診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

珍しい患者さん

2023年05月15日 | 診療
2023年4月のお話。
長年この仕事をやっていると、患者さんご自身の印象の強いかたと逆に印象の薄い方がいらっしゃるということがわかってきます。
印象の強い方は、ときおり思い出して、「あの人どうしているのかな」とか「もうそろそろお見えになる頃だ」なんてかんがえたりします。
そのうち印象の強い人もだんだん薄くなって、終いには忘れてしまうものなのですが。

それはたまたま午前中の診察が忙しい日でした。

4,5年前糖尿病のコントロールがうまくいかずに糖尿病の専門医に紹介をした患者さんが珍しくやってきたのです。
食事療法に抵抗、アルコールは好き放題、写真が好きでよくご自分で撮った写真を持ってきては僕とああでも無いこうでも無いと話し込んでいた梶原さんです。
梶原さんは食事療法のせいか、見違えるほどやせて どうやら黄疸もあるようです。
口が渇いているためか語尾がよく聞き取れません。
「膵臓がんで経過を見ている」ようなことをしゃべって、帰りがけに「先生も写真 続けているんだね」と話して帰っていきました。

翌日、採決の結果を聞きにまた見えた梶原さんは、いぜんとは異なり どんどん熱くなる僕とは逆にクールなままでした。
最終的に「今のところでよくみてもらいな」「困ったらうでいつでも診るよ」と言うことで帰って行きましたが、

後から気がついたのは、あれは 間違いなくお別れに来たんだな。看護師さんにもそう訪ねると
「先生の言うとおりだ思いますよ。」
 

紙おむつ

2020年07月27日 | 診療
今年の梅雨はよく雨が降る梅雨です。

築25年のこの診療所も、寄る年波には勝てず、
これだけ降られると、泣きが入ります。

ちょうど建物の角に雨漏りがするところがあります。
それがダンダンひどくなり、工事を頼んでいるのですが、
工事予定日に雨が降り、延期延期の繰り返しです。

仕方なく、何枚もの雑巾を敷いてしのいでいるのですが、
大雨が降ると、一面水浸しで大変なことになります。

毎年、学生さんに話をしに行っている准看学校は
これまた古い建物で、雨漏りの大先輩です。
そこの先生曰く、
「センセ、雨漏りには、紙おむつがいいんですよ。
今はいいおむつが出来ていて、雑巾より吸収力があるから、
センセも試してくださいよ」
道理で教室で授業をしているとき、
学生さんの机の横にあちこちおむつが置いてあって気になっていたのですが、
そういう訳かと納得出来ました。

そこで診療所のスタッフにその話をすると、
早速診療所にあるおむつを使ってみて、
「センセ、これいいです。バッチリです。すごい吸収力」

毎日降る雨に、おむつも大活躍。
あっと言う間に残りわずかになり、
買い出し係は僕なので、
当然僕が買い出しに行くことになりました。

そこで商品名をメモすると
「男性用尿漏れパッド、大判サイズ」  ええっ。

この商品を持ってドラッグストアのレジを通るとき、
つい「これ雨漏りに使うんですから」と
云いそうになってしまったのは僕だけでしょうか。