診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
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珍しい患者さん

2023年05月15日 | 診療
2023年4月のお話。
長年この仕事をやっていると、患者さんご自身の印象の強いかたと逆に印象の薄い方がいらっしゃるということがわかってきます。
印象の強い方は、ときおり思い出して、「あの人どうしているのかな」とか「もうそろそろお見えになる頃だ」なんてかんがえたりします。
そのうち印象の強い人もだんだん薄くなって、終いには忘れてしまうものなのですが。

それはたまたま午前中の診察が忙しい日でした。

4,5年前糖尿病のコントロールがうまくいかずに糖尿病の専門医に紹介をした患者さんが珍しくやってきたのです。
食事療法に抵抗、アルコールは好き放題、写真が好きでよくご自分で撮った写真を持ってきては僕とああでも無いこうでも無いと話し込んでいた梶原さんです。
梶原さんは食事療法のせいか、見違えるほどやせて どうやら黄疸もあるようです。
口が渇いているためか語尾がよく聞き取れません。
「膵臓がんで経過を見ている」ようなことをしゃべって、帰りがけに「先生も写真 続けているんだね」と話して帰っていきました。

翌日、採決の結果を聞きにまた見えた梶原さんは、いぜんとは異なり どんどん熱くなる僕とは逆にクールなままでした。
最終的に「今のところでよくみてもらいな」「困ったらうでいつでも診るよ」と言うことで帰って行きましたが、

後から気がついたのは、あれは 間違いなくお別れに来たんだな。看護師さんにもそう訪ねると
「先生の言うとおりだ思いますよ。」
 


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