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CDOリスク分散手法  債権の薄切り(slice)と賽の目切り(dice)

2008-08-07 | グローバル経済
先週、メリル・リンチが住宅ローンをもとに組成された金融商品300億ドル(3.1兆円)を、原価の22%に値引きして叩き売り処分を行ったというニュースが金融界をゆるがせました。

この金融商品は、手持ちの金銭債権を、証券化して販売するという手法で、ここ10年広く金融界で行われたものです。銀行の貸し金へのリスク軽減が目的の一つであったはずの商品がこのように、巨額損失の原因になるというのも皮肉なことであると、FTは嘆息しています。

金融債権を、薄切りに(slice)したり、賽の目切り(dice)して、元の「本当の借りて」の姿が見えなくなった形になってから, それをつなぎ直し(splice)て新しい商品に仕立てる手法がCDOであったのです。

CDOの組成を介して、銀行は信託銀行のようになり、投資銀行は商業銀行のようになって、業態の拡大を図ってきたのですが、そうは問屋が許さなかったというわけです。

昨年8月に、担保付証券の在庫を大量に保有していた多くの銀行が、CDOに仕立てるために、格付けをしてもらって売り出そうとしていた矢先に、信用市場に異変が起こって、すべては凍結(freeze)されて悲劇は始まったのです。

FTが教える教訓:どんな金融技術も個々の借り手の信用力を慎重に審査することの必要性を免除する手品たりえない。個々の銀行と格付け機関が、投資家のためにこの仕事をキチンと行わなかったことが今回のCDO崩壊の原因だ。