診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

診察

2012年09月25日 | 日常
お彼岸のあたりから、急に気温が下がり
23日は、半袖では寒くて長袖のトレーナーを引っ張り出して着ていました。
風邪を引いたかもしれません。

診察室の中にいると、待合室の様子が聞こえてきます。
酷い咳をしている方、知り合いの人と話している声。
そんな音が聞こえてきて、診察の時の話のきっかけになったりします。

次の順番の患者さんに診察室に入ってもらうとき、
たまに僕がドアを開けて患者さんを呼ぶときがあります。
そのとき待合室の様子も眺めます。

具合が悪くて、横になっている患者さんはいないか、
酷い咳をしているのは誰か、
先に検査や、理学療法に回ってもらえる方はいないか。
少しでも、待ち時間が減ってくれればと思っています。

でも、うちの診療所はすいているので、
待ち時間ほとんどゼロですが。

診察室に入ってくると、
挨拶をしたり、今の時期だと稲刈りの話や運動会の話。
ちょっと世間話をします。
このとき入ってくる様子や声の調子、表情を観察します。

なんてことを書いてみたのですが、

昨日みえた藤田さんに、
「おはようございます。」「おはようございます。」
ってあいさつしたら、
藤田さんが、
「先生、どうしたんですか、その声?風邪引いたんですか?」

患者さんも、しっかり医者の状態を観察しているですね。



浮き草

2012年09月21日 | 日常
先週の週末は、友人たちとの再会でした。

遠方は山口県から、
土曜日に、ちょっと会って、
日曜日、ゴルフ。
その夜、ゴルフ場のロッジで宿泊、
夜更けまで、お話をしていました。

翌日はそのままチェックアウト。
そんなスケジュールでした。

しかし、楽しいかったなあ。

一人っ子で、小さいときから友人はあまりいなくて、
1人でいることに慣れているので、人とあまり話をせず、
それが当たり前だと思っていたのですが、

ここ数年というか、10年ぐらい前からでしょうか、

中学校の同級会に出るようになってから、
同じ時を過ごして来た友人たちとの、
なんでもない会話が、
すごくうれしくて、楽しくて、

話をするって、こんなに楽しいものなんだって、
思うようになりました。

今回も、もう大学時代に戻ったようで、
その頃の話から、今の暮らしぶり、
ほかの友人のこと、
もう話題は、百花繚乱。

タイムマシーンに乗ったみたいです。

しかし、いけません。
みんなと別れてからも、
タイムスリップが治りません。
気持がうまく切り変わってくれないのです。

なんとか気持ちを切り替えるべく、
街をさまよってみても、
どうも足が地に着いていないみたいで、
フワフワしています。

いつもの街に人は大勢いるのですが、
不思議とリアルに感じられません。

どうしたんだろな、なんて考えてみても、
すぐ答えが出てくるものでもありません。

でも、
食堂に入って、ビールなんて飲んでいるときに、
ふと、
友人たちは、今、故郷に住んでいて、
僕は、親戚も、同級生もいない、
つながりのない街に住んでいるからなのかな、
なんて考えると、妙に納得できちゃいました。

根無し草なんだね。






恐いもの

2012年09月11日 | 日常
久しぶりに顔をのぞかせてくれた宇梶さん。
近所の農家のおばあちゃんです。
あまり診療所にみえないのは、
身体に自信があるのか、医者嫌いなのかはわかりません。
今までは、腰が痛い、膝が痛いで、ときどきやってこられました。

今日は、いつもと様子が違うようです。
診察室に入ってきた宇梶さん、
顔色が真っ青です。
聞くと、身体がだるいと言ってます。
あまり食べられないとも言ってます。
体重も以前に比べるとかなり減ったようです。

なにはともあれ、採血して貧血を調べました。

結果はかなり酷い数値、
ヘモグロビンが、5g台です。

この時点で、頭の中をガンという文字が駆けめぐります。

二日後に胃カメラやりましょうねというと、

飲んだことないから、怖い。飲みたくないよ、先生。
飲めるかね。心配だ。
と、結構引いている様子。

果たして、二日後には、お見えになりませんでした。

次にお見えになったとき、
どうしてこなかったんですかなどとは言いません。
言わずに、次の予定を決めました。

それが昨日。

今度は、来ていただけました。
宇梶さん、検査が始まるまで、不安をしゃべりっぱなしでした。
そして検査。
その結果、
大きな胃潰瘍が見つかりました。

こちらはガンでなくて、一安心。ホッとしました。

宇梶さんは、
つらかった、つらかったと、検査の感想をしゃべってます。

そんな宇梶さんに、
実はガンかもしれないと、心配してたんだよ、胃潰瘍で良かったですね。
と声をかけると、

ガンもなんも心配じゃないよ、
あたしゃ、胃カメラが心配だったんだよ。

宇梶さんにとっては、ガンよりも胃カメラの方が怖かったようです。





認知症

2012年09月07日 | 日常
先日、やっとレセプトチェックが終わりました。
毎月、月初めにその前の月に見えた方の診療内容と病名のチェック、
過剰な検査や、投薬がないかを確認するのです。

1人ずつ、カルテとレセプトを見比べる作業が続きます。
まあ月一回の行事みたいなものです。
でも、これが面倒くさいので、終わると本当にホッとします。

今までは、カルテの名前を見ただけで、
その方の顔が浮かんできて、
「あぁ、この方は、先月こんなことして、
こんな話をして、なんな薬のんでたなぁ。」と、
いろんなこと思い出していたのですが、

最近は、
「あれ、この方先月はどうしたっけ」と
思い出せずに、カルテを開いて確認することも
しばしば起こるようになりました。

これって、認知症のはじまり?






免疫

2012年09月05日 | 自然
一昨日と、昨日と、二日続けてすごい夕立でした。

ちょうど昨日は、会議があるので街に行ったのですが、
会議の途中で、ものすごい雨と雷、
怖くて会議どころではありませんでした。

高いところから見る雷は、稲光が空から地面に突き刺さっているようで、
光と音、すごいものです。
でも、おびえながらも、写真に撮りたかったぁなんて、思ったりしてました。

何年か前に、雷の直撃を受けて、
エアコン、火災報知器、インターホン、などがやられて、
何日か精神的ショックと、暑くて眠れない日を過ごしたことがありましたが、

雷を見ながら今日は、落ちないでくれと祈ってました。

一回落ちたら、二度と落ちないという免疫がつくといいのに、
痲疹のように、
なんて妄想が頭に浮かんで来ました。








「がんばります。」

2012年09月01日 | 日常
先日、久しぶりに糖尿病の星野さんが見えました。

体格がいい方で、「体重減らせば、糖はよくなっちゃうからね。」
といつも言っているのですが、いっこうに減ってくれません。
「カロリー、気をつけましょうね。食事少し減らしましょうね」
とも、言ってます。

はいと良い返事が返ってくるので、
医者は、自己満足しています。

だいたいパターンは決まっていて、
自己満足した医者は、
次の診察では、
血糖値の高いこと、体重が減らないことに、
期待は裏切られ、時にはいらだって
「本当に食事、減らしているの?」と問いかけると、
星野さんから、「はい、減らしています」と良い返事が返ってきます。

そこで、医者は、
「本当に、体重減れば、良くなるからね、がんばってね。」
と、前回と同じ言葉をかけ、
星野さんからは、
「はい、わかりました。がんばります。」と
元気の良い返事。
医者は、今度はきっとわかってくれるだろう、と
また自己満足。

これの繰り返しです。

こんなんで、いいのでしょうか。