集う軽井沢の街を歩いていると・・・
人生の表裏を体感しているような奇妙な感覚に襲われた。
暑さから解放され、朝晩、少し肌寒くなるこの時期になると、乳白色の空をバックにした妙義山のあの光景が頭の中をよぎる。