2009年5月29日(金)
オバマ大統領は、米国の金融機関の規制が、あまりにも機能分散していたために、金融危機に対処できなかったのだとの認識にたち、規制機関の統廃合による一本化(consolidation and simplification)を目指している。
このsingle regulatorを基本とする改正案は、6月中旬までに議会に提出し、公約どおりに年内に新体制を確立したいとしている。
現在米国には、銀行を規制する機関が多数あって、いわば「ごたまぜ」(hodgepodge)状態にあることが、混乱を助長したとの反省から、まず銀行規制を一本化しようというわけである。またあらたに、消費者への金融商品に対する保護と、ノンバンクを含めた金融機関の総合的な監督機能も持たせることが考えられている。
こうした改革につきものの、官僚側の抵抗も当然予測されている。
財務省管下の通貨監査局と金融監督局の統合が当然予想されるが、FBR(連邦準備制度)やFDIC(連邦預金保険公社)の監督機能の剥奪の可能性も高いと伝えられている。そして、その代替にFBRには、経済全体の構造的リスク(systemic risks)の監視権限、FDICにはノンバンクへの監督権限を付与する「妥協」が準備されているようである。
しかし、権限に関する抵抗は議会側からもある。すでに、上院銀行委員会議長から、「FBRにシステミックリスク監督権限を全面的に付与することに反対」との意見が出ている。
また、米国証券取引委員会( the Securities and Exchange Commission)と米商品先物取引委員会(the Commodity Futures Trading Commission)の合併の可能性も高いのであるが、この合併は、議会側の証券会社監視と、商品取引監視の権限の集中がおこるので簡単ではない。
また米国の銀行は、連邦政府が行う規制対象にあるものに加えて、州政府が監督する地方銀行が5,000行にも達する。現在、連邦と州で別々に監督がおこなわれるという二層構造(dual banking system)になっているが、監督機関の一本化には、連邦と州政府間の調整も必要としている。
ちょうど30年間にわたり、「規制撤廃と市場原理主義」を掲げて新自由主義経済運営を行ってきた米国が、「規制強化と政府介入」に舵を切るには、大きな政治社会的な障害をたくさん乗り切らねばならないということである。
オバマ大統領は、米国の金融機関の規制が、あまりにも機能分散していたために、金融危機に対処できなかったのだとの認識にたち、規制機関の統廃合による一本化(consolidation and simplification)を目指している。
このsingle regulatorを基本とする改正案は、6月中旬までに議会に提出し、公約どおりに年内に新体制を確立したいとしている。
現在米国には、銀行を規制する機関が多数あって、いわば「ごたまぜ」(hodgepodge)状態にあることが、混乱を助長したとの反省から、まず銀行規制を一本化しようというわけである。またあらたに、消費者への金融商品に対する保護と、ノンバンクを含めた金融機関の総合的な監督機能も持たせることが考えられている。
こうした改革につきものの、官僚側の抵抗も当然予測されている。
財務省管下の通貨監査局と金融監督局の統合が当然予想されるが、FBR(連邦準備制度)やFDIC(連邦預金保険公社)の監督機能の剥奪の可能性も高いと伝えられている。そして、その代替にFBRには、経済全体の構造的リスク(systemic risks)の監視権限、FDICにはノンバンクへの監督権限を付与する「妥協」が準備されているようである。
しかし、権限に関する抵抗は議会側からもある。すでに、上院銀行委員会議長から、「FBRにシステミックリスク監督権限を全面的に付与することに反対」との意見が出ている。
また、米国証券取引委員会( the Securities and Exchange Commission)と米商品先物取引委員会(the Commodity Futures Trading Commission)の合併の可能性も高いのであるが、この合併は、議会側の証券会社監視と、商品取引監視の権限の集中がおこるので簡単ではない。
また米国の銀行は、連邦政府が行う規制対象にあるものに加えて、州政府が監督する地方銀行が5,000行にも達する。現在、連邦と州で別々に監督がおこなわれるという二層構造(dual banking system)になっているが、監督機関の一本化には、連邦と州政府間の調整も必要としている。
ちょうど30年間にわたり、「規制撤廃と市場原理主義」を掲げて新自由主義経済運営を行ってきた米国が、「規制強化と政府介入」に舵を切るには、大きな政治社会的な障害をたくさん乗り切らねばならないということである。