診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

2012年10月30日 | 日常
もう10月も終わり。
いよいよ秋も深まってきました。

インフルエンザの予防接種もはじまり、
少し外来も賑やかになってきました。。

それから、このところ気温が下がってきたので、
風邪の患者さんもぼちぼちみえるようになリました。
やっと一息つけそうです。

実は、スタッフの1人の歩き方が、もうずいぶん前から気になっていて、
足を引きずるように音をたてて歩くので、
なんとか注意してあげようと思っているのですが、
なかなか出来ません。

アラフォーの人に、「君、歩き方なんとかならない?」
というのも、大人げないし、
(小心者なのですね、僕は)
なんと言ったらいいか、
ずっと悩んでいました。

こんなことで悩むなんてばかですね。

そこでやっと思いついたのは、
「君の靴、サイズが合ってないんじゃない?」
んーん、でも、どうもしっくりきません。

で、ある時、急に思いついたのが、
「君の靴、底が硬いのかな~。」です。

いけそうな気がしたので、
すぐ言ってみました。

「君の靴、底が硬い靴なのかなあ?」
「なんでです、センセ」
「いや~、ほかの人と歩くときの音が違うんだよね~。
君の靴、コツコツと硬い音がするんだよ。」
「そうですか、長いこと履いているので、磨り減っちゃったんですかね。」

そして今日、
今までのような音がしないので、
足元を見ると、靴が変わっています。

「ああ、靴、変えたんだね。」
「はい、靴底みたら、ゴムはがれていてダメでした。捨てちゃいました。」

大人だねぇ。


散歩に出かけて、
雑木林を歩いているとき、
ポツンポツンと、音がします。
みるとたくさんのドングリが、
木から落ちてきています。
あー、この音はドングリが落ちてくる音なんだ。

家に帰って、歳時記を見ると、
こういう音を 木の実雨というそうです。








粘膜

2012年10月13日 | 日常
秋らしいお天気が続きます。
週末はいろいろなところで運動会が開かれるのでしょう、
花火がドンドンと鳴っています。

だいたい6時に鳴るので、
もうちょっと惰眠をむさぼっていたい僕としては、
複雑な心境です。

外来にピロリ菌がいたので、
除菌をして欲しいとやってきた太田さん、
除菌後一ヶ月経ったので、

うまく除菌が出来たかどうか、検査にやってきました。

「どうです、胃の調子は?」
「すこぶる快調です。胃が本当に軽くなりました。
良かったです。」
「それはそれは、よかったですねぇ。」
「でも、センセ、お酒がめっきり弱くなってしまったんです。
ビール一本で、結構酔っちゃうようになりました。」

こんな声を聞くのは、初めてです。
思わず、えっ、そうなんですかと、こちらもビックリ。

なんでかなと考えてみると、
内視鏡でみる胃の粘膜を思い出しました。。
ピロリ菌がいる方の粘膜は、どろどろした粘液が粘膜を覆っています。
一方、ピロリ菌がいない方の粘膜は、粘液のないきれいな口の中のような
粘膜です。

きっと、あのどろどろした粘液が、アルコールの吸収を
ブロックしていたのかなと、考えてみると、
妙に納得できて、太田さんの胃の粘膜がきれいな粘膜におもえてきて、
きっと除菌はうまくいったんだろうなと確信しました。




胸痛

2012年10月10日 | 日常
土曜日、
三連休の初日なので、皆さん行楽へ出かけたのでしょうか、
外来は暇です。

のんびりとした時間が流れている待合室に、
突然、奥さんに抱えられて苦しそうに入ってきた人がいます。
診察室で別の患者さんを診察中の僕の耳に、

「堀田さん、こっちに入って休んでて。」と言う看護婦さんの声が聞こえます。

程なく、
「センセ、堀田さん、苦しそうだから先に診てください。」
と言う看護婦さんの声、

堀田さんは、70代の男性で、体格がいい方です。
特別の持病はなく、よくゴルフをやったりしていてお元気な方です。
その方が、顔面蒼白、大汗をかいて、みぞおちが苦しいと言って、横になっています。

奥さんは、「熱中症ですよ、水も取らないで動いていたから。」と
クールな対応。

血圧正常、脈拍も乱れなし、酸素分圧96パーセント。

とにかく、最悪のことを考えて、心電図をとると、
ちょっと異常が。

判断に苦しむところなのですが、
安静にして静かにしていると、本人は落ち着いてきたと言ってます。

点滴をして、もうちょっと様子を見ることにしましたが、
土曜日なので、何かあったら引き受けてくれる病院があるか心配です。

堀田さんの話では、
朝、ゴルフの練習をみっちりやって、家に帰ってから、
チェーンソーで、じゃまになっていた木を夢中で切っていたら、
眩暈がして、苦しくなって動けなくなっちゃったとのこと。

そこで、以前とった心電図はないか、あったら比べてみようと探してみたのですが、
今までは、風邪や筋肉痛ぐらいでしかかかってないので、
心電図がありません。
心電図の変化をみるために、何回か心電図をとることにして、
堀田さんに心電図に電極をつけたまま寝ていてもらうことにしました。

一時間後、二時間後、心電図に変化はありません。
状態を聞くと、
「もうだいじょうぶだ、センセ。もういかんべよ。」と
顔色も良くなってきたようです。
そこで、堀田さんに、
じつは、ちょっと心電図が気になってて、
心筋梗塞の疑いもあるんですよというと、
「心電図?はー、前に心電図おかしいっていわれてよ、
大学病院で色々検査やったんだけんど、
結局異常なしって言われたことあったんだよ。」

そうか、前から心電図おかしかったんだ。
じゃ、これは前からのものかと少し安心して、
今日は帰ってもらうことにしました。
やっぱり、奥さんの言うとおり、熱中症だったのでしょうか。

それでも、奥さんに、
「今度胸苦しいと言ったら、救急車呼ぶように」と
念を押しておきましたが。



連休明けに約束通り、堀田さんはやってきました。
元気そうです。
「だいじょうぶだった?胸痛くなかった?」と聞くと、
「センセ、胸痛くてダメだ、しみるしみる。」

エッと思って、シャツをまくってもらうと、

この前つけっぱなしにしていた、心電図の電極のあとが、
6ッコ、はっきりと皮が剥けて残っていました。
こりゃいたいわ。





背中

2012年10月03日 | 日常
めっきり、朝晩は気温が下がってきました。

秋真っ盛りです。

昨日は、86歳の田口さんがみえました。
今はもうあまり歩けなくなって、車いすでの診察です。

一通りの診察で、大きな変化がないので、
世間話をしていると、
「センセ、若くなったんじゃないの」なんて急に言い出したのにはビックリ。
言われた方は、悪い気はしないのですが、
そうかなぁなんて、なんだか調子が狂っちゃいそうです。

そのあと、少し話をしていたら、
「私、最近目が悪くなっちゃって・・・」

えっ、なんですか、それは。
さっきの言葉はなんだったんでしょう。


この辺では、まだ民間療法が色々あるようです。
腰が痛くて、ときどき注射をしている宇垣さんが、
「センセ、酷い目にあっちゃった」といいながら、
診察室に入ってきました。

話を聞くと、友人とある人のところに行って、
腰が痛いと話したら、
その人が、「腰が痛いのなんて、俺が直してやるよ。」といって、
背中から腰にかけて、なんだか訳のわからないことをしたようです。
本人は、背中なのでよく見えなかったみたいですが、
本人曰く、「ばんきゅう」っていってました。

背中をみると、
これが酷いことになっていて、
背中じゅう、赤くなっているところもあれば、
皮が剥けて、ただれているところもあって、
イヤイヤ、ビックリ仰天。
思わず「こりゃーひどい」と言葉が出てしまいました。

カメラで、写真に撮っておくことにしました。