2010年1月29日(金)
オバマ大統領は、一般教書演説で、「庶民」(people)路線への回帰を鮮明にして、国際問題や地球温暖化問題への対応を後退させた。
その方針は的中し、演説後のCNNによる世論調査がたった今放送されたが、オバマ政権の政策を積極的に支持する・支持するをあわせて78%に急回復し、さらに米国は正しい方向に進んでいると回答した人々は53%から71%に反転上昇した。
26日の本欄でも伝えたように、マサチューセッツの上院議員補欠選挙で民主党候補が敗退し、上院における絶対多数である60議席を割ったことの政治的打撃はあまりに大きく、国論を割る議論となっている健保改革法案への拘泥はさらにオバマ政権の政治遂行能力を弱体化するほどの政治的危機にあったものを、この75分に及ぶ演説で逆転させたといえる。
演説のなかでの米国民の最大の苦しみへの対応を示すキーワードは、「雇用創出」(job creation)、 「中産階級家族」(middle-class families)への支援、「中小企業」(small businesses)への減税措置の三つである。
そして「ウォールストリート」という言葉に代表される金融界へ政府支援への反発感情にも配慮した。「私は銀行救済を憎んでいた(hated)。虫歯治療(root canal)のようなもんだと我慢してやった」とまで言い切ったのである。
そして健保改革に関する説明不足を自らの誤りと認めた上で、国民へ送った必死の覚悟とも取れる一節は次のとおりである:
「今改革の道を見捨てないで欲しい。この今、意見の違いがここまで煮詰まってきたのにこの今、見捨てないで欲しい。法案をまとめる道を探そう。そして国民のためのこの仕事をやり遂げよう」(“Do not walk away from reform. Not now. Not when we are so close. Let us find a way to come together and finish the job for the American people.”)
そして健保改革法案が可決されたら、次の言葉も歴史に残る言葉となるであろう。
「しかし忘れないで欲しい。改革が易しいことだといったことはないし、一人でやれるといったこともない。3億人の国民の民主主義がかまびすしく、混乱と複雑化の様相を呈するのも無理からぬことなのだ。大仕事に取り組み、大きな変革をなそうとすれば、人々の心を熱くもするし、反発も生み出すのだ。それがまさに今の状況なのだ」(“ And when you try to do big things and make big changes, it stirs passions and controversy. That’s just how it is.”)
オバマ大統領は、一般教書演説で、「庶民」(people)路線への回帰を鮮明にして、国際問題や地球温暖化問題への対応を後退させた。
その方針は的中し、演説後のCNNによる世論調査がたった今放送されたが、オバマ政権の政策を積極的に支持する・支持するをあわせて78%に急回復し、さらに米国は正しい方向に進んでいると回答した人々は53%から71%に反転上昇した。
26日の本欄でも伝えたように、マサチューセッツの上院議員補欠選挙で民主党候補が敗退し、上院における絶対多数である60議席を割ったことの政治的打撃はあまりに大きく、国論を割る議論となっている健保改革法案への拘泥はさらにオバマ政権の政治遂行能力を弱体化するほどの政治的危機にあったものを、この75分に及ぶ演説で逆転させたといえる。
演説のなかでの米国民の最大の苦しみへの対応を示すキーワードは、「雇用創出」(job creation)、 「中産階級家族」(middle-class families)への支援、「中小企業」(small businesses)への減税措置の三つである。
そして「ウォールストリート」という言葉に代表される金融界へ政府支援への反発感情にも配慮した。「私は銀行救済を憎んでいた(hated)。虫歯治療(root canal)のようなもんだと我慢してやった」とまで言い切ったのである。
そして健保改革に関する説明不足を自らの誤りと認めた上で、国民へ送った必死の覚悟とも取れる一節は次のとおりである:
「今改革の道を見捨てないで欲しい。この今、意見の違いがここまで煮詰まってきたのにこの今、見捨てないで欲しい。法案をまとめる道を探そう。そして国民のためのこの仕事をやり遂げよう」(“Do not walk away from reform. Not now. Not when we are so close. Let us find a way to come together and finish the job for the American people.”)
そして健保改革法案が可決されたら、次の言葉も歴史に残る言葉となるであろう。
「しかし忘れないで欲しい。改革が易しいことだといったことはないし、一人でやれるといったこともない。3億人の国民の民主主義がかまびすしく、混乱と複雑化の様相を呈するのも無理からぬことなのだ。大仕事に取り組み、大きな変革をなそうとすれば、人々の心を熱くもするし、反発も生み出すのだ。それがまさに今の状況なのだ」(“ And when you try to do big things and make big changes, it stirs passions and controversy. That’s just how it is.”)