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オバマ、イスラエルの民間船攻撃に沈黙 Personal Feeling

2010-06-02 | グローバル政治
2010年6月2日(水)

ABC放送が、電子版でクリントン国務長官の記者会見Videoを流しているが、イスラエルを直接の形で非難せず、月曜日の国連安保理の決議を引用する形で、「事件」そのものに対する米国の独自見解を出すことを避けた、無表情な通り一遍の対応であった。

一方、オバマ大統領自身は、現時点で完全に沈黙を守っている。しかも大統領府のホームページ第1面は、メキシコ湾の油流出問題にのみ触れており、イスラエルの暴挙に対するコメントは全くない。これが米国政府の苦しい立場を如実に物語っている。

また、そのホームページに、月曜日午後のRobert Gibbs報道官のブリーフィング内容が全文掲載されているが、同報道官の質疑応答も「気で鼻をくくった」もので、記者の聞きたい事には全く答えていない。

記者:「大統領は、ガザへの救援船へのイスラエルの急襲を非難(condemn)しておられるのですか?」

報道官:「今朝の国連安保理での国際社会や米国の支持で決した内容を繰り返したい。安保理は、イスラエルが公海上において、ガザ地区に向かう救援船団に武力行使した際、人命が失われた事態に対して深甚な遺憾を表明した。安保理はこの文脈において10名の民間人がなくなり、多数の負傷者を出したことに哀悼の意を表した。安保理は、拿捕された船舶と、拘束された民間人の即時釈放を求めている」


記者:「それが大統領の気持ちを表しているとしても、同盟国の中には大統領自身からもっと強い表現を求める声がありますが」

報道官:「繰り返すがこの決議は米国のみならず国際社会によって支持されているものだ」

記者:「大統領は、いまだにさらなる事件に関する事実関係の調査を進めたいとの立場をとりたいということですか?」

報道官:「今読み上げた安保理決議は、迅速、衡平、公明、透明性(prompt, impartial, credible and transparent)のある調査を求めている。われわれが求めるのも同じものだ」

たったこれだけのやり取りで、話題はBPのメキシコ湾での油汚染問題に切り替えられてしまった。大統領の沈黙とこの対応によって米国の行動規範が国内ユダヤ人社会への遠慮に基づくものであることを世界に示した。

そして対イランの核問題交渉の調停役であり、イスラエルとアラブ諸国の仲裁役であったトルコの信頼を失ったことは、オバマ外交に図り知れない打撃となる。米国とイスラエル共通の最大の仮想敵国であるイランを勢いづかせる結果となったのも皮肉な結果である。

クリントン国務長官の疲労感に満ちた無表情こそ今の米国の苦悩の象徴であった。






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