診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

紙おむつ

2020年07月27日 | 診療
今年の梅雨はよく雨が降る梅雨です。

築25年のこの診療所も、寄る年波には勝てず、
これだけ降られると、泣きが入ります。

ちょうど建物の角に雨漏りがするところがあります。
それがダンダンひどくなり、工事を頼んでいるのですが、
工事予定日に雨が降り、延期延期の繰り返しです。

仕方なく、何枚もの雑巾を敷いてしのいでいるのですが、
大雨が降ると、一面水浸しで大変なことになります。

毎年、学生さんに話をしに行っている准看学校は
これまた古い建物で、雨漏りの大先輩です。
そこの先生曰く、
「センセ、雨漏りには、紙おむつがいいんですよ。
今はいいおむつが出来ていて、雑巾より吸収力があるから、
センセも試してくださいよ」
道理で教室で授業をしているとき、
学生さんの机の横にあちこちおむつが置いてあって気になっていたのですが、
そういう訳かと納得出来ました。

そこで診療所のスタッフにその話をすると、
早速診療所にあるおむつを使ってみて、
「センセ、これいいです。バッチリです。すごい吸収力」

毎日降る雨に、おむつも大活躍。
あっと言う間に残りわずかになり、
買い出し係は僕なので、
当然僕が買い出しに行くことになりました。

そこで商品名をメモすると
「男性用尿漏れパッド、大判サイズ」  ええっ。

この商品を持ってドラッグストアのレジを通るとき、
つい「これ雨漏りに使うんですから」と
云いそうになってしまったのは僕だけでしょうか。


人に歴史あり です

2020年07月20日 | 診療
 「一通の手紙」の後、2日ぐらいして、やはり患者さんから
同じような手紙が届きました。
今度の患者さんは名前をみると、顔を思い出せる方なので、
何が書いてあるか開封する前にドキドキすることはなかったのですが。

2通も同じような手紙が来るなんて不思議です。

 高血圧で内服中の柴沢さんは、通い始めて数年の80歳前後の患者さんです。
今でも現役で、お仕事をしています。
塗装業を営んでいて、屋根の上に昇ったりしているそうです。
先日のこと、
高い屋根に登るので、僕が 気を付けてくださいよ、高いところから落ちないように、
というと、
「なーに、この辺の高いところなんて、たいしたことねぇよ」
「おらぁ、わかいこときにゃ、東京タワーに登ったんだから。東京タワーで仕事してんだでぇ」
えぇ-、あの東京タワーを作っていたんですか?
「ほーだ、いちばん先のとこは行かなかったんだが、だいたい300mぐらいのとこまでは登ったんだから」
そりゃすごいわ、もちろん命綱つけていたんでしょ?
「その頃は、そんなもんはつけてなかったなぁ」
と遠くを見るような目をして話してくれました。

申し訳ないけれど今の柴沢さんからは想像出来ないし、
こんな田舎にそんな人がいるなんて、

人に歴史あり です、本当に。

1通の手紙

2020年07月13日 | 診療
梅雨空が続いています。
州地方は水害がひどくて、テレビの映像を見ているだけで、
胸が苦しくなります。

医療系では 雨が降っている日は、一般に患者さんは減ります。
今年は新型コロナの外出自粛で、さらに減っています。
うちの診療所も例外ではなく 患者さんは少なくなってきています。

ある医院では、「患者さんが減っているから」というだけで、
スタッフが正社員からパートにされたという話を聞きました。

うちはそういうことはやりませんが、
でも、経営ははっきり言うと苦しいです。

そんななか、1通の手紙が診療所の院長宛に届きました。

普通の手紙ですが、女手の手紙。

すわ、何か間違いはなかったか、失礼はなかったかと頭をめぐらせ、
クレームが来るようなことはなかったか、
それとも就職の依頼か?などと不安をかきたてられましたが、
読んでみると、

医療機関への感謝と励ましの内容。
ブルーインパルスや窓から拍手といった類いでしょうか。
うちは新型コロナにも関与していませんし、普通の田舎の診療所ですから、
褒められても、「褒められるようなこと していないです。」と
斜に構えてしまいます。

でも、
実はうれしいもんです。
自分がやってきたことを認められたみたいで。
いや~ン あんまり褒めないでと照れてしまいます。

まぁこれからも頑張ろうと大いに励みになりました。










褒めてないって

2020年07月06日 | 診療
数ヶ月前のお話です。

診察室での会話。
何事もざっくばらんな三島さんが、診察が終わった後、
僕の後ろにいる看護師さんに、
「看護師さんは若いね~。俺なんかより全然若いでしょ。いくつなの?」と
椅子に座っている僕の頭越しに話を振っていました。
看護師さんは
「いやいや、もう若くないですよ。」と少し困った様子です。 
たぶん三島さんは、看護師さんを喜ばせようとしてそんな言葉を言ったのだと思います。
はっきり答えない看護師さんにしびれを切らしたのか三島さん。
「ねえ、いくつなの? 僕より三つか四つは絶対若いと思ってるンだけど。」
その言葉に僕はびっくり。
後ろにいる看護師さんの気配がさっと変わったのがわかりました。
「わたし、三島さんより10年以上下なんです。」

三島さん 褒めたことにならないって。