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中国、航空母艦12年就役を公表 China reveals aircraft carrier plans

2010-12-18 | グローバル政治
2010年12月18日(土)

Financial Timesは北京発の署名入り記事で、中国が2012年に航空母艦をいよいよ就役させることを公表したことを報じている。これは朝日新聞、韓国の中央日報の報道と軌を一にするものであるが、この中国側発表は公式記者会見などによるものではなく、中国政府が公刊した膨大な報告書の末尾にそっとしのばせてあったものがマスコミによって「発見」されたものである。(Beijing announced its step quietly with one sentence buried at the end of a lengthy government publication.)

中央日報の日本語版は、「中国国家海洋局の研究機関の海洋発展戦略研究所が出した「2010年中国海洋発展報告書」によると、「(中国軍は)2009年に空母建造構想と計画を明らかにした。(これは中国が)本格的に海洋強国を建設するために一歩踏み出したことを示す」と位置づけた。」と報じている。

米国が太平洋に展開する強力な第七艦隊に対抗して中国が空母を初めてこの地域に投入することの影響は計り知れないほど大きい。

この動きは決して新しいものではない。すでに中国の軍部高官は、2年前にFT記者のインタビューに対して「中国が航空母艦を保有しても世界が驚くこともないはずだ」(The world should not be surprised if China built an aircraft carrier.) また昨年3月には日本の自衛隊幹部に対して「中国が航空母艦を持たない唯一の大国であり続けることはない」と語っているのだ。

現在、中国はウクライナから購入した旧ソ連の空母「ワリャーク」(6万トン級)を大連で訓練用空母に改造中している。これらは衛星写真で確認されているし、FTによれば、Google Earthを見れば、近隣の二つの航空基地に離艦・着艦訓練用の滑走路が建設されているのが見えるという。

この報道に対して、中国の軍部はコメントを拒否しているが、その理由は中国にとって極めてタイミング悪いからだ、とFTは論評している。中国政府は、現在周辺諸国の日本、ベトナム、マレーシアと、「小衝突」を繰り返して、これらの国に無用の警戒感をことさら持たせてしまったことに対する対応を迫られているからである。

最近、中国の軍事力とその拡大を誇示する発言を繰り返した軍幹部(recently silenced several military officers who had raised hackles earlier this year with belligerent comments)に対して緘口令を発したとFTは報じている。

しかし、中国の太平洋地域における海洋支配権確立の動きは止めることはできない。FTは、統合参謀本部議長のMike Mullen提督の言葉で記事を締めくくっている。「中国がどこに向かうのかと興味を持っていた過去は過ぎて、今やそれを心配する時代になった」( “gone from being curious about where China is headed to being concerned about it”)




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